民主党・厚生労働部門会議の医療・介護ワーキングチーム(WT)が4日に行った関係者からのヒアリングでは、日本医師会が2012年度の診療報酬改定で中小病院を重点評価するよう要望。一方の保険者側は、「国民の理解は得られない」と診療報酬引き上げに反対を表明しました。WTは8日、ヒアリングを踏まえて意見交換しましたが、出席した議員からはマイナス改定の容認論は出ませんでした。中央社会保険医療協議会(中医協)が2日に開いた総会では、医療経済実態調査の速報値が公表され、10年度の報酬改定を挟んで一般病院の収支が改善されたことが明らかになりました。 (CBニュース)

■2日(水)中医協総会
 診療報酬改定の基礎資料となる医療経済実態調査の結果を厚労省が報告。10年度の一般病院(介護収益2%未満)全体の一施設当たりの損益率は0.1%の赤字で、09年度の2.5%の赤字から大きく改善された。一般診療所も改善されたが、精神科病院は悪化。
【中医協】医療実調、一般病院の収支が改善- 10年度改定の影響か

 精神療養病棟の入院患者の重症度に応じた評価について検討。精神疾患の重症度を表す「GAFスコア」が40以下の患者の受け入れを評価する「重症者加算」を10年度報酬改定で新設したところ、GAFスコア30以下のより重症な患者の受け入れが進んだことを踏まえ、厚労省が論点に挙げた。
【中医協】精神科入院の重症度評価を検討- 厚労省が論点提示

 認知症患者の入院早期(30日以内)の評価を厚労省が提案。認知症患者が病院に入院する理由は「行動・心理症状(BPSD)の対応が困難」が大半を占めるが、BPSDは入院後1か月あればほぼ改善されるという。
【中医協】認知症入院料、30日以内を評価- 厚労省が提案

 睡眠薬や抗不安薬を3種類以上処方した場合の報酬の在り方が論点に。「多剤処方した場合に、何らかのディスインセンティブを付ける」(厚労省)ことも視野に入れた提案で、委員から特に反対意見はなかった。
【中医協】睡眠薬多剤投与でマイナス評価も

 身体と精神の両方の疾患を抱える患者の診療報酬上の取り扱いもテーマに。現在は、精神疾患のある救急患者を一般の病院が受け入れる場合への評価はあるが、後方病床に移った後に精神科医が医療を提供しても特段の評価がなく、こうした点の解消が焦点になる。

 また、「せん妄」がある一般病棟の入院患者に複数の職種がアプローチすると、入院期間の短縮などにつながることが海外の研究で明らかになっており、厚労省の鈴木康裕医療課長は「一般病棟にいたとしても、精神的なさまざまな手だてが必要」と述べた。
【中医協】身体、精神疾患の合併症も論点に

■4日(金)民主党厚生労働部門会議「医療・介護ワーキングチーム」
 12年度の診療・介護報酬の同時改定に向け、関連する事業者団体や職能団体、保険者組合の19団体からヒアリングを行った。医療・介護の連携などへの評価を求める各団体に対し、保険者側は報酬の引き上げに反対する姿勢を鮮明にした。
同時改定にらみ、関連団体からヒアリング- 民主の医療・介護WT

■7日(月)介護保険サービスに関する関係団体懇談会 
 12年度の介護報酬改定に向け介護関係団体から意見聴取。各団体からは、特別養護老人ホームでの医療提供体制の充実と、それに見合った評価を求める声が上がった。この日の意見を厚労省が整理し、社会保障審議会介護給付費分科会に報告する。
特養での医療提供体制充実などを要望- 介護保険サービスに関する関係団体懇談会

■7日(月)DPC評価分科会
 現行の調整係数に代わってDPC対象病院に適用する基礎係数を、「大学病院本院群」など3つのグループごとに設定する内容の中間報告案を取りまとめた。中医協の総会に月内に報告し、中医協が最終判断する。中医協では、グループ分けは「大学病院本院群」と「その他の急性期病院群」の2通りにすべきだとの意見もある。

 また、機能評価係数2の新規導入の候補に挙がっていた「診療情報活用の評価」について、12年度診療報酬改定での対応を見送る方向を決めた。同係数は12年度には新規導入されない見通し。
DPCの基礎係数「3通りの設定」を報告へ-中医協分科会

■8日(火)民主党厚生労働部門会議「医療・介護ワーキングチーム」
 4日に行った関連団体からのヒアリングを踏まえて意見交換した。出席した議員からはマイナス改定を主張する意見は出ず、「プラス改定を実現するというメッセージを、取りまとめとして示してほしい」との声も上がったという。
民主WT、マイナス改定容認論は出ず