厚生労働省は、10月31日、第39回社会保障審議会介護保険部会を開催した。議題は、「社会保障・税一体化改革における介護分野の制度見直しに関する論点について」。

今回の部会で大きな論点となったのは、利用者負担に関してであった。特に低所得者・要支援者の利用者負担については活発に議論が行われた。反対の立場をとった委員の意見は下記の通り。反対としつつも「資産」活用については意見が分かれた。

結城委員「1号保険者の低所得者保険料軽減制作は促進されるべきである。その際には、高齢者の所得状況を踏まえながら、資産も加味した仕組みづくりに本格的に着手すべきでである」。要支援者の利用者負担については「予防は重度化を防ぐ意味で重要なサービスであるため、利用者負担の引き上げと給付の削減は避けるべき」との見解を示した。

大西委員「低所得者対策は国の責任において支出するべき」としつつも、「財源については利用者の資産を活用するしかなくなる」との意見を述べた。

勝田委員「低所得者は介護保険を使いたくても使えない現状がある。自分の家を切り売りしながら介護を受けろというのか」と、高齢者の資産をあてにする仕組みには同意できないと強く主張した。「住まいを切り売りすることはできないので、死亡時に相続税の負担を増やすなどの方法をとるべき」と慎重論を示す委員も。

小林委員「介護サービスは長期間にわたって受けるため、高所得者であっても年金生活者の負担額は慎重に検討すべきだ」と、利用者負担自体に疑問を呈する意見を述べた。
一方、賛成の立場をとった委員の意見は下記の通り。

久保田委員「給付の公平性を図るには利用者負担も必要だ。要支援者の利用者負担もやむなし。制度を持続可能にするには、厳しさを国民全体で分かち合うべきである」

ほかにも、下記のような意見があった。「2号保険者の保険料を上げる前に利用者が負担すべきという声が、2号保険者から上がってくるだろう。一定の所得がある利用者が負担しないと、2号保険者層から社会保障への信頼が得られない」。

ケアマネジメントに係る利用者負担についても意見が分かれた。
木村委員は「利用者負担になると、ケアマネと契約する人と契約しない人が出てくる。その結果、代行者が現れるようになり、ケアプランは利用者の要望プランになりかねない。これは危険である」との理由で反対の立場をとった。ほかにも「利用者負担になった場合、公平な自立支援プランはできるのか」という疑問の声も上がった。

一方、「利用者が負担することで利用者の関心が高まり、積極的にケアプラン作成に関わるようになる可能性もある」との賛成意見もあった。久保田委員も「利用者負担も必要」との意見を述べた。(ケアマネジメントオンライン)