厚生労働省は10月31日、第83回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。

前回から、平成24年度介護報酬改定について、各サービスごとの個別の論点が提示され、議論が交わされているが、この日の議題は、「通所介護の基準・報酬について」「リハビリテーションについて」「予防給付について」「居宅介護支援・介護予防支援の基準・報酬について」「その他」の5つ。

今回はその中から居宅介護支援の部分をレポートする。

現状のケアマネジメントには、1)自立支援型ケアマネジメントの推進、2)公平性・中立性の確保、3)地域のネットワーク作りと医療等との連携、という3つの課題が示されており、それぞれの項目に対して、課題と検討すべき視点が呈示された。

1)「自立支援型ケアマネジメントの推進」における課題
【アセスメント】利用者の状態像や課題に応じた適切なアセスメントができていないのではないか。医療、看護、リハビリに関する知識が不足しているのではないか。
【ケアプラン】状態像に応じたケアプランが標準化されていないのではないか。
【モニタリング】サービス導入後の評価が不十分なのではないか。
【施設ケアマネジャー】施設におけるケアマネジャーの役割が不明確なのではないか。
【利用者の意識】利用者や家族に自立支援等に対する意識が不足している場合があるのではないか。

2)「公平性・中立性の確保」における課題
【併設型事業所】同一法人や併設事業所のサービスに偏っている事例が多いのではないか。
地域包括支援センターから紹介される居宅介護支援事業所が、同一法人等に偏る事例が多いのではないか。
【保険者】保険者は、公平性・中立性の観点からケアプランをチェックする機能を果たすべきではないか。

3)「地域のネットワークづくりと医療等との連携」の課題
【サービス担当者会議】サービス担当者会議における多職種協働がうまく機能していないのではないか。
【関係機関職種との連携】医師、看護師、OT・PT等の医療関係職種との連携が不十分なのではないか。訪問看護やリハビリ等のサービスが十分活用されていないのではないか。退院後の介護サービスが円滑に導入されていないのではないか。
【地域包括支援センター】地域包括支援センターの包括的・継続的支援がうまく機能していないのではないか(介護予防業務に忙殺されているのではないか)。主任ケアマネジャーの役割・機能が不十分なのではないか。インフォーマルサービスの評価ができていないのではないか。

さらに、介護報酬改定における論点では、現行の介護報酬上見直すべきと考えられる点として、以下が挙げられた。

■論点1:自立支援型のケアマネジメントを推進すべきではないか
・「特定事業所加算」を通じて、質の高い事業所を今後も評価すべきではないか。
・サービス提供者会議やモニタリングの適切な実施が行われていない場合に運営基準減算を強化してはどうか。
【現状】所定単位数の70/100に減算で、2ヶ月以上継続している場合は50/100
【見直し後案】2ヶ月以上継続している場合は0/100

■論点2:医療と介護の連携の強化を行うべきではないか
・「医療連携加算」について、医療機関に必要な情報提供をする際、医療機関を実際に訪問した場合を高く算定してはどうか。
・「退院・退所加算」について、診療報酬上の扱い(介護支援連携指導料、退院時共同指導料)と合わせて算定できるようにしてはどうか。
・在宅患者緊急時等カンファレンス(診療報酬)にケアマネジャーが参加した場合の評価を行ってはどうか。

■論点3:地域包括支援センターの機能強化を行うべきではないか
地域包括支援センターが本来業務を十分行えるように、介護予防支援にかかる居宅介護支援事業所への委託制限(1人8件まで)を廃止してはどうか。(※この場合、ケアマネジャー1人当たりの標準件数35件や担当件数40件以上の逓減制は維持)(ケアマネジメントオンライン)