厚生労働省は31日の社会保障審議会介護保険部会に、介護費の自己負担割合について、一定所得以上の人は今の1割から2割に引き上げるなどの給付抑制策を示した。ただ、いずれも12年度実施を想定しながら民主党の反対で昨年末に法案化を見送ったものばかり。「リベンジ」を狙う同省は次は12年度途中以降の導入を目指すが、同党の反発を招いた状況に変わりはない。

 同日示された給付抑制策は、年収320万~380万円程度以上の人の自己負担割合を2割に▽ケアプラン(介護計画)作成に自己負担導入▽低所得の施設利用者に食費、居住費を補助する補足給付の支給を厳格化▽相部屋の施設入居者から室料を徴収▽生活援助などの軽度者の自己負担割合を1割から2割に引き上げ--など。

 厚労省は昨年11月にも同部会に同じ案を示したが、異論が相次ぎ、意見書には賛否両論が記された。民主党でも反対が噴出し、結局同省は12月、12年度当初の実施は諦めた。

 それでも給付費は膨らむ一方で、65歳以上の月額平均保険料(現在4160円)は来年度に5000円を超える可能性がある。このままでは負担困難な額になりかねず、同省は見送りから1年足らずで同じ策を部会に持ち出す異例の対応に出た。だが、31日は理解を示す意見もあったものの、「介護保険を遠ざける」といった慎重論が重ねて出された。

 一方、同日は40~64歳の介護保険料を、12年度から収入に応じて徴収する「総報酬割り」とする案も示された。(毎日新聞)