厚生労働省は10月21日、来年4月の診療報酬、介護報酬の同時改定に向けて、中央社会保険医療協議会(中医協)と介護給付費分科会の打ち合わせ会を開催した。
これは、何らかの結論を出す場ではなく、診療報酬について議論する中医協と、介護報酬について議論する介護給付費分科会のメンバーで意見交換を行うために開かれたもの。

厚労省から提示された論点・課題は、次の6点。

(1)医療・介護施設の機能分化と連携の推進
 ○入退院時における医療機関と介護サービス事業者との連携促進
  (入院時診療計画や退院支援計画の策定)
  (在宅医療を担う医療機関や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所との連携)
 ○介護療養病床から介護療養型老人保健施設等への転換促進
 ○介護施設における医療提供のあり方
(2)在宅医療・介護の充実
 ○訪問看護・リハビリ等の要介護者等の在宅生活における医療提供
 ○看取りへの対応
 ○認知症への対応

また、これまでの中医協の会議で、医療と介護の連携に関連して挙がった主の意見は次のようなものだ。

【総論】
・地域包括ケアシステムについては、地域に応じてその在り方を考えるべき。
・医療と介護のサービスのシームレスな連携について議論するとともに、両方の保険のお互いの役割と、うまく整合性をとることが必要。
・日本では、ケア付き高齢者住宅等の整備も欧米諸国と比較して不十分。病床数の議論には、長期療養施設、ケア付き住宅の整備状況を踏まえた慎重な議論が必要。
・介護保険と医療保険の二本立てになっているものについて、内容の再検討が必要では?

【在宅医療・訪問看護】
・高齢者介護には都市型と地方型があり、都市型は在宅中心でやりやすいが、過疎地では、病院が広範な地域に点在しており、施設や病院等を活用した在宅医療が必要。
・在宅の推進のために訪問医療・訪問看護の充実が必要。しかし、訪問看護を希望する看護師が極めて少ない。教育の段階で、訪問看護や在宅医療を重視する教育になっていない。
・訪問看護については、介護保険と医療保険にまたがっていることで非常にやりづらい。

【歯科診療】
・高齢者に対する口腔ケアは大変効果があるので進めていくべき。ケアプランの中に的確に位置付けられるべき。
・地域包括ケアシステム実現について、要介護者にとって食することに対する支援は非常に重要。介護保険分野においても歯科との連携、地域全体の連携を十分考えるべき。

【薬剤管理】
・在宅における残薬の問題は重要。
・訪問薬剤管理に係る介護保険及び医療保険による給付について、薬局は介護保険適用者であるのか否かの情報が確実に得られず、誤請求等の原因になっている。
・入院から在宅へのスムーズな移行のためにも、早い段階から薬剤師が関われる仕組みづくりも考える必要があるのではないか。
・施設に入居している方についても、薬剤師による服薬管理が必要ではないか。

また、下記は、厚労省が提示した「将来像に向けての医療・介護機能再編の方向性のイメージ」。現状に比べて、医療の「一般病床」は機能分化され、居住系サービス、在宅サービスなどの在宅介護の充実を図るイメージだ。


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さらに、必要ベッド数の見込みを示したのが下記。


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介護と医療の連携が進む中、今後、医療側も積極的に在宅にかかわりをもってくることが伺える。介護業界の立ち位置を明確にし、「利用者の取り合い」になどならないような制度改正に期待したい。(ケアマネジメントオンライン)