2012年度診療報酬、介護報酬同時改定に向けた動きが本格化しています。診療報酬改定を審議する中央社会保険医療協議会(中医協)では、中小病院や診療所が算定する再診料の加算など、各論をめぐる議論がスタート。介護報酬改定に向けては、介護職員の処遇改善の在り方が焦点に。キャリアブレイン「医療・介護CBニュース」の記事から、この1週間の動きをまとめました。 (CBニュース)

■12日(水)中医協
 中央社会保険医療協議会(中医協、会長=森田朗・東大大学院教授)は10月12日の総会で、2012年度診療報酬改定に向けて各論をめぐる議論をスタート。 中医協の診療報酬改定結果検証部会の調べでは、地域医療貢献加算が新設された10年4月以降、夜間や休日の問い合わせが「減った」と感じる病院の割合は、同加算の届け出割合の上位10県で比較的高かった。このため同省は、同加算を新設したことで、病院の負担軽減に「限定的だが一定の効果が見込まれた」との受け止め方を示した。
【中医協】地域貢献加算に「一定の効果」- 12年度報酬改定へ各論の議論開始

 厚労省が外来管理加算に関する調査結果を提示。10年度の診療報酬改定時、再診料を引き下げる代わりに増やすとされた、診療所の同加算の算定件数が、改定前後で横ばいだったことに診療側委員が、「これは極めて重要な事実だ」と述べた。
【中医協】外来管理加算の算定件数横ばい- 安達委員「重要な事実」

 レセプト並み明細書の発行制度について議論。自動入金機などが明細書発行に対応していない医療機関の無償発行の免除や、受け取りを拒否した患者への対応の見直しを検討する方向で一致した。
 レセプト並み明細書の無償発行は、使用しているレセプトコンピューターに明細書を発行する機能がないなど、「正当な理由がある」場合には免除される。同省によると今年9月20日現在、病院761、診療所1325、歯科1049、薬局115が「正当な理由あり」と届け出ている。
【中医協】明細書発行、制度の合理化検討へ

■12日(水)日本医師会
 12年度診療報酬改定で見直しが必要な重点項目として、▽再診料および地域医療貢献加算の見直し▽有床診療所の入院基本料の引き上げ▽一般病棟入院基本料15対1の引き上げ―など14項目を発表。再診料と地域医療貢献加算の見直しに関して、中川俊男副会長は同日の記者会見で、「再診料は診療所、中小病院の重要な原資。以前の診療所の水準に戻し、最低でも前回改定における入院医療費改定率相当の引き上げを求める」と述べた。
「不合理」な診療報酬項目の見直しを要望-次期診療報酬改定で日医

■13日(水)民主党厚生労働部門会議
 7区分に再編される介護報酬の新たな地域区分について、厚生労働省からヒアリング。出席した議員からは、新区分に対する異論は出なかった。
介護報酬の新地域区分に「異論なし」- 民主・厚労部門会議

■13日(水)社会保障審議会介護保険部会
 介護職員処遇改善交付金が今年度で終了することを踏まえ、来年度以降の介護職員らの処遇改善の在り方を議論。厚生労働省は、介護報酬内で実現することを前提とする財源確保案などを提示。委員からも厚労省案の実現に前向きな意見が相次いだ。今後は、▽介護納付金の総報酬割導入▽給付の重点化▽第1号保険料の低所得者保険料軽減強化―などが論点になる。
処遇改善の継続、「介護報酬内」前提で検討-介護保険部会

■14日(金)DPC評価分科会
 DPC対象病院に適用する「機能評価係数2」の取り扱いを議論。12年度診療報酬改定で導入する係数2の候補に浮上していた「専門病院の評価」と「診療情報の提供や活用」のうち、専門病院の評価の見送りが決まり、新規の導入は最大でも1項目になる見通し。一方、「地域医療指数」など既存の6項目による評価は存続させる方針。このうち「複雑性指数」「効率性指数」「カバー率指数」の3項目に関しては現在の評価方法を継続させるが、地域医療指数や「データ提出指数」「救急医療係数」の評価方法は見直しを検討する。
DPC係数2、新規は最大1項目の見通し- 既存6項目は存続へ

■17(月)社会保障審議会介護給付費分科会
 今年度末で介護職員処遇改善交付金が終了することを受け、厚生労働省は「処遇改善加算」(仮称)の創設を社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)に提案した。交付金制度で実現した処遇改善を維持するため、介護職員の給与に関する要件も盛り込まれている。
厚労省、「処遇改善加算」創設を提案-処遇改善交付金の年度末終了を踏まえ

 12年度介護報酬改定に向けたサービスごとの議論もスタートした。訪問介護では生活援助の時間区分を60分から45分に見直すことや、サービス提供責任者の要件から実務経験3年以上のホームヘルパー2級修了者を段階的に外すことが提案された。訪問看護では短時間のサービスをより高く評価する方向性が示された。
厚労省、訪問介護の基準見直し案を提示-生活援助の時間区分を45分に
厚労省、訪問看護の基準見直し案を提示-短時間サービスの時間単価をより高く