厚生労働省がこのほど公表した来年度予算概算要求のうち、老人保健福祉関係分は今年度当初予算から1261億円(5.5%)増の2兆4213億円だった。来年度からスタートする新サービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(24時間訪問サービス)の普及など、「在宅医療・介護の推進」には35億円を計上した。

 在宅医療・介護の推進に向け、サービス拠点の整備を進める。具体的には、24時間訪問サービスのほか、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた新サービス「複合型サービス」の普及を図る方針だ。また、既存の訪問看護ステーションの大規模化やサテライト型事業所の設置も進める。低所得高齢者向けの小規模な養護老人ホームの整備推進や、養護老人ホームや軽費老人ホームの個室化推進なども盛り込んでいる。

 また、地域包括支援センターの多職種連携機能を強化するための「地域ケア多職種協働推進等事業」には10億円を計上した。地域ケア会議の運営で指導的な役割を担う人材、在宅医療を担う医師、理学療法士などのリハビリ専門職の確保を支援する。
 さらに、閉じこもりやうつなどで介護予防事業に通うことが困難な高齢者向けに、生活機能の低下を防ぐための訪問型介護予防プログラムを開発し、そのマニュアルを作成する「市町村介護予防強化推進事業」には2.8億円を盛り込んでいる。

 このほか、老人福祉関係予算の大部分を占め、介護給付に対する国の負担金などを含む「安定的な介護保険制度の運営」の項目では2兆3925億円を計上。今年度末で介護職員処遇改善交付金が終了することを受けた来年度以降の処遇改善の在り方については、「予算編成過程で検討する」としている。(CBニュース)