9月22日に開催された第80回社会保障審議会介護給付費分科会では、次年度より実施予定の定期巡回・随時対応サービスと、小規模多機能型居宅介護と訪問介護が一体化した複合型サービスについて論議がなされた。

新サービスにおいては、ケアマネジャー以外に柔軟にプランを変更できる「計画作成担当者」が登場することが明らかになった。

これに対して、木村隆次 日本薬剤師会常務理事・日本介護支援専門員協会会長は、「巡回する人が利用者のモニタリングを行い、翌日にはケアマネジャーに報告するというサイクルを深めていくことが望ましい。しかし看護師の仕事とアセスメントは分けてほしい。また、サービスを提供する事業所以外の法人のケアマネジャーがケアプランを作成するなどして、サービスが過少供給にならない仕組みをつくるべき」と提案した。

この「過少供給」に関しては、利用料が包括払いであることや利用者に事業所の選択権がないなどの理由から、複数の委員も懸念していたが、ある委員からは「なにをもって過少・過大とするのか。要介護4でも、サービス提供は週1回の人もいる。回数が問題なのではなく、家族・本人の意見をよく聞き、ケアマネジメントそのものにあるべき姿を示すべき」と抜本的な考え方の修正を求める声も聞かれた。

また、今回の改正で、にわかに看護師ニーズが高まっているが、武久洋三 日本慢性期医療協会会長は、「介護の現場に看護師が入ることには賛成だ。私なら介護の現場にヘルパーが来るより看護師が来るほうが安心だが、医療機関での看護師不足に拍車をかけている」と人材確保について苦言を呈した。

定期巡回・随時対応サービスの利用料については、「24時間随時対応を出来高払いでコスト計算すると、月70~80万にもなる。包括払いがNGなら限度額を倍にするか、介護報酬を半分にするしかないが、どちらも無理な話」(池田省三 地域ケア政策ネットワーク研究主幹)と、包括払いが前提でないと実現不可能なサービスであることを強調。

さらに、サービスの内容について、池田委員は「24時間、食事も入浴も、ベッドメイクも…というサービスは日本以外どこにもない。北欧を例にとっても食事提供などはずっとシンプル。日本の利用者は、呼べばなんでもやってくれると思っている」と、暗に身体介護以外の部分はサービス過剰であることを示した。しかし、おむつ交換のみ、水分補給のみ、などの短時間巡回は効果があるとし、「15分未満の新サービスを創設してはどうか」と提案した。

次の議題「複合型サービスの基準・報酬について」は、従来の小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合わせた複合型事業所を創設し、現状の1事業所25人定員のなかで、泊まり・通い・訪問に加え看護師の訪問も可能にし、より医療ニーズの高い利用者への支援の充実を図る、などの概要が示された。しかし運営基準についての理解が十分でない委員もおり、こうしたサービスはあくまで重度化対応であり、医療ニーズが増えてくる今後に供え、準備を始めるものという内容にとどまった。(ケアマネジメントオンライン)