国が定めている介護保険施設などの指定基準を、来年度から都道府県が一定の範囲内で定めるようにする地方分権一括法の成立を受け、東京都はこのほど、特別養護老人ホームの従来型多床室の居室定員を「4人以下」とするなどの独自基準案を発表した。同案は、国が現行の「4人以下」から「1人」に基準を変更する方針である点などを踏まえつつ、大都市の特性を考慮に入れた独自の基準が必要として検討してきたもので、独自基準案の発表について都の担当者は、「全国(の都道府県)で初めてではないか」としている。

 指定基準をめぐっては、今年4月に地方分権一括法が成立したことで、来年度から都道府県が国の定める基準を参酌するなどして、特養の居室定員といった指定基準を条例で定めるようになる。これを踏まえ、社会保障審議会の介護給付費分科会では、多床室の居室定員を、入所者の尊厳保持の観点から「1人」に変更する厚生労働省令の改正案を了承している。

 東京都が発表したのは、「特別養護老人ホームの施設整備基準等に関する検討結果」。この中で示されているのは、▽多床室の居室定員を、国基準の「4人以下」と同様にする▽ユニット型特養の1ユニットの定員を、国基準の「おおむね10人以下」から「12人以下」に引き上げる―など。

 多床室の居室定員について、東京都の担当者は、国が基準を「4人以下」から「1人」に変更する方針である点に対し、「ユニット型も(低所得者にも利用しやすい)多床室も足りていない」と指摘。5人以上にしなかった理由については、「(5人以上だと)利用者にとっても介護者にとっても窮屈なため」とした。
 またユニット型個室については、検討結果の中で、1ユニットの定員を10人、12人、15人で試算した結果、12人の場合が、少ない職員数で必要な夜勤者を配置できる上に、日勤帯の各ユニットの職員配置が手厚くなると結論付けている。

 東京都は今後、指定基準に関して厚労省が検討中の省令改正の内容を踏まえた上で、「独自基準案を織り込んだ条例」を制定したい考えだ。(CBニュース)