「第2回日本認知症グループホーム大会」(主催=日本認知症グループホーム協会)2日目のシンポジウムが9月11日、東京都内で開かれ、「介護報酬改定とグループホームのこれから」をテーマに意見交換が行われた。

 来年度の介護報酬改定をめぐっては、同協会副代表理事の岩尾貢氏が、グループホーム職員の夜勤体制について、▽1ユニットに夜勤職員1人を必ず配置する▽2ユニットで3人など、さらに手厚い配置をした場合は、それに見合う加算で評価する―などの強化策を求めた。また、看取り介護加算については、特別養護老人ホーム(特養)で入所者の死亡直前に高い介護報酬が設定されている点を説明した上で、グループホームでも特養と同様に直近数日間に対し手厚い報酬を設定するよう要望した。
 高齢者総合福祉施設アザレアンさなだ(長野県上田市)総合施設長の宮島渡氏は、質の低い事業者への規制が、質の高い事業者への負担につながっていると指摘。「『これだけ報酬を上げてほしい』と主張するだけでなく、『これだけ質が担保されている、効果が上がっている』という点も打ち出さなければならない」と述べ、質向上の必要性を強調した。
 札幌市東区役所保健福祉部長の館石宗隆氏は、グループホームの介護報酬について、要介護度が軽度の場合は新型特養など他のサービスに比べて高く設定されている一方、要介護度が高くなっても増加幅が緩やかな点を説明し、「フラットな(報酬)体系を維持しながら、ターミナルの部分についても、どのような配慮が可能か議論を進めてほしい」と要望。シンポジウムのコーディネーターを務めた社会保障審議会介護給付費分科会委員の村川浩一氏(日本社会事業大社会福祉学部教授)も「グループホームの設立当初の理念の大切さ、フラットな報酬体系の意義を強く主張していきたい」と同調した。

 一方、グループホームの現状と課題をめぐっては、NPO法人ヒューマン・ワークス(大阪府箕面市)理事長の中垣内吉信氏が、利用者が重度化している現状を紹介した上で、「運営が成り立たなければ、(重度者対応など)質の向上に取り組めない」と主張。館石氏は、「2006年の介護保険法改正以降、新規のグループホームの整備にブレーキが掛かっている」と指摘し、「次の(第5期介護保険事業)計画ではもう一度ニーズが見直され、各自治体で計画的にグループホームが整備されることを期待している」と述べた。
 また、宮島氏は、1ユニットを9人から6人にするなど、グループホームの生活単位の縮小を提案。ゆとりあるケアが実現できるなどのメリットを挙げた。ただ、「経営的には非常に厳しい。(事業者が)6人にしたがらないのは、採算が取れないから」と指摘。それでも、ユニット数を増やすなど、経営規模の拡大によってカバーできるとした。(CBニュース)