9月5日に開催された第79回社会保障審議会介護給付会では、会の前半、「介護サービス利用者に対する医療提供のあり方について」議論が行われた。

厚生労働省担当者からまず介護施設での医療提供のあり方について現状の説明が行われた上で、次のような論点が提示された。

○各サービスごとの医療提供のあり方について
(1)特別養護老人ホームなどにおける医療提供のあり方について
・特養における日常の健康管理、一定の専門性が必要となる医療、緊急時の対応、配置医の果たす役割
・介護老人保健施設において提供される医療の範囲について

(2)小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護における看護職員の配置など、看護の提供のあり方について

○看取りの対応の強化について
医療機関以外での看取りへの対応の強化について

勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は、利用者側からの意見として、施設に入所すると、入所前に医療機関に通院していたときと同じ薬が処方されないことがあることを説明し、「施設によって適切な認知症治療が受けられないことがある」と訴えた。

医療ニーズの高い利用者が増加している現状に対して、山田和彦委員(全国老人保健施設協会会長)は、「(ある程度は)老健で対応できるように報酬上の仕組みを設けてほしい」「発生する個別の事象に点数を」と指摘。

また、村上勝彦委員(全国老人福祉施設協会総務・組織委員長)は、特養と他の施設の間で、入所者の医療必要度にあまり差がないというデータを受けて、「特養の医療体制は弱く、カバーできない」「前回改定で常勤医師配置加算が引き上げられたものの、この金額で医師にきてもらうのは難しい」と述べた。

齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)は、施設内の医療体制のみで対応するのではなく、「外部から訪問診療、訪問看護が入るような仕組みをつくることを考えるべき」「これからの急性期医療は在院日数が短縮されるため、(病院を)退院直後の状態が不安定なときに訪問看護が入って支援できるように、『回数制限の限度なく対応できるようにする』、『介護保険の限度額の外におく』など考えてはどうか」と提案した。


↑介護保険施設などの入所者の服薬割合(※クリックして拡大)

このほか、木村隆次委員(日本薬剤師会常務理事・日本介護支援専門員協会会長)は、入所者の薬剤管理について言及。嘱託医が出した処方せんをもとに近隣の薬局でもらった薬を施設のスタッフが管理しているという現状について、「薬剤師が専門職として関わる仕組みを設けてほしい」と主張した。(ケアマネジメントオンライン)