厚労省介護保険指導室は、2月19日に開催した全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において、各自治体の指導監督業務の中核職員への研修など、指導内容のばらつきが指摘される指導監督の標準化を推進するとともに、営利法人の運営する介護サービス事業所に対しては、指導監査を2012年度までに全事業所に実施する意向を示した。

また、介護サービス事業者の事務負担の軽減については、実地指導において、指導指針に基づく資料以外に事前提出資料を求めるなど、不要な書類を提出させている自治体があるとして、改善するよう示唆した。

介護サービス事業者の業務管理体制に関する監督について
(1)指導監督業務の標準化
介護保険における指導監督業務について、指導内容に過度なばらつきが生じないよう標準化を図るため、

・既存のQ&A等の整理や現行の実地指導マニュアルの充実
・指導監査の実施方法についての国や地方自治体相互の情報の共有化を図るためのブロック会議の開催
・指導監督担当職員の資質向上を図る研修の充実(各自治体の指導監督業務の中核職員を対象とした研修)

などについて各都道府県から意見を集めているところ。今後さらに検討を行いつつ、事業者団体などの意見なども参考に指導監査の標準化に向けての方向性とスケジュール等を取り決めていく予定。

(2)指導・監査指針に基づいた指導監督の実施等
介護保険における指導監督については、「介護保険施設等の指導監督について」(2006年10月23目付老健局長通知)により、指導・監査指針の改正を行い、事業者等のサービスの質の確保・向上を図ることを主眼とする「指導」と、指定基準違反や不正請求の事実内容について挙証資料等をもとに把握し、介護保険法第5章の各規定に定められた権限を適切に行使する「監査」との明確な区分を図った。各都道府県は、その趣旨に基づいて指導監督にあたるとともに、管内市町村に十分な周知と理解を促すこと。

また、実地指導のための基本的な知識や利用者の生活実態の把握、サービスの質の向上につながるケア実施についての確認方法などを記した「介護保険施設等実地指導マニュアル」を十分な理解・活用し、各種情報に基づく機動的な指導監督体制の確保、介護保険制度を熟知した担当者の配置など適切な指導監督を確保するための実施体制の整備を行なうこと。

(3)行政措置を行う場合の留意点について
行政措置を行う際の情報提供の徹底と関係自治体の連携の強化
事業所の監査に基づき、指定の効力停止、指定等の取消の行政処分を行う際には、必ず聴聞等の行政処分にかかる手続きを行う前に、老健局総務課介護保険指導室へ情報を提供をする。

特に、今回の法改正により、業務管理体制の整備等への監督権限の付与、指定・更新の欠格事由の見直し等が行われたので、指定等取消処分を実施する自治体は、指定等取消処分を実施する前に処分を行おうとする介護サービス事業者の事業展開地域の把握を的確に行い、関係自治体との十分な情報共有や緊密な連携のもとに対応すること。また各都道府県は特に管内市町村に対し、この点の周知を図る。なお、改善勧告・命令についても、その都度、介護保険指導室あてに情報を提供する。

集団指導等における行政処分の要因分析の活用
改善勧告、改善命令、指定の効力の全部又は一部停止や指定の取消処分を行った場合、これに至った要因の分析を各自治体において行い、その結果を集団指導等を通じて周知するなど、不正事案発生の未然防止に活用する。

(4)実地指導における介護サービス事業者の事務負担の軽減
介護サービス事業者に対する実地指導については、2006年の指導監査指針の見直しにより、書面指導や「主眼事項および着眼点」を活用したチェック・指摘型の実地指導方法を廃止した。
実地指導に関するマニュアルにおいては、行動障害のある利用者等のリストの作成、各種加算等自己点検シートによる自己点検とその内容が確認できる既存書類等の準備を求めるように改め、それ以外の新たな資料の作成は求めていないなど、実地指導における介護サービス事業者の事務負担の軽減を図った。

各自治体において、現在でも実地指導の際に指導指針に基づく資料以外に、人員、設備および運営基準の状況を確認するための事前提出資料の作成を求めている場合は、指針の見直しの趣旨を理解の上、指導監督業務に係る介護サービス事業者の事務負担の軽減に取り組むこと。

(5)営利法人の運営する介護サービス事業所に対する監査の着実な実施
営利法人の運営する介護サービス事業所に対する監査については、「2008年度から2012年度までの5年間で営利法人の全ての介護サービス事業所に対し指導監査を実施」することとされている。
各自治体においては、5年間の全体計画および各年度毎の計画を策定した上で、計画的な指導監査が行なわれているが、引き続き2012年までの間で対象となる全ての事業所に対して監査が行われるよう、着実に実施すること。また、今後、監査の実施状況について、報告をすること。

(6)その他
2009年度においても、引き続き自治体への実地ヒアリングを実施するが、具体的な調整方法等については別途連絡する。また、各自治体における介護サービス事業所等への指導監督の実施状況についても、引き続き報告を依頼する。(ケアマネジメントオンライン)