厚生労働省は12月18日、「第5回介護予防継続的評価分析等検討会」(座長=辻一郎・東北大大学院教授)を開催した。委員からは新予防給付の費用対効果について、「1800億円規模の費用削減効果も期待できる」という見方が示された。

 厚労省の継続的評価分析支援事業は、2006年度から介護予防(新予防給付・特定高齢者施策)の効果について調査を開始。現在83の市町村を対象に調査を行っており、そのデータを基に、「介護予防サービスを受けた高齢者の心身の状態や活動状況の変化」「介護予防の費用に対する効果」を分析している。調査は来年1月末に終了し、今年度末には最終取りまとめを行う。
 今回の検討会では、介護予防の施策導入に伴う「費用対効果」と「属性等による介護予防効果の違い」についての資料が示された。
 介護予防導入による費用対効果についての分析では、介護予防給付サービスを受ける「要支援1」と「要支援2」の各1000人の高齢者について1年間の追跡調査を行った上で、新予防給付導入前(2004年1月-12月)のレセプトデータと、導入後(07年1月-12月)に行われた継続的評価分析支援事業のデータを比較した。
 介護予防給付サービスを受けた「要支援1」の高齢者1000人のうち、1年後に要介護度が悪化したのは234人で、導入前の「悪化した」389人から155人減少したと報告した。
 予防給付の導入効果として、少なくとも約1億200万円(1人1年当たり約10万2000円)の費用が減少すると試算している。
 また、介護予防給付サービスを受けた「要支援2」の高齢者1000人のうち、1年後に要介護度が悪化したのは67人で、導入前の250人に比べ183人減少したという。
 予防給付の導入効果として、少なくとも約4億3500万円(1人1年当たり約43万5000円)の費用が減少するという。

 この調査をまとめた大久保一郎委員(筑波大大学院教授)は、大ざっぱな試算だと前置きした上で、「仮に、83市町村の結果を単純に(全国的に)広げると、『要支援1』で300億円、『要支援2』で1500億円(合計1800億円)くらいの削減効果があるのでは。介護保険全体の3%弱にあたる」と述べた。

 検討会では、「属性等による介護予防効果の違い」についての分析も示された。「若年であるほど維持・改善しやすい」「女性の方が維持・改善しやすい」「独居者は維持・改善しやすい」「普段の生活で役割がある者は維持・改善しやすい」などの傾向を指摘。筋力増強訓練と耐久性訓練は、マシンを使用するしないにかかわらず、効果が見られるとしている。(CBニュース)