12月12日に開かれた社会保障審議会・介護給付費分科会(座長=大森彌・東大名誉教授)に、厚生労働省は、訪問介護の「サービス提供責任者」の人員配置基準の見直し案を示した。常勤に限られているサービス提供責任者を、非常勤職員についても一定程度認める内容となっている。

 分科会は、サービス提供責任者に対し報酬上の評価をすることについて大筋で合意していたが、人員配置基準については、▽従来通り常勤を基本にする▽優秀な非常勤職員にも道を開くべき▽人数ではなく配置時間で定める可能性もある-など意見が割れていた。
 厚労省は、以前に示した「サービス提供責任者を複数配置する事業所で、常勤換算数が常勤数を超えないものとする」案に加えて、新たに「サービス提供責任者を複数配置する事業所で、原則的に一人分のみ常勤換算できるようにし、5人を超えるサービス提供責任者の配置が必要な事業所も、3分の2以上を常勤者とする」案を示した。
 2つの案を検討する上で、▽現行のサービス提供時間(月450時間)か、訪問介護員などの員数(10人)に応じた最低基準は維持▽常勤職員を基本とし、非常勤職員の登用を一定程度可能とする方向で見直す▽職業能力開発機会の充実や業務の具体化・標準化を推進▽非常勤職員について認めた後の状況を検証し、必要な対応を行う-ことを基本にすることも示された。

 厚労省が訪問介護事業所に対し12月上旬に行ったアンケート(回答数152事業所)によると、常勤職員の確保が困難なために必要なサービス提供責任者の配置ができず、サービスを抑制したことがある事業所が19%あった。また、非常勤職員の中で資格要件を満たし、能力的にもサービス提供責任者として適任の訪問看護員がいると回答した事業所は72%に上った。