社保審分科会

 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働相の諮問機関)は12日、来年4月からの介護報酬改定の基本方針を了承した。介護職の待遇改善や介護の質の向上のため、夜勤など負担が大きい業務への報酬を手厚くすることなどを盛り込んだ。

 政府・与党は既に介護報酬を3・0%引き上げることを決めており、同省は年内にも個別の介護サービスの報酬単価を決める方針だ。

 基本方針では、人手不足が深刻な介護職の確保のため、介護職の待遇改善を最大の課題に位置付けた。そのため、〈1〉負担が大きい介護施設の夜勤業務〈2〉介護福祉士の資格保有者や常勤職員の割合が多い事業所〈3〉人件費が高い都市部や小規模経営になりがちな中山間地域の事業所などの報酬を手厚くする。

 また、医療と介護の連携を強化し、住み慣れた地域で生活を続けられるように、リハビリや訪問看護を充実させる。具体的には、介護保険でリハビリができる場所を増やすため、リハビリを行う医療機関を通所リハビリ事業所として扱うほか、1人の利用者に対して2人が同時に訪問看護を行った場合の報酬を導入する。

 さらに、認知症介護の質を上げるため、専門的な研修を受けた職員が介護を行ったり、事業所が若年性認知症患者を受け入れ、本人や家族の希望をふまえた介護を行ったりした場合、報酬上の評価を行うことにした。一方、現在、年金から天引きされている介護保険料を口座振替にもできるようにする制度の導入について、同省は、4月からの実施を見送り、導入に反対する市町村と協議を続ける方針を示した。

 09年度介護報酬改定で報酬を手厚くする主な項目

 ・施設での夜勤業務

 ・介護福祉士や常勤職員の割合が高い事業所

 ・都市部や中山間地域の事業所

 ・リハビリ、訪問看護

 ・専門的な認知症介護、若年性認知症患者の受け入れ

 ・認知症、独居高齢者に対するケアマネジメント