厚生労働省は12月3日に開催した社会保障審議会介護給付費分科会で、介護報酬改定についての基本的な考え方を取りまとめた、たたき台を提示した。

■介護療養型老人保健施設
介護療養型老人保健施設については、療養病床からの転換の受け皿として、入所者に対する適切な医療サービスの提供が可能となるよう、医薬品費・医療材料費や医師によるサービス提供といった入所者に対する医療サービスに要するコスト、要介護度の分布といった実態を踏まえ、報酬上の評価を見直す。

また、「医療機関」から入所した者の割合と「家庭」から入所した者の割合の差が35%以上を標準とする施設要件については、周辺における医療機関の有無や転換前の医療機関の病床数に応じた特例を設ける。

さらに、療養病床を有する医療機関が、転換の前後で全体のペッド数を変更することなく、病棟の一部を介護療養型老人保健施設に転換する場合、転換前後で夜間の看護・介護職員の配置職員数が増加することのないよう、夜間配置基準の特例を設ける。


■介護療養型医療施設
介護療養型医療施設におけるリハビリテーションについては、医療保険との役割分担の明確化や整合性を図る観点から、理学療法(1 )及び作業療法について、医療保険における脳血管疾患リハビリテーション料(皿)等と人員配置基準が同様であることを踏まえ、評価を見直す。併せて、リハビリテーションマネジメント加算および短期集中リハビリテーション加算について、介護老人保健施設と同様の見直しを行う。

また、言語聴覚士が集団に対して実施するコミュニケーション療法について、報酬上の評価を行うとともに、ADLの自立等を目的とした理学療法等を行った場合の評価については、診療報酬と同様に報酬体系の簡素化の観点から見直しを行う。

さらに、介護療養型医療施設における夜勤の職員配置については、現在夜間勤務等看護加算で評価しているところであるが、要介護度の高い者が入所していることなどを踏まえ、基準を上回る職員配置を行っている施設に対し、報酬上の評価を行う。

外泊時費用については、介護老人保健施設と同様、その評価を適正化するとともに、入院中の患者が、他医療機関を受診した場合についても同様にその評価を適正化する。


■栄養管理体制・栄養マネジメント加算等の見直しについて
管理栄養士または栄養士の配置を評価した栄養管理体制加算については、その算定実績を踏まえ、基本サービス費に包括して評価するとともに、栄養マネジメント加算については、栄養マネジメントの適切な実施を担保する観点から、その評価の見直しを行う。


■口腔機能向上、栄養改善(栄養マネジメント)サービスの見直しについて
口腔機能向上加算、栄養改善(栄養マネジメント)加算およびアクティビティ実施加算については、サービス提供に係る労力などを適切に評価する等の観点から、
その評価の見直しを行うとともに、アクティビティ実施加算について、運動器機能向上加算、栄養改善加算、口腔機能向上加算に係る届出を行っている事業所についても算定を認める。


また、サービスが必要な者に確実にサービスを提供する観点から、栄養改善(栄養マネジメント)加算、口腔機能向上加算について、対象者の基準を明確化する。

さらに、医療と介護の連携を図る観点から、歯科医療を受診している場合であっても、本加算が評価しているサービス内容と重複しない範囲についての評価の見直しを行う。一方、介護保険施設において、介護職員が入所者に対して計画的なケアを行うことができるよう、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が日常的な口腔清掃等のケアに係る技術的指導・助言を行う場合に評価を行う。


■事業所評価加算の見直しについて
利用者の要支援状態の維持・改善を評価する事業所評価加算については、引き続き継続するとともに、事業者の目標達成に向けたインセンティブを高め、利用者により適切なサービスを提供する観点から、要支援状態の維持をより高く評価する方向で算定要件の見直しを行う。