厚生労働省は12月3日、第61回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、2009年度介護報酬改定に向けた各介護サービスの基本的な考え方を提示した。福祉用具貸与・販売について、介護給付費通知による同一製品の貸与価格幅などの通知を可能とするほか、日帰りの短期入所療養介護(特定短期入所療養介護)では、現在の1日単位からサービス提供時間に見直すとされている。

■福祉用具貸与・販売
福祉用具貸与の価格については、同一製品で非常に高額になるケースがあることを踏まえ、競争を通じた価格の適正化を推進するため、製品毎の貸与価格の分布状況の把握・分析・公表や、介護給付費通知における同一製品の貸与価格幅などの通知を可能とするなど、都道府県、市町村の取り組みを支援する。

また、福祉用具サービスの向上、貸与種目と販売種目の整理等保険給付のあり方については、状態像に応じたサービス提供の状況、メンテナンスにかかわる実態把握、有効性などについて早急に調査研究を行い、「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」において、引き続き議論・検討を行う。

■通所介護
通所介護については、一定規模以上の事業所に対する評価のあり方について、事業規模別の収支差率の状況を踏まえ、スケールメリットを考慮しつつ、全体として事業所の規模の拡大による経営の効率化に向けた努力を損なうことがないようにするとの観点から、規模の設定および単位を見直す。また、通所介護が提供する機能訓練の体制、サービス提供方法に着目した評価を充実する。

■通所リハビリテーション
リハビリテーションの利用者が、医療保険から介護保険に移行しても、ニーズに沿ったサービスを継ぎ目なく一貫して受けられるよう、短時間・個別のリハビリテーションついての評価を行うとともに、リハビリテーションの実施者について医療保険との整合性を図る。さらに、利用者のアクセスを向上し、医療から介護への移行をよりスムーズにするという観点から、診療報酬において脳血管等疾患リハビリテーション又は運動器疾患リハビリテーションを算定している医療機関については、通所リハビリテーション事業所としての指定があったものとみなす。

リハビリテーションマネジメント加算については、「PDCA サイクル」の流れを評価したものであること等を踏まえ、月に1回の評価とし、短期集中リハビリテーション実施加算については、早期かつ集中的なリハビリテーションをさらに充実する観点から報酬上の評価を見直すとともに、3カ月以内に限定にすることとする。併せて、3カ月以降の個別リハビリテーションについて、新たな評価を行う。

また、理学療法士などを手厚く配置している事業所を評価するとともに、効率的な事業所経営を可能にする観点から、理学療法士等の人員配置基準については、1以上確保することを条件に利用者数に比例した常勤換算従業者数とし、併せて1人の従業者が対応できる利用者の上限について見直す。

一定規模以上の事業所に対する評価のあり方については、事業規模別の収支差率の状況等を踏まえ、スケールメリットを考慮しつつ、全体として事業所の規模の拡大による経営の効率化に向けた努力を損なうことがないようにするとの観点から、規模の設定および単位を見直す。

■療養通所介護
医療ニーズおよび介護ニーズを併せ持つ在宅の中・重度の要介護者に対するサービスである療養通所介護事業所の経営の安定化を図り、安定的なサービスを提供する観点から、利用定員の見直しを行うとともに、専用の部屋の面積基準について、他のサービスの面積基準との均衡を考慮し、緩和する。

■短期入所者生活介護
短期入所者生活介護については、基準を上回る夜勤職員の配置を評価するとともに、入所者の重度化などに伴う医療ニーズに対応する観点から、常勤の看護師の配置や基準を上回る看護職員の配置を評価する。その際、併設事業所においては、本体施設と一体の人員配置を評価する。

■短期入所療養介護
夜間や緊急の医療行為が必要な場合であっても対応できる有床診療所を活用することにより、サービス提供事業所を拡充する観点から、診療報酬において「診療所後期高齢者医療管理料」を算定している一般病床などにおける算定を可能とする。

短期入所中の集中的なリハビリテーションについては、その効果が高いことを踏まえ、介護老人保健施設における短期入所療養介護での個別のリハビリテーションの提供を評価する。

また、緊急時のニーズへの対応をより拡充する観点から、緊急時短期入所ネットワーク加算の算定要件を見直す。さらに、日帰りの短期入所療養介護(特定短期入所療養介護)について、かかる労カを適切に評価する観点から、現在の1日単位の評価から、サービス提供時間に応じた評価に見直す。