聖夜に喧嘩上等 | L'Ecume des Jours Ⅱ

聖夜に喧嘩上等

ジャズ史に残る有名な「喧嘩セッション」は1954年のクリスマス・イヴに行われた。
「MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS」のアルバム中A面1曲目の「The Man I Love (Take 2) 」
「帝王」マイルスが先輩格の「高僧」セロニアス・モンクに自分のトランペットパートの時はピアノを弾くなと言ったことから、カチンと来た(と思われる)モンクがなんと自分のピアノソロを途中で辞めてしまうと言うアクシデントめいた状況下に陥ってしまう。
本来モンクのガゴギグゲコ的な(個人観)ピアノにホーンを被せるのはややもすればバランスを欠く。
しかし、剥れたモンクは気の抜けたよく言えばアンニュイなソロを続けた後、突然ピタリと止めてしまう。
それが演奏中5:30ぐらいのところで確認出来る。




およそこれは10秒程続き、辛抱堪らなくなったマイルスがソロを入れ始めるとやおらモンクが演奏を再開する。
予期しない沈黙が喧嘩真っ最中なのか、嵐の前の静けさなのかはいざ知らず後年マイルスは喧嘩ではなかったと述べているが、実際はどうだったのだろう。
果たして聖夜の喧嘩セッションは名盤に成り得たのだから両巨人の底力恐るべし。
皆さんもクリスマスだろうが、正月だろうが意に介さない出来事があったら怒りましょうね。
怒りは顕す時に顕さなければストレスが溜まる以上に相手に誤解を与え、益々付込まれるるハメになる事が多い。
隣国二国には特にそれが言える、言わなければいかん。(何の話だよ)
それともマイルスの口癖、SO WHAT?の域を会得すべきか。

MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS
参加ミュージシャンはマイルス、モンクの他にミルト・ジャクソン(vib)、パーシー・ヒース(b)、ケニー・クラーク(ds)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、ジョン・コルトレーン(ts)
今にして思えば頭クラクラするようなメンバーだ。