障害基礎年金、就労で不支給増加か

県内で相次ぐ不支給決定


(信濃毎日新聞2009年9月8日 第一社会面より)

就労している精神障害者に障害基礎年金の不支給決定が増えている可能性があるとして、県精神保健福祉士協会(事務局・松本市)が実態調査に乗り出している。支給の可否を決める長野社会保険事務局(長野市)は「就労には左右されていない」とするが、知的障害者の支援現場でも同様の声がある。決定理由も詳細に説明されておらず、支援現場や家族には福祉行政への不信感が広がっている。

県内10圏域にある障害者総合支援センターの関係者や精神科医によると、2007年ごろから、就労している障害者が年金支給を申請した場合、これまでの年金受給者と同程度の障害なのに不支給となったり、本人の障害の程度に変化がないのに就労後の再認定で不支給となった例が目立つという。

こうした声を受け、精神障害者の相談や支援をしている精神保健福祉士でつくる協会はこのほど、「実態を把握する必要がある」として約280人の会員に調査協力を呼び掛ける書面を送付した。

県障害者自立支援課も昨年5月、同様の指摘を受けて各地のセンターを通じて支給状況を調査。06、07年度にセンターを窓口に申請した際、就労していた13人(いずれも知的障害者)のうち支給されたのは1人だけだった。

支給の可否は、主治医の診断書や勤務先が書面で回答した勤務状況などをみて認定医が判断し、長野社会保険事務局が最終決定する。同事務局は「判断材料は主に障害者の日常生活。就労実態があるからといって不支給にしているわけではない」〔年金調査官)と、支援現場の見方を否定している。

ただ、不支給決定の通知は決定理由をほとんど記載しておらず、同事務局も詳細な理由は把握していないという。認定医は県内に3人だけで、精神、知的障害者は1人が担当。医師名も公表されていない。上田市のNPO法人上小地域障害者自立生活支援センターの橋詰正所長は「当事者に判断基準が見えていない」と指摘。支援現場では、不支給の根拠となった判断理由を当事者に明確に伝えるべきだとの声が出ている。

見えぬ基準 広がる不安


「仕事をしていると年金や給付金が受けられないのだろうか・・・」。障害者や家族にはそんな不安が広がっている。長野市の精神障害者の男性(41)は特別障害給付金支給の再認定を受けようとしたが、昨年9月、2005年から続いていた支給を打ち切られた。提出した主治医の診断書は以前と変わらなかったが、07年3月から市内の特別養護老人ホームで清掃の仕事に就き、月10万円ほどの収入を得ていた。男性は「働いているからなのか」と不安になり、結局仕事も休みがちになって今年6月に退職した。

給付金は国民年金未加入時に障害を負った無年金障害者に障害年金と同じ仕組みで支給しており、男性は月4万円を受け取っていた。収入を失った男性は「外出すればお金が要るので、何となく家にいる」と話す。

同じ病気がある友人は「働いたら年金が打ち切られる」と年金だけで暮らし、パートで月10万円程度の収入がある別の友人は、再認定手続きを求める社会保険事務局の知らせが「いつ来るか」と恐れているという。「自立を助ける年金の精神がゆがめられている」と男性の母親。7月下旬、決定を不服として審査請求を申し立てた。

不支給の通知には短く「障害の状態が改善し」とだけ。男性の主治医が社会保険事務局に電話で説明を求めたが、具体的な説明はなかった。主治医によると、事務局の職員は「月10万円の収入があればいいじゃないですか」と発言したという。

須高地域障害者支援センター(須坂市)の相談支援専門員、富岡由紀子さんも「この1年ほどで月10万円程度の収入がある知的障害者が相次いで不支給になっている」。事務局に説明を求めたが、職員に「生活できているではないか」と言われたという。

こうした発言について同事務局は取材に「言うはずがない」と否定している。

信濃毎日新聞 2009年9月8日掲載
天国はまだ遠く~うつ病からの脱出~-働く障害者 止まる年金

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記事を読んで、長野社会保険事務局の対応の酷さを感じました。説明を求めても回答が不十分だったり、言ったことを言ってないといってみたりカチッ

私も精神障害者として、障害厚生年金の給付を受けていますが、年金の説明を精神保健福祉士さんから受けたときには、働いているとの理由で年金がストップされることはない。所得制限は、無拠出の年金(20歳前傷病による障害基礎年金)のみに行われると聞きました。もちろん、精神障害の場合は、病気が寛解し障害がなくなった場合は、障害年金を受けられなくなると思いますが、新聞で取り上げられたのは、障害の程度は変わらない場合の話です。

私は障害厚生年金の給付を受けているので、認定は社会保険業務センター(東京)が一括して行っているので、
長野社会保険事務局は関係ないと思いますが、実際に自分の身に起こったらと考えると不安ですもじゃもじゃ私は今のアルバイト収入は月3万円くらいですが、これでは生活ができないので、せめて月10万円は稼ぎたいと思い、職探しをしていますが、不採用続きでなかなか決りません。でも、いつかは月10万円稼げる仕事に就きたいと思っています。そうすると、新聞記事にもあった清掃の仕事をしていたという男性と同じ状況になりますが、長野社会保険事務局の職員が「月10万円の収入があればいいじゃないですか」と発言したというのは、気になります。私だって、月15万~20万円稼げるものなら稼ぎたいですが、今の厳しい雇用情勢ではムリというよりも、私自身がまだパートレベルの比較的簡単な仕事にしか就けない状態にあります。その仕事をだいたい給料にすると10万円ということなのです。母と2人での生活で、母も年金はもらっていますが微々たる金額なので、私の障害年金はホントに家計を維持していくのに必要なものなのです。

今回問題提起されたので、改めて「働いているとの理由で年金がストップされることはない」ということを明確にし、正しい認定が行われ、障害者の生活が安定するようにして欲しいと思います。年金のことだから、社会保険庁だから厚生労働省の所管になるのか?新しい政権でも、お願いしたいですたのむ