先日、NHKで
「ビジネスホテルが取れない ~都心の宿泊困難 解決策は~ 」
(2015年6月19日(金))
という番組が放送されていました。
いつ頃だったか、以前、大阪の人でよく東京に出張に来る人が言っていました。
「都内のビジネスホテルの予約が取りづらくなってきている。値段も上がってきている。」
「新幹線は、特に名古屋~東京間が席を取りにくい。」
株価上昇による大企業の活動活発化などもあると思いますが、ビザ条件の緩和や円安などが効いていて、外国人観光客が増えているのも要因の一つのようです。
国土交通省・観光庁によれば、訪日外国人旅行者数2,000万人を目指し、ゆくゆくは3,000万人を目指すようです。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/index.html
日本政府観光局「訪日外客数の動向」
http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/visitor_trends/
確かに外国人の旅行者、増えてますよね。
あちこちで、いかにも「観光客」みたいな感じの外国の人達を見かけます。
日本は物的資源が乏しいので、観光も確かに資源として有効利用すべきかも知れませんね。東京五輪までにたくさん外国人観光客が来るでしょうから。
しかし、例えば、都内の地下鉄の路線図で外国の人が困っているのをよく見かけます。
やはりメトロと都営が別々なのは分かりにくいでしょうね。運賃にしろ、サービスにしろ・・・。
メトロと都営の一元化についての問題は「メトロ 都営 統合」とか「合併」などで検索すればネットにごろごろあるので、ここでは触れませんが、個人的には経営統合して欲しいなぁ、的な部分もあります。
個人的な感想から言えば、メトロの方ががんばってる感じ、都営は暗い・・・。都営はバスの運転手さんもだいぶ公務員的意識が高いような気もします(実際、公務員なんだろうけど)。運転手さんによって質がバラバラです。
バス停を発車しそうな瞬間、女子高生が急いで走ってきたら待っててあげる運転手さんが、オッサンやオバハンが走ってきたらむしろアクセルを踏んで急いで発車する、とかそういう場面もよく見ます(笑)。
利害関係者も多いし、色々難しい問題があるんでしょうけど、とっとと統合してもらったら経済的にも大きな効果があるような気がするんですけどねぇ。
東京地下鉄株式会社「有価証券報告書」
http://www.tokyometro.jp/corporate/ir/securities_report/index.html
東京都交通局「経営の状況」
http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/information/keiei/settlement.html
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さて、話は変わりまして。
法人税の有姿除却の件です。
「ゆうしじょきゃく」と読みます。
「姿が有る(廃棄していない)のに除却損を計上できる」という規定です。
例えば、
「もう使うことはない固定資産があるけど、コストなどの面から見て廃棄・除却が出来ない。
ただし、帳簿価額が残っている、これを税務上の損失にすることはできるだろうか」
こんなケースがあります。
国税庁では、下記のような通達があります。
「有姿除却」の通達です。
(有姿除却)
法人税基本通達7-7-2
次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても、当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。
(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産
(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_07_01.htm
大きく2パターンが挙げられています。
(1)は「その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産」とあります。
なお、過去の判例では、
「資産がもはや固定資産としての命数又は使用価値を失っていることが客観的に立証される資産であることが、有姿除却処理の認められる要件と考えられる。」
とされています。
有姿除却の損失計上が否認された事例では
「自社での転用を検討している。」「売却も検討している。」「使用できる状態である。」などの理由から
「今後通常の方法により事業の用に供する可能性がない」ことを客観的に立証できていない、ということで否認されています。
ですので、「絶対に使えない」的な根拠(自称ではダメ)を揃えるべきでしょう。
(2)については「特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの」とありますので、過去の使用実績や販売計画などを根拠資料とすべきと思います。
実務でも検討することがある通達ですので、頭の隅に置いておいても損はないかも知れません。
なお、この通達の適用に当たっては「自称、使わない」「自称、使う予定はない」ではなく、「客観的に使う見込みがないことが明らか」であることを立証するようにしてください。
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下記は、災害に関する事例Q&Aです。
基本的な考え方は、法基通7-7-2の通りです。
国税庁HP「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」より
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/hojin_shohi_gensenFAQ/answer03.htm#q04-2
原発事故により被災した減価償却資産の有姿除却
[Q4-3] 当社では、原発事故による賠償対象区域内に保有する建物について、諸般の事情を踏まえた結果、今後、事業の用に供する可能性はありません。
また、その解体・撤去等も困難であることから、当社では、当該建物を現状のまま除却処理することとしました。
この場合、当該建物について、税務上、除却損の計上が認められるのでしょうか。
[A]
お尋ねの建物のように、その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産については、その帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができます(法基通7-7-2)。