結婚するとオーバーステイでなくなるのでしょうか?-「在留特別許可」 | ビザと外国人-Visa Foreigner - Immigration Lawyer/Tokyo/Japan

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東京の行政書士です(一橋大学 法学部卒)。

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こんにちは。


いかがおすごしでしょうか。


今日は、以下のような設定により「在留特別許可」についてご説明します。少し長いです。


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外国国籍のビルさんと、日本国籍の花子さんは、5年前に結婚して、日本で幸せな生活を送っていました。



ところが、ビルさんの留守中、突然警察から花子さんに電話がかかってきました。

ビルさんが、オーバーステイ(不法滞在)になっていて、出入国管理法違反の現行犯で逮捕されたというのです。



― 花子さんは、一瞬耳を疑いました。



確かに結婚前、ビルさんからオーバーステイになっていることは聞いていましたが、市役所で婚姻届が受理されたので、もうオーバーステイは解消されたと思っていたからです。



とにかく花子さんはすぐに知り合いから、ビザ関係を扱っている行政書士さんを紹介してもらい、詳しく聞くことにしました。


― そうすると次のような説明を受けました。



「婚姻の成立と、入国管理局の手続きは、全く別であり、たとえ婚姻が成立しても、「出入国管理及び難民認定法」上のオーバーステイは解消されません。オーバーステイのままです。

市役所では、婚姻届を受理する時、入国管理局に問合わせをすることは通常しませんし、オーバーステイを理由に婚姻届の受理を拒否することはありません。

そういうわけで、婚姻後であっても、オーバーステイで逮捕されることがあります。」と。



― ではこれからビルさんはどうなるのでしょうか。



ビルさんは、警察での手続きが終わった後(通常2日から10日)、パトカーで入国管理局に連行され、本国への強制送還の手続きに移ります。そのため、入国管理局に30日か60日拘束されます。(その前に仮放免されることもあります。)


強制送還されますと、逮捕されたビルさんのケースですと、通常少なくとも5年間、場合によっては10年間、日本に来ることができなくなります。


しかし、ビルさんと花子さんご夫婦に対して同情すべきところもあります。




そこで、このような場合であっても、ビルさんが適法に日本に滞在できる場合があります。

それは、法務大臣の裁量によってなされる「在留特別許可」による場合です。


「在留特別許可」とは、本来日本に滞在できる法律上の根拠がないにもかかわらず、特に日本とのかかわりが深いとみとめられる時、法務大臣の裁量により、事実上の温情として特に在留を認める、という性質のものです。こちらから申請できる手続きではありません。


ですから、ビルさんが逮捕される前に、花子さんご夫婦の方から「在留特別許可」を申請したいのですが」と入国管理局の窓口で言ったとしても、担当者からは「そのような手続きは存在しません!次の方どうぞ。」と、きつく言われるだけです。本当にきつく言われます。




ただし、強制送還されることを覚悟の上で、ご自分の方からオーバーステイであることを告白し、「それでもどうしても日本に在留したい理由がある。」と届けることができます。その結果、約6ヶ月ないし2年ほどの後、「在留特別許可」を受けることができる場合があります。


たとえば、東京入国管理局ではこれを6階の調査第3部門の窓口で届けます。

 受付曜日: 月・火・木・金 (水はなし)

 受付時間: 09:00~11:00 13:00~14:00


これはあくまで強制送還の手続きの一部です。


調査第3部門では、そのとき、「陳述書」を交付することがあります。これには必要書類が明記されています。その後何度か面接(取調べ)があります。


もっとも、その必要書類をすべて提出しても、「在留特別許可」の有無はあくまで法務大臣の裁量ですから、いつ許可がなされるか、なされないか、もわかりません。


なされない場合は強制送還されます。


また、その必要書類の提出後であっても、「在留特別許可」がなされる前であれば、警察官にオーバーステイの現行犯で逮捕されることがあります。




― お話しが長くなってしまいました。



では、ビルさんのように現行犯逮捕されてしまったら、「在留特別許可」は受けられないのでしょうか?


いいえ、受けられる可能性があります。ただし、それは入国管理局の担当者が判断します。特にビルさんの場合は、日本人の妻がいますので、「在留特別許可」が受けられる可能性があります。その場合、担当者の判断により、先の「陳述書」が手渡されます。花子さんはそこに明記されている必要書類を提出することになります。




今ここで、逮捕から6ヵ月後にビルさんに「在留特別許可」がなされた、と仮定しましょう。そのときビルさんはどうなるのでしょうか?


ビルさんは「在留特別許可」後、通常1年間日本に適法に滞在できることができるようになります。その在留資格は、ビルさんの場合通常「結婚ビザ」(「日本人の配偶者等」)となり、パスポートにそのスタンプが押されます。また、1年後その「更新」ができます。


つまり、ビルさんは「在留特別許可」がなされた時点から、適法な「結婚ビザ」を取得したのと同じことになるのです。


「在留特別許可」がなされず本国に「強制送還」され、少なくとも5年間来日できなくなる場合と比較すると、その後の人生において大きな差が生じます。




オーバーステイになった場合、悩んでいないで、すぐに弁護士又は行政書士に相談されることをお勧めします。


以上