ただ漫然とつまらない失敗作。「ワールド・デストラクション ~導かれし意思~」 | 逆転裁判合同ブログ1号店

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■DS:「ワールド・デストラクション ~導かれし意思~」 SEGA/イメージエポック


「ルミナスアーク」を手がけた新進気鋭のディベロッパー、
イメージエポックが放つ本格RPGがニンテンドーDSに登場。
発売前からコミックの連載、TVアニメの放映など、
大々的なメディアミックス展開も話題を呼んだ。
・・・が、かえってそれがプレッシャーになってしまったか?

獣人が人間を隷属する世界に生きる朴訥な少年キリエ。
片田舎の農村で穏やかに生活していた彼だったが、ある日、
キリエが「世界撲滅委員会」に加入したことを報じるビラがばら撒かれる。
事態が把握できず混乱するキリエの前に、同じ「世界撲滅委員会」を名乗る
少女モルテが現れ、共に世界を撲滅するべく旅に出る。



---[ 何が駄目というか、何もかも駄目 ]---

戦闘は、オーソドックスなコマンド入力タイプなのだが、
X、Yボタンに技が割り当てられていて、
バトルポイント(BP)の数だけ攻撃できるようになっている。
特定の条件を満たすと、必殺技を打つことも可能になる。

キャラクターは小さいがよく動き、エフェクトも派手。
ダメージ表示の仕方にもこだわりが見えるなど、なかなか凝った作り。
だが、技を出すと、一連のアクションが終わるまでボタン入力を
受け付けないため、テンポが悪く爽快感がない。

技もブロウ技とラッシュ技という2種類が用意されているのだが、
ある地点から、ラッシュ技が異常なほど強力になってしまうため、
使い分けるメリットが見当たらず、必殺技すら空気になってしまう。
それどころか、強力すぎるラッシュ技を連発させないための、
抑止力としての役割しか果たせていないという有様である。
結果、大抵の雑魚は攻撃がヒットすれば一撃で倒せてしまうため、
戦闘が作業化してしまい、テンポの悪さもあって非常にダルい。

ボス戦も、戦い方によっては延々ボスの攻撃ターンが連続するなど、
何を思って、こんな意味不明な仕様にしたのか分からない。
敵の攻撃を傍観してるのが面白いとでも思っているのか。
緊張感を煽るにしても、もっと別のやり方があったはず。

空中戦も、売りにするほど画期的なものとは思えないし、
地上戦よりテンポが悪いため、はっきり言って必要ない。
それより、戦闘シーンを上画面にスライドさせて、
コマンドやHP表示を下画面に纏めてしまった方が遊びやすい。

技のカスタム画面も、技名がズラリと縦列してあるだけで見にくく、
攻撃と補助の区切りも分からないなど、配慮の欠片も見えない。
おかげで、キャラクター性能をしっかり把握しようという気になれず、
そのことが、システム理解の遅れに繋がってしまっている。
振り分けたポイントも、アイテムがなければリセットできない為、
試行錯誤する面白さも薄く、本当に取って付けたような感じ。

ボイスシステムは、いわゆるスキルシステムと同義である。
イベント中のセリフを、スキルとして登録するというものだが、
基本的にこのゲーム、キャラクターボイスの喋りが遅いため、
それでなくてもテンポの悪い戦闘を、更に悪くしてしまっている。
アイデアとしては面白いが、やはり悪印象しかないというのが本音。

戦闘ボイスの設定画面も、割と贅沢にスペースを割いているわりに、
使い勝手はイマイチで、レイアウト周りにセンスが感じられない。

---[ ストレス満点の粗悪なマップデザイン ]---

今回、特に酷いのはダンジョンマップのデザインで、
単調なくせに無駄に広く、構造も複雑なため遊んでいて非常にダルい。
あまりに複雑なので、上画面に表示してある簡易マップを睨みながら
プレイするのだが、製作サイドとしては推奨したくないスタイルなのか、
わざとのように簡易マップとは違う角度で固定してある場所が多く、
マップの複雑さも災いして、何度も方向を見失った。

謎解きのようなものをやらされることもあるが、ヒントも何もなく、
難しいとかいう以前に「なにこれ?」というレベルで、作りは稚拙。
決して低くはないエンカウント率もテンポの悪さに拍車を掛けていて、
ダルい、退屈、面倒臭いという良いトコなしの駄目さ加減である。
特に終盤のダンジョンは、嫌がらせとしか思えない仕上がりで、
久々にトラウマになりそうな苦痛を味わわされた。

街のマップも広いだけで何もなく、場所によっては、移動中に
勝手にカメラが移動してしまう箇所があり、微妙にストレス。
何を意図しているのか知らんが、妙な老婆心を出すくらいなら、
最初からカメラ固定のマップデザインにしとけ。
施設も意味なく離して設置してあり、どうにも不親切。
今どき、武器屋と防具屋を離して設置するのもどうなのよ。

武器合成は面白い要素なのだが、武器が新しくなるたびに
やり直す必要があるくせに、これまた離れた場所に設置してあり移動が面倒。
おまけに、装備していると合成対象にならないため利用しにくい。
ほんと、関連施設は一箇所にまとめるくらい気が効いても良かろうに。

---[ ほぼタブーに近いシナリオ ]---

シナリオは、「ゼノギアス」の"加藤正人"氏が手がけているようで、
全体に漂うネガティブオーラはこの為かと、妙に納得してしまった。
この人のシナリオは、キッチリ筋を通すから成立するのであって、
今回のように茶化して誤魔化すスタイルはタブーに近いんじゃないか?
なんか、一番やっちゃいけないことをやってしまっている印象があって、
キャラクターの吐くセリフに説得力がなく、入っていけない。

ゲーム進行も一本道なのは構わないが、問答無用で次の目的地へ
強制ワープさせられるので、体力を回復する暇もなく忙しない。

---[ 基本が踏まえられていない失敗作 ]---

確かに、いろいろと考えられて作られたんだろうことは分かる。
戦闘システムと技のカスタムという育成要素は相性も良いだろうし、
目指していたものがあったんだろうというのは伝わってくる。
しかし、基本が踏まえられていないせいで料理の仕方を完全に
間違ってしまっていて、まるで魅力を引き出せていない。

悪い事に、調理法の選択ミスはマップデザインや画面レイアウトなど、
ゲーム全体に及んでいて、それら全てがストレス源と化しており、
ただ漫然とつまらないゲームになってしまっている。

ボス戦に関して言えば、システム全体をしっかり把握すれば、
かなり熱い戦いが楽しめるので、そこが救いと言えば救い。
それだけに、システムを把握するまでの敷居が高いのは残念な点。

セガも、このゲームには随分と入れ込んでいたようで、
大々的なメディアミックス戦略を打ち出すなど張り切っていただけに、
それが作り手にはプレッシャーとなってしまったのかもしれない。

経験不足を露呈した失敗作。まずは基本を学ぶべし。

評価:★★★★☆☆☆☆ [ 4点 - オススメはしない ]

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