●哲学なき金型ゲーム制作の愚行、ここに極まれり。
僕は特にこのシリーズのファンというわけでもないので、
このゲームに関して、辛辣な言葉を並べたいとは思いませんが、
今回はちょっと酷いかも。
▼グラフィックはまぁ、個人的には及第点かしら。
散々言われている映像に関しては、まぁ個人差もあるでしょうが、
僕的には、さほど悪いとは思いませんけどね~。
キャラクターグラフィックだけを見ていれば、確かに粗も目立ちますが、
街中の雰囲気やフル3Dで描かれたフィールドなど、
DSというゲーム機の性能から考えれば、及第点は与えてもいいかな~と思います。
まぁ、僕がグラフィックに対して、あまり深いこだわりを持っていないというのもありますけど。
そうは言っても、OPムービーに使えるほど美麗なものとも思わないけどねw
よくまぁ、このグラフィックであんなムービー作ろうと思ったな・・・・。
いや、あれはきっと何かの冗談に違いない。
ユーザーが酒の肴にするべく用意された、スタッフの粋な演出なのだ。
そうだ。きっとそうに違いない。そうでないとしても、そういうことにしよう。
ってことで、今、この場でそうなりましたから、そういうことにしといてください。
▼バトルの面白さが見出せないのは、僕が未熟だから?
バトルに関しては、“単調”と“退屈”のコンビネーションがユーザーを襲います。
攻撃パターンはボタン連打と技への連携。
しかし、キャラクターボイスを優先させたいが故に効果音が消えて無くなり、
おまけに、HIT数表記までもが別画面に表示されてしまっているため、
攻撃の手応えも連携の爽快感もあったもんじゃありません。
3ラインも蛇足に近い印象しかなく、お世辞にも戦略的とは言い難い代物。
ぶっちゃけ、従来の1ラインバトルのほうが面白いんじゃないか・・・・。
▼フィールドが広いの?移動スピードが遅いの?
キャラの移動スピードが遅いのか、フィールドマップが広いのか分からないが、
移動もとにかくストレス満開。
「DQ8」を意識してか、3Dマップに宝箱が置かれていることがあるんですが、
移動が邪魔くさすぎて探し回ろうとすら思えない。
つか、目的地まで移動するのも面倒。チョコボの森はないのかぇ?
▼クリアタイム○○時間の衝撃。
なにより驚いたのは、このゲームに必要なクリアタイム。
具体的な数字を出すのはあえて避けますが、
発売日前日にラスボスとのバトル動画が公開されるという衝撃。
※重大なネタバレが含まれますので、閲覧は全て自己責任でどうぞ。
◆[TOT] TALES OF THE TEMPEST - Final Battle (YouTube)
しかし、ここまで隙なく欠点の網羅されたゲームも久々だなぁ・・・・。
これは結局、哲学なき金型ゲーム制作を続けてきた結果なんでしょうね。
▼自家製クッキーを作るが如く濫造される金型ゲームの末路。
「テイルズ」シリーズを制作する現場の状況を想像するに、
まさに自家製のクッキー作りに似ている。
料理本を睨みながら決められた分量の材料を混ぜ、
あらかじめ用意された金型に素材を流し込むだけ。
そこに、「より美味しく、より食べやすくするにはどうすればいいのか?」なんて
料理の哲学は存在しない。
誰かの決めたことを、指示通りにこなすだけ。
そこから産まれてきたものを完成品だと錯覚し、自己満足している。
このゲームはまさに、そんな奥様クッキーと同じレベルなのだ。
誰かが決めた「テイルズ」という金型に素材を放り込み、
それらしく仕上げてみただけの代物。
そこには、実際に遊ぶユーザーに向けた“気配り”や“こだわり”などは存在せず、
用意された素材を分量どおりに混ぜ合わせ、
決められた金型に流し込んだだけのゲームなのである。
もちろん、家庭の奥様が趣味で焼き上げたクッキーなら、
もてなしを受けた人間が愛想笑いを崩さず完食すれば済む話だが、
実際に店頭に並ぶゲームソフトでは、こうは行かない。
▼金型どおりのゲーム作りは、そろそろ卒業する頃なんじゃない?
どのメーカーもそれぞれに人気シリーズを持っているが、
独自のマイナーチェンジを折り込み、時にファンの失笑を買いながらも、
ユーザーを飽きさせない努力と研究を積み重ねているのだ。
そろそろこのシリーズも、金型どおりのゲーム作りを卒業し、
改めて、「テイルズ」というゲームの過去と現在を、
冷静に見つめ直す時期に来ているのではないだろうか。
今回の「テンペスト」は、それを実行に移すいい機会なのではないかと思う。
そして次こそは、誰もが満足できる、
新たな「テイルズ」の姿を見せて欲しいと願うばかりである。
それにしても、支払った代償は大きすぎたか・・・・。
(KAY.Sak)