今、ネットで大変な話題を呼んでいるゲームがある。
ニンテンドーDSが破竹の勢いでゲーム市場を席巻する中、
もはや旧世代ゲーム機となってしまったゲームボーイアドバンスで
発売されたそのゲームは、瞬く間にユーザーの心を掴んでいった。
そのゲームの名前は「リズム天国」。
お馬鹿なノリが魅力的な任天堂のリズムアクションゲームである。
僕自身、発売日に購入して遊ばせてもらったが、ものの見事にハマらせて頂いた。
音楽に合わせてボタンを押すだけのシンプルな内容だが、
リズムを刻むという理屈抜きの気持ち良さを、非常に分かりやすい形でゲーム化。
人間の持つ本能的な快感をストレートに刺激するミニゲームが、多数収録されている。
また、どこかシュールなビジュアルが見た目にもかわいらしく、
「押忍!闘え!応援団」とはまた違った、抜群の世界観を構築している。
ゲームに理屈を当てはめるのは簡単だが、
ゲームは理屈だけで出来ていないことを、改めて教えてくれる傑作と言えるだろう。
しかし、このゲームに関する最大のサプライズといえば、
企画から開発までの総合プロデューサーが、あの“つんく♂”であるという事実である。
しかも、本人自らが企画書を書き、任天堂に直接持ち込んだというのだから驚きだ。
ところが任天堂は、この「リズム天国」に彼が関わっているという事実を、
ゲームが発売されるまで完全に伏せており、
つんく♂プロデュースであるという事実は、ゲームが発売された後になって、
我々ユーザーの知るところとなったのである。
そして、任天堂が取ったこの戦略は、その狙い通り、
「リズム天国」というゲームがタレントの名前を使った半端なゲームではないということを、
多くのユーザーに植え付けることに成功した。
(※ちなみに、J.P ROOMというのは“つんく♂”が所属する芸能プロダクション)
任天堂のファミコンが登場してから、実に20年を超える歴史を刻んできたゲーム市場だが、
TVタレントの絡んだゲームに、まともな作品は皆無に等しかった。
今や伝説として語り継がれる「たけしの挑戦状」を筆頭に、多くのタレントゲームが登場したが、
そのことごごくがクソゲーとして認知され、歴史の闇に消えていった。
そんな中で、唯一と言ってもいい成功例が、糸井重里がプロデュースした、
任天堂の代表的なRPGシリーズ、「MOTHER」である。
しかし、その「MOTHER」も、2006年4月20日に発売された「MOTHER3」を最期に、
その歴史に幕を下ろすこととなってしまった。
そして、その糸井氏と入れ替わるように登場したのが、
今回の「リズム天国」プロデューサー、つんく♂氏である。
ひとつのタレントゲームが終焉を迎えたこのタイミングで、
新たなタレントゲームが話題を呼んでいる。
僕はこの事実に、何か運命的なものを感じてしまうのである。
この記事を書いている時点では、売上げ的もまだまだ認知されているとは言い難い状態だが、
ネットでの反響は凄まじく、評価も概ね好評のようだ。
今回こそは、「押忍!闘え!応援団」の二の舞にはさせたくないと思い、
拙いながらもレビューをさせていただいた。
この内容で3800円は、かなりお買い得だと言える。
GBAのソフトは、ニンテンドーDSでも遊ぶことが出来るし、
機会があれば是非一度、触っていただきたい作品である。
(KAY.Sak)