やはり企業・団体献金禁止を譲ったのか。これでいい。これで維新はやっと選挙が出来る | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

たちあがれとの合併問題が出てきた時に、唯一最大の障害となるのは企業・団体献金の禁止だと書いておいたが、やはり企業・団体献金の全面禁止方針は撤回したようだ。

世間受けはいいが、選挙を実際にやろうとすると、企業・団体献金を全面的に禁止するとなるとずいぶん厄介なことになるところだった。
太陽の党が維新に合流したことでどうやら維新は地に足の着いた現実的政党に脱皮したようだ。

これでいい。
出来もしないことを公言して自分の首を絞めるようなことはしない方がいいと思ってきたが、厳しい国政選挙を一度も経験したことがない橋下氏や松井氏はずいぶん難しいスローガンを平気で掲げていた。

企業・団体献金を全面的に禁止するとたちどころに候補者の選挙活動は行き詰る。
他党が同じ条件で競争するのなら企業・団体献金の全面禁止も方向性としてはいいのだが、維新だけ禁止ということになると維新の候補者は手も足も縛ったまま徒競走に参加することになるところだった。

これじゃあさぞ苦労するだろうな、と心配していたが、これでやっと維新も一人前になれる。

個人献金など殆ど期待できないのが実情だから、どこからもお金が来ない維新の候補者は選挙にならないなと思っていたが、これでどうにか選挙にはなる。
資金力の乏しい新人候補者は自分の熱烈な支援者から選挙事務所を無償で借りることになるはずだが、選挙事務所用の空き地を個人で持っている人は少ない。
大抵は、有力支援者や親族の関係する企業の持ち物である。

企業・団体献金を全面的に禁止すると、実態は企業から無償で借りるのにあえて代表者個人から借りるような外観を作出する工作をせざるを得なくなる。
何か法を潜脱するような嫌らしさがあるから私としてはこういう工作は絶対に勧めたくないが、これまではそうせざるを得ないような状況だった。

こういう無理はしない方がいい。
そう思っていたから、太陽の党が維新に合流する時の極めて重要な条件が企業・団体献金禁止方針の撤回だと知ってホッとしている。

頭でっかちの維新がこれで普通の政党になる。

参考:毎日新聞配信記事

<維新>企業献金禁止を撤回 旧「太陽」に譲歩、目玉骨抜き
毎日新聞 11月20日(火)12時22分配信

「日本維新の会の橋下徹代表代行(大阪市長)は20日、記者団に企業・団体献金の全面禁止を撤回する方針を示し、「旧太陽の党と合流する時に現職の国会議員について(禁止すること)は難しかった」と釈明した。今後、全面禁止を定めた党規約を改正し、献金の上限額や受領できる期間を定める。旧太陽との合流を優先するため、維新が看板施策を譲歩した形となった。

【図解】維新と太陽 両党の政策の変遷

 維新と旧太陽が合流時に合意した基本政策では「企業・団体献金は廃止」としながらも、「経過措置として上限を設ける」と明記し、事実上の抜け穴を設けた。

 橋下氏はこの日、市役所で記者団に「個人献金を促すような法制度も整っていない」と釈明。合流協議で、旧太陽の園田博之前衆院議員が「法制度ができるまでは一定の上限を定めることが限界だ」と全面禁止に難色を示し、維新側が受け入れた経緯を明らかにした。

 松井一郎幹事長(大阪府知事)も府庁で記者団に「旧太陽との話では、今すぐ(禁止)では齟齬(そご)をきたすとの話だった」と説明。「大企業や団体からドカンともらうとしがらみができるが、少ない金で応援してくれるのはいい」と述べ、中小企業などからの少額献金は容認する考えを明らかにした。

 橋下氏は9月、企業・団体献金の全面禁止に関し、「維新の会の特徴の一つ。絶対に自民党や民主党ではできない。今までの政治と決別するという意味で譲れない線だ」と表明。党規約にも明記し、賛同しない議員の維新加入を認めない考えを示していた。【原田啓之、熊谷豪】」