俺は間違っていない、と思っている人に間違いを気づかせる方法 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

菅総理は、多分今でも自分は正しかった、間違いは犯していない、自分の得た情報の範囲内では私の選択がベストだった、誰が私の立場にいても私以上のいい判断は出来なかった、私は最善を尽くした、と思っているのだと思う。

そうでなければ、これほど総理の座に固執するはずがない。

既に菅総理の周辺には固いガードが張り巡らされているはずである。

「貴方は正しい。貴方は間違っていない。貴方には現在の困難な事態を解決する使命が与えられている。貴方しかその崇高な使命を果たせる人はいない。」
呪文のようにこの言葉が耳元で繰り返されているときは、外からいくら大きな批判、非難の声が上がってもご本人の心には届かないものである。
菅総理が固い殻の内に閉じこもっていることを前提に、私たちは戦略を練る必要がある。

菅総理の心を開かせるにはどうしたらいいか。
菅総理が閉じこもっている固い殻をどうやったら開けることが出来るか。

あれはまずかったかな、と本人が素直に認めれるように持っていく必要がある。
本人の言動を直接批判、非難するよりも、現実に起きている周りの事象について感想を求めることで本人に本当のことを気づかせることが出来ることがある。

東京電力の清水社長が出張中に100年に1度、1000年に1度の超巨大地震が起きた。
東京電力の原子力発電所に大きな被害が発生している。
何が何でも清水社長は東京電力の本社に帰って原発事故の被害を最小限に止め、被害の拡大を防ぐための陣頭指揮を執らなければならない。
地震の影響で新幹線の運行に支障が生じていた。
こういう時に自衛隊機を使ってでも東京に戻るというのは、当然の選択であった。
現に清水社長は自衛隊機に乗って東京に向かっていた。
しかし、現実には自衛隊機は途中で引き返している。
結局一番大事な時に現場で指揮を執るべき最高責任者が不在の状況で、指揮命令系統が曖昧なまま右往左往していた、ということだと思われる。
最高責任者がその場にいないため、原子力には一番詳しいと自負している菅総理が自ら陣頭指揮を買って出ることになったのではないか。

緊急事態での自衛隊機は遭難者や避難者の救出を優先するべきで、一民間人の搭乗を認めるべきではない、という指示や判断がどこからか出されたはずである。
そこに問題があったのではないか。
現場のことは現場にお任せ下さい、と身を挺して菅総理を押しとどめることが出来る貫禄の持ち主がいなかったためにベントの指示が遅れたのかも知れない。

不幸な事態が続いたのだと思う。
不運だったと言うべきだったかも知れない。

「一生懸命やったが、事態はどんどん悪くなった。
あれ以上やれなかった。」
一生懸命やったということは、認めておくべきだろう。

認めたうえで、ああ、あのときこうやっていればこれほど深刻な事態にならないで済んだかも知れない、と気づかせた時に本当の反省が生まれる。

誰かそういう説得の仕方をして欲しいものだ。
まだ、菅総理の心を開かせる人は現われていない。