祭りの花かけ | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

選挙違反については、実に心すべきことが多い。




まさかこんなことまで、と思うようなことが違反だとされる。


普通の善良な市民がこのくらいはいいだろうと思ってしていることが、警察の目ではれっきとした違反になる。


法律の条文を読めばそのようにも読めるから、警察の捜査が違法だ、警察が横暴だ、ということは言えない。




こんな法律を作るからいけないのだ、と思うが、残念ながら立法者である国会議員は全体として立法の能力が十分でない。


普通の善良な市民を犯罪者に仕立て上げかねない現在の公職選挙法は欠陥法だと私は思っているが、欠陥法である公職選挙法を是正する能力をどうも国会は欠いているように思えてならない。




今、まさに祭りのシーズンであるが、これは注意した方がいい。




皆さんはお祭りに寄付をする習慣はご存じないかも知れないが、お祭りの時には土地の有力者や資産家は祭りに5000円、1万円と寄付をするものだ。


5000円寄付すると1万円と書いて掲示する。


5000円を5000円とそのまま書くところもあるが、景気をつけるために倍に書くところが多かった。


これが、花かけである。




祭りには大変なお金がかかるのが実情だが、これを賄っているのが実はこうした寄付である。


麗しい風習だと言っていい。




金持ちは金持ちらしくドンと寄付をする。


お大尽と称される人は、勿論お大尽らしく振舞う。


地元の旦那衆である。


当然、お金を沢山出す人は一目おかれる。




お金がそんなにない人は、自分の器量に応じてそれなりの金額の寄付をする。


勿論、酒やビール、ジュースなどということもある。


事前に奉加帳が回るところもあるが、大体は祭りの当日に皆さん熨斗袋を持って祭りの受付に行く。




市会議員や県会議員、国政選挙の候補者等は、地元の人から見れば有力者の部類だ。


皆さん、当てにしてしまう。




いい貫禄をした人が手ぶらで祭りに顔を出す、というのは恥ずかしいものだ。


祭りで花をかける、というのは、まさに土地の人にとっては人の器量比べをするようなものである。


さて、こういう風土がある中で、祭りに行って花をかけないで済ませてこられるか。




えっ、と驚くような話だが、祭りにかけられた花をカメラに収めている人がいた。




祭りの風景の一つとして花がかけられているところを撮っておく、というのも確かにあるが、現実は厳しい。


祭りの寄付は、市会議員も県会議員も、あらゆる選挙に出ようとする候補者にとっても実は違法な行為になる。


違法な行為をしている、という証拠写真を撮っているのである。




選挙が終わって、何ヶ月も前の祭りの寄付が摘発されて議員を辞職、などというケースを新聞報道で見てきた。


議長選挙のときになって、祭りに自分の名前で寄付をしていたことを材料に議長候補から引きずり降ろされた、などというケースも見てきた。


議長が自分の個人名を併記して祭りの花を出させたということが問題になって、任期の途中で議長を退任、などということもあった。


そのくらいに現実は厳しい。




土地の人から見れば、祭りに顔を出すのであれば3000円でも5000円でも寄付をするのが当たり前、ということになるが、祭りの寄付にはこんなリスクが伴っている。


知らないのがいけない、とは言うものの、普通の善良な市民が当たり前、と思っていることが公職選挙法違反になり得るのである。




狙われたら危ない、ということだ。


証拠を残しておいたら危ない、ということである。


そういう危ない世界に足を踏み入れようとしているのだから、公募に応じて各級の選挙に挑戦しようとしている前途有為な人たちは、よくよく先達の話を聞くものである。


自分の志を遂げるために。


本当に世の中の役に立つ政治家になるために。