消費者庁から人権・消費者庁へ | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

いずれ人権委員会を作ることになると思う。


廃案となった人権擁護法案の問題点の一つは、法務省に人権委員会を設置し、そこに人権侵害事案についての広範な調査等の権限を付与しようとしていたこと。

拘置所、刑務所、少年院、入国管理事務所など様々な収容施設を抱えている法務省が自らの人権侵害事案に適切に対処できるのか、法務省の外に置くべきではないか、というのが、そもそもの議論である。


日弁連や野党は、この点について内閣府に人権委員会を設置すべきことをかねてから主張してきた。

政権交替が実現した以上、人権委員会を法務省に置く構想は不可能になった。

私は、そう思っている。


自民党の中で検討作業が進まなくなったので私自身の意見を述べる場も、機会もなくなったが、私はもともと重い人権委員会構想には反対してきたものである。

求められれば自分の提案をするつもりであったが、これまでその機会がなかった。

私は、人権委員会を作るのであれば、その権限を見直し、制度運用上の懸念事項を払拭したうえ、行政の肥大化を招かない工夫をしたうえでこれを内閣府に設置するのが適当である、と考えてきた。


今年は、消費者庁と消費者委員会が発足した歴史的な年である。

人権委員会を作るとしたら、消費者庁や消費者委員会の活動実績を良く見た上で、これらの組織をそのまま転用・拡充すればいいのではないか、というのが、私の基本的な発想である。


消費者庁は庁舎の移転問題のみかしましく、まだ期待されているような成果を挙げるに至っていないが、どんな制度もスタート当初はそんなもの。

ここは、暖かく見守っていく時だと思っている。


一部には人権擁護法による人権委員会構想に期待する向きも多いようであるが、わが国においては、学校における苛めや、児童や障害者、高齢者に対する虐待を禁止する制度、雇用にあたっての不合理な差別を禁止する制度など、個別の人権侵害事案に対しての救済制度が個別に整備されてきている。

消費者委員会制度も消費者被害をなくす、という観点からは、一つの権利救済制度である。


私は、これまでの重い人権委員会構想は完全に白紙にし、消費者庁を人権・消費者庁に、消費者委員会を人権・消費者委員会に改組する方向で検討すればいいと思っている。


それでは、人権擁護委員はどうするのか。

現在のまま法務省の所管でいい。

人権擁護を具体的に担う法務局はどうするか。

現在のままでよい。

人権・消費者庁、人権・消費者委員会と法務省、法務局との関係はどうすべきか。

人権・消費者庁の職員と法務省の人権擁護局の職員は併任にすればよく、人権・消費者委員会はその事務の一部を法務省の人権擁護局及びその下にある法務局に委任するものとしたらいい。


そんなこと、できるかしら、などと弱音を吐かないことだ。

必要な法律さえ作れば何でも出来る。

こうやって、出来るだけ強権的でなく、しかも現実の人権侵害事案に迅速・適切・柔軟に対処できる機動的、機能的な人権・消費者委員会を作ることである。


さて、民主党政権はどこまでやれるかな。