入管法の審議がクライマックスを迎える | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

現在、参議院の法務委員会で改正出入国管理法案についての審議がクライマックスを迎えております。

この法案についてはこれまで言及してきませんでしたが、この国会で成立するとしたら画期的なことだと思っております。


国民の意識が変わる。

国際化社会に相応しい新しい文化がここから生まれる。

私は、そう思っております。


まずは、参議院法務委員会で行われた政府原案及び衆議院でなされた修正についての趣旨説明をご紹介いたします。

皆さんのご意見があれば、どうぞお聞かせ頂ければ幸いです。


参・法務委員会趣旨説明


「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案」趣旨説明


 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。


 近年、我が国の国際化が進展し、平成十九年の新規入国者数は平成二年と比べ二・五倍以上、外国人登録者数は約二倍となっており、在留外国人の国籍も多様化してきております。このような中で、転職・転居を頻繁に繰り返す方も少なからず見受けられる等在留外国人の方々の在留状況の正確な把握が困難になってきており、適正な在留管理を行う上で支障が生じております。


また、とりわけ居住実態を正確に把握することができないため、国民健康保険、児童手当等の市区町村の個別事務に支障を来たし、在留外国人に対する行政サービスの提供や義務の履行の確保に困難を生じさせている等の問題も生じており、これらの問題への対処が喫緊の課題となっております。

 この法律案は、以上に述べた情勢にかんがみ、現行の出入国管理及び難民認定法と外国人登録法の二つの制度による情報把握・管理の制度を改め、適法な在留資格をもって我が国に中長期に在留する外国人を対象として、法務大臣が公正な在留管理に必要な情報を継続的に把握する制度の構築を図るため、所要の改正等を行うほか、外国人研修生等の保護の強化を図る等の措置を講ずるものであります。


 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、新たな在留管理制度の導入に係る措置であります。これは、外国人の公正な在留管理を行うため、法務大臣が必要な情報を継続的に把握する制度を構築し、併せて外国人登録制度を廃止するとともに、在留期間の上限の伸長その他の適法に在留する外国人の利便性を向上させるための措置を講ずるものです。


 その概要を御説明いたしますと、まず、法務大臣は、在留資格をもって我が国に中・長期間在留する外国人に対し、基本的身分事項、在留資格・在留期間等を記載した在留カードを交付いたします。在留カードの交付を受けた外国人は、上陸後に定めた住居地を一定期間内に市町村の長を経由して法務大臣に届け出なければならず、また、在留カードの記載事項のほか、その在留資格に応じて所属機関や身分関係に変更があった場合には法務大臣に届け出なければならないこととしております。


さらに、これらの情報の正確性を確保するため、届出事項について事実の調査をすることができるようにしたほか、在留資格の取消制度、罰則・退去強制事由等を整備することとしております。

 その一方で、適法に在留する外国人については、在留期間の上限を五年に引き上げるとともに、有効な旅券及び在留カードを所持する外国人については、一年以内の再入国を原則として許可を受けることなく可能とするなど、その利便性を向上させるための措置をとっております。


 また、新たな在留管理の対象とはならない特別永住者の方については、外国人登録証明書に替えて、特別永住者という法的地位の証明書として特別永住者証明書を交付するなど、基本的には、現行制度を実質的に維持しつつも、原則として許可を受けることなく二年以内の再入国を可能とするなどの利便性を向上させる措置をとっております。

 第二は、外国人研修制度の見直しに係る措置であります。これは、研修生・技能実習生を実質的に低賃金労働者として扱うなどの不適正な問題が増加している現状に対処し、研修生・技能実習生の保護の強化を図るため、所要の措置を行うものです。


 具体的には、現行の在留資格「研修」の活動のうち実務研修を伴うものについて、労働関係法令の適用の対象とするため、及び、この活動に従事し、一定の技能等を修得した者がその修得した技能等を要する業務に従事するための活動を在留資格「技能実習」として整備するものです。

 第三は、在留資格「留学」と「就学」の一本化についてであります。これは、留学生の安定的な在留のため、在留資格「留学」と「就学」の区分をなくし、「留学」の在留資格に一本化することにより、留学生等の負担軽減等を図るものであります。


 そのほか、入国者収容所等の適正な運営に資するため、入国者収容所等視察委員会を設置すること、不法就労助長行為等に的確に対処するため、不法就労助長行為に係る退去強制事由等の整備を行うこと等を内容とするものであります。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第ではありますが、衆議院において修正が行われております。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。


衆・修正案趣旨説明


「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する等の法律案」に対する修正案の趣旨説明


 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党の三会派の提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。


 第一に、特別永住者については、その歴史的経緯及び我が国への定着性にかんがみ特段の配慮が必要であることなどを考慮して、特別永住者証明書及び旅券の常時携帯義務とその違反に対する過料の規定を削除することとしております。

 第二に、民間業者による個人情報のデータベース化に対する対策として、在留カード又は特別永住者証明書の番号はその交付ごとに異なる番号を定めるものとするとともに、紛失や毀(き)損等の場合以外の場合であっても、在留カード又は特別永住者証明書の交換を希望するときは、正当な理由がないと認められるときを除き、その再交付を求めることができる旨の規定を設けることとしており、当該規定により交付を受けるときは、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならないこととしております。


 第三に、所属機関の受入れの状況についての届出義務を努力義務に変更しております。


 第四に、法務大臣は在留管理の目的を達成するために必要な最小限度の範囲を超えて、中長期在留者に関する情報を取得し、又は保有してはならず、その取扱いに当たっては個人の権利利益の保護に留意しなければならない旨の規定を設けることとしております。

 第五に、在留資格の取消しに関する規定について、次の二項目の修正を行うこととしております。


 その一は、日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する者が配偶者の身分を有する者としての活動を一定期間継続して行わないで在留している場合の在留資格の取消しについて、当該期間を「三月以上」から「六月以上」に延長するとともに、当該活動をしないことにつき正当な理由がある場合を除外することとし、当該取消しをしようとする場合には、在留資格の変更の申請又は永住許可の申請の機会を与えるよう配慮しなければならないものとすることとしております。

 その二は、上陸許可の証印又は許可を受けて、新たに中長期在留者となった者が、当該上陸許可の証印又は許可を受けた日から九十日以内に住居地の届出をしない場合の在留資格の取消しについて、届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除外することとしております。


 第六に、団体監理型の技能実習の活動について、団体の「責任及び監理」の下に行われる旨を明確化しております。

 第七に、次の四項目からなる検討規定を設けることとしております。


 その一は、法務大臣は、現に本邦に在留する外国人であって入管法又は特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のもののうち入管法第五十四条第二項の規定により仮放免をされ当該仮放免の日から一定期間を経過したものについて、この法律の円滑な施行を図るとともに、施行日以後においてもなおその者が行政上の便益を受けられることとなるようにするとの観点から、施行日までに、その居住地、身分関係等を市町村に迅速に通知すること等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 その二は、法務大臣は、この法律の円滑な施行を図るため、現に本邦に在留する外国人であって入管法又は特例法の規定により本邦に在留することができる者以外のものについて、在留特別許可の運用の透明性を更に向上させる等その出頭を促進するための措置その他の不法滞在者の縮減に向けた措置を講ずることを検討するものとすることとしております。


 その三は、法務大臣は、永住者の在留資格をもって在留する外国人のうち特に我が国への定着性の高い者について、歴史的背景を踏まえつつ、その者の本邦における生活の安定に資するとの観点から、その在留管理の在り方を検討するものとすることとしております。

 その四は、政府は、この法律の施行後三年を目途として、施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新入管法及び新特例法の法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。


 以上が、修正案の趣旨であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。