遅ればせですが、自民党幹事長の公開質問状を私のブログを通じて改めて公開します | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

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弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

おはようございます。


つい先日党首討論が行われましたが、その印象がもはや残っておりません。

党首討論と言いながら、ずいぶん不正確な遣り取りを行うものだ。

事実に即した、後でさすがと関係者を唸らせるような討論を期待している者に不満足感が残る討論でした。


出来れば今週にも第2ラウンドを期待しております。

しかし、言い放し、嘘の尽きっぱなしはよくありません。


細田幹事長が民主党の鳩山由起夫代表に送付した公開質問状を入手しましたので、皆さんのご批判を仰ぎたいと思います。


              公開質問状

                              平成21年6月2日

民主党代表 鳩山由紀夫 殿


                      自由民主党幹事長 細田博之


5月27日の国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は、平成19年度予算の支出先と、いわゆる〝天下り〟に言及し、「民主党の調査によれば、4500の天下り団体に2万5000人の天下った方々がいて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている。そこのうちの半分が随意契約だ」との発言をされ、また貴党は、かねてより12兆1000億円が、無駄に使われているかのような発言を繰り返されています。


わが党は、貴殿の発言があまりにも常軌を逸しているため、さっそく貴党が衆議院の調査局に作成を依頼した資料を取り寄せ、検証しましたが、その結果、貴殿の発言は、一面の事実のみを持ってそもそもの政策目的や必要性など、すべてを切り捨て、葬り去る暴言であり、国民を誤解させ、欺き、プロパガンダで民主主義を破壊する暴挙であって、看過すべきではないとの結論に至りました。


貴党は、来るべき総選挙で政権交代を主張しておられます。当然、その代表の発言は重く、国民に大きな責任を伴わなければなりません。

わが党は、貴殿の発言は、もし民主党が政権を獲得した後には、この12兆1000億円の国家予算は廃止し、関係団体への天下りはすべて廃止することを国民に公約したものであると受け止めます。
12兆1000億円の国家予算を廃止することは、国民生活やわが国経済に大きな混乱と壊滅的な打撃を与えることになります。当然、次の総選挙における貴党とわが党との立場の違いであり、大きな争点となりうるものです。

この観点から、貴党に対し、以下の諸点について公開質問をいたします。明確な主張の根拠とあわせ、6月4日(木)17時までにご回答いただきますようお願い申し上げます。


質問事項


1. 貴殿は、「4500の天下り団体に2万5000人が天下っていて、そこに国の予算が12兆1000億円流されている」と発言されましたが、貴党作成依頼の資料を精査すると、実際に国の支出があるのは4504法人のうち、1606法人であり、そこにいる天下りOBの数は1万4665人となっています。

貴殿の発言は、国民を欺くため、意図的に数字を大きく膨らませたものなのでしょうか。見解を明らかに願います。


2. 貴殿の発言は、事情を知らない国民が聞けば、天下り団体に天下っている官庁OBの人件費として国から12兆1000億円が流れているかとの誤解を与えかねません。

しかし、現実的に試算すれば、平均給与を年収700万円とした場合、1万4665人の給与総額は1026億円、12兆1000億円の0.8%にすぎません。しかも、これは人件費がすべて国費で賄われていると仮定した場合の数字です。つまり、残る12兆円は政策目的をもった支出であるという事実が、今回、貴党作成依頼の資料によって明らかになったわけですが、この事実について、見解をお示しください。


3. 12兆1000億円の内訳(わが党が支出の性格や支出先等に応じて分類したもの)は、
  財政融資資金貸付  4.2兆円
  国公・私立大学等  1.2兆円
  防衛関係      1.5兆円
  独立行政法人    3.7兆円
  その他       1.5兆円
となります。

以下、この内容について伺います。


① 「財政融資資金貸付」とは、国民生活金融公庫(零細企業・自営業等の資金繰り1.8兆円)、中小企業金融公庫(小規模企業の資金繰り0.6兆円)、国際協力銀行(途上国支援0.4兆円)、日本政策投資銀行(企業の資金繰り0.4兆円)、日本学生支援機構(奨学金など0.4兆円)、農林漁業金融公庫(農林漁業者の経営支援0.2兆円)などへの貸付です。

これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。


② 「国公・私立大学等」とは、私学助成(0.4兆円)、国公立大学の運営費(0.7兆円)などです。

これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。


③ 「防衛関係」とは、防衛関係装備等の調達金(1.5兆円)ですが、貴党はこれを「随意契約」として批判していますが、現実問題として、事柄の性質上随意契約とならざるを得ない(防衛機密、ライセンス生産等)支出であるとわが党は考えます。

したがって、いたずらに大きい数字をあげつらうのではなく、これは「随意契約で仕方のないもの」と注釈をつけるのが、政党・政治家としての矜持であると考えますが、この点についての貴党の見解を明らかに願います。

④ 「独立行政法人」とは、住宅金融支援機構(住宅取得者の資金支援0.3兆円)、宇宙航空研究開発機構(0.2兆円)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(0.2兆円)、JICA(国際協力機構0.2兆円)日本原子力研究開発機構(0.2兆円)など、そもそも国の政策を実施する機関であった旧公社・公団、事業団等に対する支出である。

これらの政策目的に対する必要性の有無を含めた貴党の見解、また天下り批判との関係について明らかに願います。

4. 国家基本政策委員会合同審査会において、貴殿は「半分が随意契約」と指摘されましたが、その内訳(費目等)および金額を明らかに願います。例えば、貴党は財政融資資金貸付も随意契約として集計していますが、日本学生支援機構等への貸付が「随意契約」とは、首をかしげざるを得ません。

前回の平成18年度予算の調査も、今回の調査も貴党の集計は、随意契約の金額を大きく見せ、あたかも官僚が勝手放題にふるまっている、との印象を国民に与えるための詐術ではないのでしょうか。

見解を明らかに願います。


以上、貴殿の発言について質問させていただきましたが、12兆1000億円は、いずれも重要な政策のための支出であることは明らかです。


一体、貴殿はそもそも、貴党の調査の中身をよく御存じなのでしょうか。

中身の数字を知らずに暴言を吐かれているとしたら財政に対する無知をさらけ出すものであり、政権担当能力なし、と言わざるを得ません。

また、中身を知った上で紛らわしい数字で国民を欺こうというのなら、政治家の資格はないというしかありません。


貴党の明快な回答を重ねてお願い申し上げます。