朝日の社説の読み方 | 早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

早川忠孝の一念発起・日々新たなり 通称「早川学校」

弁護士・元衆議院議員としてあらゆる社会事象について思いの丈を披歴しております。若い方々の羅針盤の一つにでもなればいいと思っておりましたが、もう一歩踏み出すことにしました。新しい世界を作るために、若い人たちとの競争に参加します。猪突猛進、暴走ゴメン。

今朝の朝日新聞の社説をどう読まれただろうか。


朝日の社説はかなり偏向していると多くの識者が指摘しているが、どんなに化粧してもその偏向性は滲み出てくるものだ。


冒頭の「国会が空転している。」、末尾の「時間を空費している暇はない。」は、そのとおり。

誰にも異論がないはずだ。

しかし、「与党側は審議を尽くしたとしているが、疑問点に対して説得力のある答弁があったとはとても言い難い。民主党の怒りはもっともなのだが、」という一文は、なんだろう。


朝日は、限られた字数の制限はあっても、なぜ与党側がそう主張しているのか、その論拠ぐらい示した上でコメントをすべきである。

あらゆる反論の機会を奪い、ばっさりと異論を切り捨て、朝日の独断と偏見に満ちた結論を読者に押し付ける、そういう体質がこの一文に如実に現れている。


「採決強行の非を認めた上で、国会の正常化と修正協議に向けて真摯な提案をする。それが与党の責務だろう。」

これもなんたる言い草か。


衆議院予算委員会の審議時間は、合計で85時間程度と聞いている。

集中審議を4回行い、予算委員会として初めての地方公聴会も開催したという。

議員一人当たりの質疑時間は野党の場合、4時間にもなるという。

両院議長勧告に基づき、国政の空白を生まないように年度内に一定の結論を得ることを合意した上での衆議院での審議である。


万一4月2日までに予算が成立しなければ、全国の都道府県や市町村に国の交付金が交付されず、地方団体の予算が組めないことになる、ということを朝日はどの程度認識しているのだろうか。


まさに年度内での予算成立を担保するための、ギリギリの段階での衆議院での採決だったのである。


ということが分かれば、この採決が、両院議長の勧告に基づき取り交わした政治の空白を生まないための与野党合意に沿ったものであったことは、ますます明らかになるだろう。

まだ審議が尽くされていない、とか、採決を強行した、などという批判は、批判のための批判、ためにする批判である。


そんなことも分からないで、「採決強行の非を認めた上で」などと主張する朝日は、全く目が見えないのだろう。

それにしても、社説の「なぜ主導権をとらぬのか」という大見出しは誰に向かってのメッセージだろうか。


一見参議院第一党の民主党にあてたメッセージのようだが、「国会の正常化と修正協議に向けて真摯な提案をする。それが与党の責務だろう。」との一文を読むと、「さあ与党の皆さん、あなた方が民主党に助け舟を出さなければいけませんよ。」と囁いているようにも思われる。


こんな、あちこちに民主党への応援のメッセージを散らばした、鵺的な社説はいい加減にして、マスコミとしての正道を歩む、公正な社説を書いて欲しいものだ。

果たして、ないものねだりだろうか。