明日への希望がちょっとだけ顔をのぞかせ、まだ早かったか、と慌しく奥に引き籠ってしまった。
残念である。
大連立などという大技は要らないが、現在の局面を打開するために与野党の政策協議の場を設けることの必要性をしっかりと位置づけて欲しかった。
選挙の出陣式のような異常な盛り上がりを見せた民主党の両院議員懇談会だが、おいおい、それはとんでもない勘違いだよ、ということを声を大きくして申し上げたい。
衆議院の解散は、内閣に対する不信任決議が大前提だ。
解散権の発動は、内閣総理大臣の手の中にある。
まだ臨時国会の開催中で、これから来年度の予算編成のための作業を進めなければならない大事な時期だ。
こんな時期に国政を放り出して、選挙に現を抜かしている暇はないはずだ。
国の財政がピンチだというのに、700億円以上も国民の税金を使う衆議院選挙を実施して、国民にどんなメリットがあるのか。
政権担当能力に疑問符が点けられている民主党の改革がまったく進んでいないのに、この状態で衆議院選挙を行っても、ますます日本の政治は混迷を深め、悪くなるだけではないか。
これでは、国民の方がプッツンしてしまう。
仙谷由人元政調会長は、民主党の両院議員懇談会で、「内輪の熱気と、民主党を取り巻く世間や国民の感性は相当ギャップがある。民主党は深刻な危機にたたずんでいる。」と述べたそうだ。
仙谷氏は弁護士である。
癌との闘いを克服し、政治の第一線に復帰した政治家である。
そんじょそこらの若い政治家とは、政治経験も識見も較べようがない。
民主党が単なる批判政党であってよい時代は過ぎている。
参議院の第一党として民主党は、日本の政治に対する責任を分担しなければならない。
小沢氏の独裁体制が着々と整備されていっているように見える民主党の中で、こんな冷静で、勇気ある発言が出されたことを歓迎したい。
さて、私たちはどうすべきか。
これからは、すべて公開の場で堂々と政策協議を進め、連立が必要なら必要な理由を真正面から国民に訴えるべきである。
福田総理と小沢一郎氏が揃って記者会見し、まずはこれまでの二人だけでの密室での話し合いの経過を説明すべきだ。
そうしなければ、政治に対する国民の不信がますます募るだろう。
政治そのものに対する国民の不信を放置していたのでは、国民のガッカリが、何時収拾できないほどの大きな怒りに転化するかもしれない。