なんとかミクス 最近いったいどうなってるのか | 群青

なんとかミクス 最近いったいどうなってるのか

安倍政治は、この間、森友と加計、それに稲田のことで、連日大賑わいの報道。
それに伴いSNS上においても、腐敗極まる行政挙動、嘘、隠蔽、記憶が無い・・・などに対して不信極まる怒りの声が飛び交っている。
あれよあれよと、内閣支持率他の急速な墜落とあいなり、安倍政権に対する醒めた批判が露呈してきた。
ところで、自民党というか安倍政権の売りは経済なんだというので、アベノミクスの三本の矢があったが、いったいどうなったのだろうか・・・・。

そこへ来て、久しぶりに、毎日新聞の特集ワイドで、大型の分析報告が掲載された。
下が、それであった。


■ 特集ワイド かすむアベノミクス 企業業績好調 なぜ賃金はそれほどでも…毎日新聞2017年7月28日 東京夕刊

(全文)

 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」がスタートしてから4年半が過ぎた。2%の物価上昇目標は達成できず、企業の業績は好調と言うが、給料は上がっているのか。そんな折、自民党内に「反アベノミクス」とも評される勉強会が設立された。もはや「道半ば」と悠長なことを言っている場合ではないのではないか。【葛西大博】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続報真相

 まずは最近はあまり耳にしなくなったアベノミクスの「三本の矢」を復習しよう。第一の矢は日本銀行が進める「大胆な金融緩和」、第二の矢は「機動的な財政出動」、第三の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」である。

 金融緩和の効果で円安・株高が進むことで、大企業中心に利益を押し上げる→企業の業績が改善→雇用の拡大や所得の上昇→個人消費が回復→企業業績がさらに上向く--。このような好循環シナリオが描かれた。

 このシナリオを順に点検しよう。

 2013年4月に始まったのは、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁による「量的・質的金融緩和」。目標とした「物価上昇率2%」を達成するために、日銀が長期国債などを購入して市場に資金を供給する量を年60兆~70兆円に増やした。「異次元」とも呼ぶ大量の金を供給することで経済が活性化し、2年程度で物価上昇は達成できるとした。14年10月の追加緩和では、市場に資金を供給する量を年80兆円に引き上げた。

 しかし、いまだに目標は達成していない。今月20日の金融政策決定会合では、2%の物価上昇目標の達成時期を「19年度ごろ」に先延ばしにした。先送りは実に6回目になる。

 「異次元緩和」がたどってきた道について、元日銀理事で富士通総研エグゼクティブ・フェローの早川英男さんは「13年4月の金融緩和は、米軍に対する奇襲に成功した真珠湾攻撃、14年10月の追加緩和は日本軍が敗北したミッドウェー海戦のように思えてならない」と話す。

 「日銀の金融政策はショック療法であり、短期決戦型だった。短期で勝負がつくのならば問題はなかったが、今のように持久戦になったら勝ち目がありません」。「出口」が見えない金融緩和を続ける日銀は、まるで大局観に立った戦略を描けないまま戦争を続けた日本と重なって見えるというのだ。

 「現在の日本はゼロ成長で、物価上昇率2%は達成できません」と断言するのは、「資本主義の終焉(しゅうえん)と歴史の危機」などの著書がある水野和夫法政大教授(経済学)だ。「黒田総裁物価上昇率2%を達成できない理由原油価格の下落などを挙げています原油価格が上がれば国民は困るのに、自分たちの目標達成を優先する。この発言から分かるように日銀は国民よりも安倍政権の方を向いている。これでは『安倍銀行』と言った方がいい」と批判する。

 

 第二の矢についてはどうか。早川さんは「公共事業で経済を持ち上げることはアベノミクス初期には成功したが、完全雇用の現状では、公共事業をやっても人手不足で事業が進まないので意味がありません」と指摘する。完全失業率が3%前後と低水準で、働く意思と能力のある人が原則として全て雇用されている「完全雇用」の状況では、公共工事を増やしても人手不足で工事が進まず、経済は活性化しないというのだ

 

 第三の矢だが、安倍政権は毎年、成長戦略を盛り込んだ「日本再興戦略」を発表しているが、メニューだけ増えるばかりで、決め手に欠く

 日銀が国債を大量に買い続けることの副作用も懸念されている。国債買い取りによって長期金利は低く抑えられているが、物価が上昇すれば金利も上がる。国と地方を合わせた借金が1000兆円を超える中、金利が1%上昇すれば利払い費も兆円単位で膨らんでしまう。低金利で利払い費が抑えられている現在でも一向に進まぬ財政健全化は、物価が上がると絶望的になる。早川さんは「政府にとっては日銀が物価上昇目標を達成できずに失敗し続ける方がいい。成功したら政府は困るんだよ」と、皮肉な見立てを披露する。


政財界「蜜月」の限界

 安倍政権は、アベノミクスによって、日経平均株価は2万円前後を推移するまで回復、外国為替相場は1ドル=110円前後まで円安が進み、製造業を中心に過去最高の利益を上げる企業が増えていると、成果を強調する。さらに、17年度の最低賃金の目安となる額は、2年連続で3%以上の25円の引き上げが決まった。各都道府県の最低賃金はコンビニエンスストアのアルバイト時給と同額のことが多いが、国民の生活を左右する労働者全体の賃金の上昇は実現しているのだろうか

 厚生労働省の毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所)によると、16年度の実質賃金は6年ぶりに増加したが、伸び率はわずか0・4%増。人口減少による人手不足が起きているが、賃金の伸びにはつながっていない。

 なぜ社員の給料は上がらないのか。大和総研経済調査部エコノミストの小林俊介さんは「経営者からよく聞くのは『社員の給料を一度上げてしまうと(20代の社員が定年を迎える)40年先の投資につながる。40年後の企業環境を見通せない中で、賃上げには二の足を踏んでしまう』という回答です」と指摘する。先行きの不透明感が、経営者に賃上げをためらわせている

 資本の力が労働者よりも強くなったことが、賃金の伸びない理由と解説するのは水野さんだ。「国民総所得に占める賃金・俸給の割合1980年度は46・5%だったのが、15年度には40・5%に低下しました。本来は労働者に払われるべき賃金が企業の利益として内部留保などになり、ため込まれているからです」

 その背景の一つには、株主資本利益率(ROE)を高めようとする政府の方針がある。ROEは企業が株主の金(株主資本)をどれだけ効率よく使い、利益を高めたかを示す指標だ。14年に安倍政権が発表した「『日本再興戦略』改訂2014」では、高ROE経営を後押しする政策を前面に打ち出した。水野さんは「ROEを高めるには賃金を下げていくことが最も安易な方法だが、その一方で安倍政権は賃金を上げろと企業に要請しています。これでは明らかに矛盾しています。政府が要請しても、経営者は株主総会で再任されるために『モノ言う株主』の言うことを聞いてしまうのです」

 安倍政権は、これまでの春闘で大企業に賃上げを呼び掛け「官製春闘」を演出してきた。政権と財界との関係は“蜜月”とも言われる。それでも企業側が政権の思惑通りに動かず、賃上げは後回しにされているのだ

 

自民・村上氏「ナニモナイミクス」

 生活者の視点に立つと成果が見えないアベノミクスについて、政権に厳しい目を向けている自民党の村上誠一郎元行政改革担当相はどう考えるのか。「金融緩和はこれ以上やっても効果がない。財政出動も限界。一番肝心な成長戦略もない。アベノミクスは賞味期限の切れた『ナニモナイミクス』なんだよ」と語り、大きなため息をついた。

 5月に自民党議員に呼び掛けて「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」を作った。「共謀罪」法案を巡る強引な国会審議などが影響し、内閣支持率が下がり始めた時期と重なっただけに、安倍政権に反旗を翻したのかとの見方が政界に流れた。「マスコミはすぐに政局的な話題にして『反アベノミクス』とはやし立てる。ほとんどの国会議員は財政、金融、社会保障にあまり関心がないから勉強会をやろうとしたんだ」。外野の見方を村上さんは意に介さない。「安倍政権は、財政、金融、社会保障を立て直すことを真っ先にやらなければならないのに、憲法改正や安全保障関連法、『共謀罪』法などを優先させている。財政、金融、経済政策などが後手に回っている」と強調する。

 勉強会はこれまで2回開催し、野田毅前党税調会長や額賀福志郎元財務相、丹羽雄哉元厚相、石破茂元幹事長らベテラン議員も参加した。各回の出席者は代理も含め約80人という。2回目の勉強会に講師として招かれた前出の早川さんは語る。「出席者にはアベノミクスに批判的な人もいるが、そうでもない人もいる。政局につながるかは別にして、政策を議論するのはいいこと。少し前の安倍自民党は中国共産党と同じで議論すらなかったから」

 これからアベノミクスをどうしたらいいのか。村上さんはこう考える。「金融緩和はもう限界なので、緩和縮小の『出口戦略』に一刻も早く取り組むべきではないか。また、これ以上、消費増税を延期したら財政はデフォルト(債務不履行)の危険性があるので、歳出カットをしながら財政を立て直していくべきだ。また、社会保障は次の世代にツケを回さないように、今の『高福祉・低負担』を、せめて『中福祉・中負担』にしなければならない」。そして言葉に力を込めた。「選挙があるから政治家は聞き心地のいいことしか言わないが、将来の世代にツケを押し付けていいのか」

 ツケ払いの代償を負わされるのは国民、特に若い世代の人たちだ。内閣支持率が下落し、安倍政権は岐路に立っているが、アベノミクスは継続していくのか。看板の経済政策も正念場だ。

 

 

●とまぁ、こんな感じです
上の分析報告は、愚かな自分が読むと、第一の矢、第二の矢がちっとも成功した域に至っておらない・・・と読める。
実質賃金が伸びていく予感が、何も無い・・・と識者は言っているようだ。

山本太郎が街頭演説で必ずと言っていいほど触れているのが「大企業は儲かっているのにない内部留保ばかりして溜め込んでいる」・・・・・という事。
賃金を上げるように、確か安倍総理自らも「お願い」をしていた。
笑う場面じゃないが、これには、実は笑った。
大企業社員給料アップ誘導政策ではなくて、「お願い」だった。
誘導政策として、内部留保を吐き出し、国内消費に還元される給料を義務付ける税制なり何なりを、何故にやらないのか・・・。
そんなことをすると、自民党選挙に協力して貰えないからだろう。
実に卑屈な経済「お願い」だった。

第二の矢の財政出動。
そうなんだよナ~。新たな雇用を産み出す分野に投資しなかった。
「公共事業」って、大昔からの自民党の定番の土建投資。人手不足の土建分野だが、そこに職種を転換して就職なりをしようというヤツは、あんまり居ないだろう。失業者が路頭に迷っているご時勢なら、土建分野でも相当に吸収できるとは思うが・・・・。
なんだか、安倍の第二の矢って、例えてみると、筋力が弱っている患者に対して、大腿骨の骨を強くするカルシウム剤を投与しているやぶ医者のような気がする。
ニーズもあるのに、安給料のため人手不足に陥っている介護分野や保育分野の「人」に投入する方が余程第二の矢に適っている。
介護も保育も、福祉なので金食い虫以外の何者でも無いという40年前の自民党の古い言い伝えをご信心し、世間様や時代を見る目の無いロートル政治だろうと思う。

第三の矢については、上の識者は「メニューだけが増えるばかりで、決め手に欠く」とだけ指摘している。
もう少し、その成長戦略政策と効果について突っ込んで分析して貰いたかった。残念である。
この辺りは、自分では偏見に満ちた意見はあるが、それは書かない。
経済・産業関係の識者が何を指摘しているか、今後も探そうと思う。
ちなみに、加計・獣医学部の国家戦略特区と、カジノ法案はいずれも第三の矢「成長戦略」である。
従来にない新型の経済活動を始動するという観点は、抽象理念として優れているとは思うが、現実の政策としては、看板にそぐわないインチキ戦略だと思う。

少し長くなったので、この辺りで止めておきます。

 

 

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