諸君、ご壮健かな。
春のうららはさらさら行くもんだな。
よくドラマの舞台になるのだが。
私は。
喫茶店が大のお気に入り。
挽きたての豆の薫りを嗅ぎながら。
書物に目を通す。
(ん?)
突如私を闇の波動が襲う。
コトコトコトコト・・・・・・。
むっむむううう。
これは強敵だ。
私はそそくさと席を立つ。
そして、雪隠に向かうのだ。
私は扉の前に立つ。
そしてその文字を見る。
「トイレット MENS」
おお、間違いない。
これが私の闇の波動を振り払ってくれる、魅惑の部屋なのだ!
ドアノブを見る。
シグナルは青。
よし!いざ入らん。
ガチャ。
「いやあああ!」
けたたましい声。
響き渡る店内。
私は幻を見ているのか?
ルームの中には。
そう。
長ズボンを下したオバン・カーンが!
「すいません!」
私は思わず敬語で扉を閉める。
心なしか、周囲の目が冷たく感じる。
私は悪くない!
悪くないんだよ!
そう心で叫びながら席に戻る。
腑に落ちない。
今一つ、腑に落ちない。
どれくらいたっただろうか。
ガチャ。
視線の先で扉が開く。
オバン・カーンが出てくる。
そして私に向かって、恥ずかしそうにお辞儀。
なんかいやだ。
(過去の仁義なき戦い )