ガンダムマイスターは、劇場版の西暦2314年時点で、

ティエリアは生まれつきイノベイド(脳量子波使える)
アレルヤは改造されて超兵に(脳量子波使える)
刹那はイノベイターに覚醒(脳量子波使える)

という構成になっている。しかし、その中で唯一ロックオン・ストラトスことライル・ディランディは、昔ながらの普通の人(脳量子波使えない)のままであった。しかもライルは2ndシーズンになってからCBに合流した新参マイスターであり、1stシーズン当時の武力介入ミッションを経験していない。つまり、ガンダムでの実戦経験が最も少ないマイスターなのだ。そして、ライルは人生経験においても、マイスターの中では最も“普通”の人間としての生活を知っている、並の人である。

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ティエリアは、ヴェーダによって作り出された人造人間であり、普通の人間として社会生活や家族生活を経験したことが無いはずだ。生まれつきのCBメンバーであり、ガンダムマイスターとしてのみ生きてきた。人間とマトモに関わって生活を共にしたのは、トレミーの面々とが初めてだろう。

アレルヤは、かなり幼い頃に戦災孤児となり、すぐに人革連の超人機関に連れて来られた。その後は人体実験や改造手術を受ける日々であり、超人機関を脱走した後は、放浪の末CBにスカウトされた。恐らく一般的な市民としての生活は出来てないだろう。

刹那は、クルジスで少年兵として戦争に関わり、サーシェスに唆されて自分の手で両親を殺している。生まれた時は普通の子供として両親との家庭生活を送っただろうが、戦争と無縁の幸せな期間は短かったはずだ。青春と呼べるほどのものも謳歌せずに、CBに合流しマイスターとなっている。

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ライルもKPSAのテロに巻き込まれて両親と妹を亡くしてはいるが、そこまでは普通に家族とも幸せな生活を経験しているし、一度は社会人として商社勤めのビジネスマンとしての経験もしている。恐らくは、ここに至るまでに普通の恋愛等も経験しているだろう。連邦政府やアロウズのやり方に反発して反政府組織カタロンに参加してはいたが、一般市民としての生活経験も、マイスターの中では一番多いはず。多分、弟ライルだけではなく、兄のニールも似たような社会経験があり、その為ロックオン兄弟はマイスターの中では常識のある大人なのだ。

そして、ライルは大人でありながらも、普通の人であり刹那ほどの達観には至ってないから、アニューの件では悩んで迷いも見せたし、アニューを失った時などには動揺もしたし感情的になりもした。

ガンダムマイスターとして様々な経験を積み、精神的な成長もして、戦士としての腕も磨かれた。でも、他の3人のマイスターに比べれば、いまだにライルは普通の人である。特殊な能力に目覚めることもなく、人類の新たな革新をその身で体現することもない。肉体の細胞変化で体力が強化されることもなく、脳量子波による反射能力の向上や、状況把握力の拡大も無い。勿論、ヴェーダとの直接リンクの能力もない。

そんな普通の人なのに、ティエリアやアレルヤやピーリスや刹那達と同じようにガンダムに乗ってマイスターとして戦うのだ。ハロ2体のサポートを受けながらとは言え、普通の人のライルがマイスターとして戦い抜いて最後まで生き残ったのは、ある意味称賛に値する面がある。