連邦軍所属の純粋種イノベイター、デカルト・シャーマン。そして、イノベイターとなってこれまでの人類よりも拡張された能力を活かす為に開発された最新兵器が、形式番号:GNMA-Y0002V ガデラーザだ。


ガデラーザはイノベイドの持つ擬似太陽炉搭載機のノウハウを取り入れて開発された大型モビルアーマーで、イノベイターの持つ脳量子波による武装コントロールシステムを採用した機体だ。ガデラーザは、その名称の頭に『ガ』が付くことが示しているように、リボンズ達の開発したガデッサ、ガラッゾ、ガッデス、ガガといったいわゆる『ガ系』の流れを汲む設計となっているようだ。


ガデラーザのサイズは、全長302m、全高86mという、MAとしてはかなりの大型だ。CBの戦闘母艦であるトレミー2改ですら全長は251mしかなく、ガデラーザは巡洋艦や戦艦と同等以上の規模を持つMAだと言える。その大型の機体後部には直列3連装の擬似GNドライヴが左右に搭載され、機体内部にも予備の擬似GNドライヴが1基内蔵されているようなので、合計7基の擬似GNドライブを持っているようだ。7基というと図らずも?(いやわざと?)アレハンドロの乗っていたアルバトーレと同じ数だが、ガデラーザの擬似GNドライヴは改良を重ねたタイプだと思うので、それを上回る性能になる気がする。


機体下部には2基のファングコンテナを装備。また、機首中央部にはGNブラスターという大型GN粒子ビーム砲が搭載されている。左右ウィングには合計4本の隠し腕があり、腕の先端部はGNビーム砲が装備され、それはGNビームサーベルとしても機能する。ウィング下部GNミサイルキャリーも装備されていて、左右にそれぞれ16発ずつ、合計32発のGNミサイルが搭載されている(ガデラーザの機体規模にしては少ないな…)。


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ただし、これだけの大規模かつ最新鋭の機体であるにも関わらず、ガデラーザにはトランザムシステムの搭載は確認されていない。2314年時点では擬似GNドライヴによるトランザムは量産機にも搭載されるほど一般化しているので、ガデラーザへのトランザム実装も技術的には不可能だったとは思えないが…。その機体が超大型であることや通常稼動のままでも十分過ぎるほどの粒子出力が確保されている点、ファングの運用を前提としたコンセプトである面などから、トランザムは不要だと判断…されたのかな?


ガデラーザといえば、何と言ってもファングが最大の特長だろう。ガデラーザがイノベイター専用機(搭乗者がイノベイターでなければならない)と言われる理由も、これまでにない多数のファングを脳量子波によってコントロールするからだと思われる。ガデラーザに搭載されているGNファングは、ファングの親機とも言える大型タイプが14機あり、それらにも擬似GNドライヴがそれぞれ1基ずつ搭載されている。さらに大型ファング内には各10機の小型ファングが内蔵されており、それらを全て射出すると総合計で大型14+小型140=154機のファングを持つことになる。これだけの数のファングを有効に使いこなす為に、イノベイターの能力が必要なのであり、逆に言えばイノベイターがいればこそ、こんな兵器の開発を可能にしていると言える。


イノベイターと言えども、常識的な普通の機体に乗っているだけなら、ただの“優秀なパイロット”の範疇を越えることはない。どんなに優秀なパイロットでも、1機の機体に出来ることは限られてしまう。だが、イノベイターの持つ能力の特性を十分に把握した上で、それに見合った常識外れとも言えるような並外れた機体を用意すれば、並外れた戦果を期待出来る。所詮は一個人にしか過ぎないイノベイターでも、機体制御用の優秀な部品として適切に組み込むことで、強力な戦力となる可能性を秘めてるということだ。


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劇中ではガデラーザの性能(戦力)を連邦の技術仕官が「モビルスーツ五個小隊と渡り合える戦闘能力を有しています」と表現しているが、これは別に実戦上の戦闘力を精密なシミュレーション結果として示しているわけでもない気がする。MSの小隊は基本的に3機で構成される。つまり五個小隊とはMS15機ということね。五個小隊と渡り合えるという言い方は、ガデラーザ本体+大型ファング14機=15機として(擬似GNドライヴを搭載した大型ファングをMS1機分と仮定して)、控えめに最低限の表現をしてみただけのような気がする。


実際の期待値としてはその後のセリフに現れている方だろう。「いえ、それ以上の戦果を挙げてくれますよ。シャーマン大尉なら」…まだ開発・実験段階で、本当のMS部隊との実戦投入を経験していないガデラーザだったので、誇大広告とならぬように控えめに言いながら、それでも従来の戦力と比べれば桁外れであると、マネキン准将にアピールした表現だったように思う。