連邦政府や連邦軍内で、ヴェーダによって初めて認定された人類初の純粋種(自然発生)イノベイターだと認識されているデカルト・シャーマン


厳密には刹那の方がイノベイターとして早期に覚醒しているはずだが、それを連邦上層部が把握してないところを見ると、やはりヴェーダはCBやマイスターに関する情報は連邦に公開してない事が窺える。ヴェーダは連邦に対しては、レベルいくつまでのアクセスを許してるんだろうね?


デカルトは西暦2312年のアロウズとCBの最終決戦時に、アロウズのMSパイロットとしてGN-XⅢに搭乗し参戦していたようだ。その時点まではあくまでも一般兵であり、能力的にも特別に秀でていたところのない目立たぬ存在だったようだ。まぁ、アロウズに居たのだから連邦正規軍の一般兵よりはエリートだったのかも知れないが、アヘッドではなくGN-XⅢを与えられていたということからも、エースパイロット級ではなかったのだろうという気はするが。


ただ、その戦場にてダブルオーライザーによるトランザムバーストのGN粒子を浴びたことから、デカルトの人生に大きな変化がもたらされたらしい。高純度・高濃度のGN粒子を浴びたことで、イノベイターとしての覚醒を始めた。沙慈のように刹那の側に居て粒子を浴び続けても覚醒しない人間もいるわけで、デカルトは元々イノベイターに覚醒しやすい素養(体質)を持っていたのだろう。最初は本人にも自覚はなかったようだが、軍の訓練等で徐々に、身体能力や反射能力向上による訓練成績の大幅アップ等の頭角を現すようになり、その異変に気付いた軍の調査を受け、イノベイターとしての覚醒を認められたようだ。


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イノベイターとしての覚醒…それは、当人にとっても最初は喜ばしい事だったはずだ。細胞レベルの変革により、体調が良くなり頭も冴えてスッキリした感覚があったろうし、何をしても以前よりも能力アップしていて好成績を出せるのだから。例えば軍では基礎体力アップの為のトレーニングも行われるだろうし、その身体能力測定や、射撃や武術、格闘技等の訓練も受けるかも知れない。それらにおいて、走ればいつもより速く走れ、長距離走っても疲れにくくなり、射撃を行えば命中率が高く、格闘においても体力で他人に劣る面はないのだ。それも特別な努力なしで急にそうなるのだから、戸惑いもするだろうが楽しくもあったはず。なんだかわからんが、最近のオレってイケてるじゃん?なんて思ったかも知れない。


しかしその急激な能力向上が軍部から注目されるようになってからは、事態が思わぬ方向に進み始めたはず。


イノベイターとは、いわば人類の進化形だ。その能力は劇中の言葉によると「状況把握力、空間認識力、脳量子波の増大、細胞変化による肉体強化、理論的には常人の倍に等しい寿命があると考えられます。さらに、GN粒子散布領域内では、脳量子波による意識共有すら可能です」という。まぁ、大体は既知のリボンズ達イノベイドと同じなので視聴者的には特に驚くような点はないのだが、初めてそれを知った軍関係者(特に研究開発部門の人間)には画期的な発見だと感じられたことだろう。初めて手に入れたデカルトという研究サンプルを調べ上げ、そこから得られた研究成果を軍の戦力増強に活かせないものかと色めき立ったに違いない。というか、元人革連の超人機関が人工的に生み出そうと目指していたこと(超兵)が、より完成度を増したカタチで自然に生み出されたのだ。これを理想的な兵士として利用しない手はない…と、考える軍関係者は少なくなかっただろう。


現時点唯一の研究サンプル=デカルトの身柄を、軍は厳重に確保・管理しようとした気がする。そして、軍の研究者達は長らく夢見てたおもちゃでも買って貰った子供のように、興味本位でアレコレと弄繰り回したのだろう。デカルトの気持ちも人権や尊厳もロクに顧みずに、モルモットとして“物扱い”したのではないだろうか?デカルトは他に交代要員のいない唯一のモルモットなので、自由時間も大して与えられず、四六時中監視付きで生活の全てを軍に管理される羽目になったのだろう。イノベイターとしての変革を遂げたことで、肉体的にも精神的にもタフになったデカルトだったが、それでも心を腐らせずにいられないほど、不自由な生活を強いられることになったのだと思う。


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デカルトはイノベイターとして認定され、その能力値の高さから階級は大尉に昇格した。しかし、実態としては決して“大尉待遇”を受けさせてもらえてなかったらしい。大尉といえば、本来なら2ndシーズン時点で言えば、バラック・ジニンやリヴァイヴ・リヴァイバル、パトリック・コーラサワーと同じ階級で、小隊長として部下を率いて相応の敬意を払われて然るべき役職である。権限に関しても指揮官クラスの佐官(大佐・中佐・少佐等)に次ぐ指揮系統の格付けであり、下士官クラスよりも様々な面で優遇を受けられる。しかし、モルモット扱いのデカルト大尉は、昇進前よりも窮屈で劣悪な待遇を受けていた。


その為、小説版などでは「オナニーすらできない」と愚痴っているほどだ。


後に、外宇宙航行母艦ソレスタルビーイングの視察に訪れたマネキン准将と接見し、デカルトのこれまで受けて来た待遇の悪さを察したマネキンの「せめて大尉待遇はしてやれ」の一言により、多少の待遇改善は見られたようだが(食事内容等)。しかし、既に長らくモルモット扱いされたデカルトの心は簡単には癒されなかったようで、やや生意気で他人を劣等種扱いする荒んだ態度はすぐには直ることはなかった。


多分、元々は根の悪いヤツではなかった気がするんだが…。