初代ガンダムから最新シリーズに至るまで、ガンダムという機動兵器の多くに“ビームサーベル”という剣型の武器(またはそれに類するモノ)が装備され続けている。初代の機動戦士ガンダムのアニメは1979年放送開始で、映画スターウォーズはアメリカで1977年に公開されているので、ビームサーベルのアイデアはスターウォーズの“ライトサーベル(ライトセーバー)”の模倣(パクリ?)という話もあるかも知れない。が、それはともかくガンダムにとってはビームサーベルという武器は、ガンダムらしさの象徴的存在となっているのは確かだと思う。


ガンダムにとってビームサーベルを始めとするビーム兵器は、基本的にガンダムに最新テクノロジーが投入されている証である。実体兵器を振り回す敵の旧型機に対して、ビーム兵器を自在に操るガンダムの性能が、明らかに優位であることを印象付ける役割を担うことが多い。ガンダム00においても、1stシーズン第3話「変わる世界」にて、エクシアとの初対戦でグラハム・エーカーが「ビームサーベルだと!?」と驚いたりする。つまり、ガンダムには標準装備されているビームサーベルは、三大国家群の技術でもまだ実戦投入段階にも入っていないからビックリするのだ。CBは既にビームサーベルを実用化しているほど、技術的に進歩しているのかと。ビームサーベルはガンダムの世界ではハイテクの象徴なのだ。


ビームサーベルの武器としての優位点とは?まず、その携帯性・収納性に優れている点が挙げられるだろう。ビームサーベルは、使用していない時には刃の部分がなく柄だけである。長い刃が付いてない短い棒状(筒状)のその柄は、コンパクトで色んな箇所に装着・収納可能である。狭い場所にも隠し持って置けるので、設計上の邪魔にならず、装備させ易いという特徴があると思う。そして、ビームによる刃は通常の実体剣よりも切れ味が鋭い設定だ。刃こぼれやナマクラになる心配も無く、切れ味を保つ為に砥ぐ必要がないのも便利である。ビームの出力を調整することで、切れ味を変えたり刃の形状や長さを可変させることも可能だろう。物理的な刃がない分重量的にも軽く出来て、遠心力に振り回されることがないので取り回しが楽で切り返しも早く出来るという優位点があると思われる。


では、ビームサーベルには弱点は無いのか?まず、ビームサーベルはエネルギー兵器であるから、当然の如くエネルギーを必要とする。それも、恐らくは結構喰うはずだ。エネルギー供給が無限のオリジナル太陽炉なら問題はないが、そうでないとビーム兵器の乱用はMS自体の稼働時間を短くしてしまう可能性は考えられる。また、ビームはレーザーであろうとGN粒子であろうと、それを使用する環境によって影響を受けてしまう側面がある。例えば、綺麗な空気中や真空の宇宙空間なら問題はないが、埃や砂塵等が多量に濃密に舞うような空間や、水中ではビームが拡散・乱反射してビームの集束率が低下してしまう。そうなれば熱量も切れ味も落ちてしまう。場合によってはビーム刃が形成・維持出来ず、使用不能になる事もあり得るかも?また、GN粒子によるビームサーベルは、同じGN粒子を用いるGNフィールドには、余程出力を上回らない限りは防御され易いという特性上の問題もある。粒子は粒子で相殺され易いのかも知れない。


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ビームサーベルにもメリットとデメリットはあるものの、基本的にはローテクの実体剣よりはハイテクのビームサーベルの方が、武器としての威力が(切れ味や貫通力が)上であるというのがガンダム世界の基本だと思う。しかし、ガンダム00の世界においては、“実体剣”兵器の存在感には特別な意味が持たされている。


上にも書いたが、粒子ビーム兵器はGN粒子フィールドには防がれ易いという特性(設定)が00にはある。基本的にGNフィールドを全面展開可能な機体というのは、GN粒子生産量または貯蔵量が格段に大きい機種で、高出力を誇る機体である。よって、高出力な機体の張るGNフィールドを、他の機体がビーム兵器で貫くのは自ずと困難になる。世の中がビーム兵器だらけになった場合、強力なGNフィールドを張れる機体は、防御の上では無敵みたいなモンなのだ。それに唯一対抗可能な武器というのが、ガンダム00では実体兵器である。粒子に粒子で対抗するのではなく、粒子を物理的に押しのける物質的な実体のある武装。特に一発打って避けられたら終わりの実体弾よりも、何度でも切り裂ける実体剣に重きが置かれている。


1stシーズン第25話「刹那」での回想シーンにて、ロックオンストラトスがそれを語る。「刹那、なぜエクシアに実体剣が装備されているかわかるか?…GNフィールドに対抗するためだ。計画の中には、対ガンダム戦も入っているのさ。もしもの時はお前が切り札になる。任せたぜ、刹那」と。ビームサーベルを既に実用化しているハイテクなCBなのに、わざわざローテクのソードやブレイド等の実体剣をエクシアは何故装備していたのか?その答えがここで解明される。7基もの擬似太陽炉を搭載して強力無比なGNフィールドを展開するアルバトーレ。しかし、エクシアの実体剣はそのフィールドすら貫き切り裂いてしまう。


まぁ実体剣といってもCBの剣はただの刃物ではないのだが。刃の表面にGN粒子をコーティングし、実体のある刃による物理的な威力に、GN粒子によるビームサーベルのような切れ味を加味したもの。ただの金属製の単純な刃でも簡単に破れるほどはGNフィールドもやわではない。CBの実体兵器はそれなりにハイテクも盛り込まれている特殊仕様なのだ。


また、実は1stシーズンのガンダムにおいても、実体剣装備のガンダムはエクシアだけではなかったりする。結構存在感薄くて忘れられていると思うのだが、実はアレルヤの乗るキュリオスにも実体剣兵器は装備されている。キュリオスというと、GNシールドの先端が展開してハサミみたいになるクローの方が印象強いけれど、実はあの左右のクロー真ん中にGNシールドニードルが内蔵されている。エクシアほどの大剣ではないけれど、一応アレもちゃんとした実体剣のはず。全然切り札としてクローズアップされなかったけど。斬るというよりも串刺し兵器で、ちょっと残酷っぽいのでハレルヤは好んで使っていたが。