【超人のドーパミン】





幼稚園の時、顔から落下した事がある。

長崎と言う土地柄なのか、近くにカトリックの幼稚園があり、

そこに通っていた。

幼稚園は段々になっており、入り口の門に面する広場の下に

園庭があった。

園児は朝来るとまず、その園庭に降りて遊んだ。

ある朝、友達とジャングルジムに登った。

すると手でもすべったのか、真下の土に吸い込まれるように顔から落ちた。

その時、たぶん泣かなかったように思う。

ただ何が起こったのかわからず、呆然と寝転んでいた。

不思議だが、痛いのか痛くないのかもわからなかった。

すぐにシスター達が駆け寄って来て、少し騒然となるが、

ケガの本人は、何でこんなに大騒ぎしてるんだと、

上から自分をのぞき込んでいる友達やシスターの顔を、

もの珍しく見ていた。

そしてそのまんま抱えられて病院に連れて行かれた。

「あんたは鼻が低いけん、顔から落ちたのに鼻はケガせず、

両方のほっぺたとおでこをケガした」

病院で手当を受けた後、鼻以外ガーゼだらけのオレの顔に、

母親が言った。

その頃のオレの写真を見ると、アンパンマンの子供が写っている。



それからよく落下している。

子供は動物的に、危険予知能力に欠けるバカなので、いろんな所から

よく飛び降りた。

周りがビビってたりすると、真っ先に飛び降りた。

そのバカは大人になっても続き、ライブで高い所から飛びだしたのは、

その延長だ。

だが、ものすごく高いと怖くないわけじゃなく、その時は、

一か八か、もうどうにでもなりやがれ!と半分開き直って飛んだ。

その時脳裏によくよぎったのは、スキージャンプだ。

あれに比べりゃあって事だ。

でもいつも思う、あの高さ怖くねえの!?



怖くないらしい。

怖くないか?という質問を受けると、それもまた快感と言う選手もいる。

ラージヒルのスタート地点は最大約140m、東京タワー展望台の高さと

一緒だゼ!

ホントかよ!?怖いだろう!

そんな頃、ある新聞の記事を読んだ。

【スリル、恐怖がある競技の場合、成功イメージによって

脳内に快感をもたらすドーパミンが分泌される】

なるほどね、そう言えば免許取りたての頃、バイクをぶっ飛ばすと、

これがバリバリに出ていた気がするよ。

でも、あのステージでの高いジャンプの時にはでた記憶はない。

でるとしたら、ライブの終盤の汗まみれの鼻水ぐらいだろう。

なんてね、それとオリンピック選手を一緒にしちゃあだめだね。



いよいよソチオリンピックが始まる。

オリンピック好きのオレにとっちゃあ、たまんない。

選手の気合いの目を見るのが好きだ。

そしてもう一つ今回は、「お!ドーパミンが出ちょる出ちょる」と思って

画面を凝視しよう。

ここでまた思い出した、ひょっとしてもしかすると!?

幼稚園の時、真っ逆さまに落ちながら、ドーパミンが出ていたのか?

んな、訳ないか。