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2017-02-25 14:33:15

【瘡蓋未来】

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【瘡蓋未来】
  カサブタミライ



ある冬の校庭の一画で、体操着の子ども達が体育座りで整列をしている
その前に立ち、男の先生が何か話をしていた。
遠く端っこに古い体育館が大きく見えるだだっ広い校庭の真上からは、

風がピューッと斜めに吹き降りていて、それがさっきから先生の髪を横になびかせている。

先生の話も風に吹かれてきれぎれに飛んでくるので、後ろの方に座って
いたオレはうつむいて、目の前にある膝小僧を右の中指の爪で
カリカリかいていた。
瘡蓋だ。

これを剥がすと痛い。

遊んでいる時よくひっかけて、一瞬「痛!」となりそこから汁が出たり

する。なので最初は用心したが、指の腹でなでたりしていると、

ザラザラ固く感触が気持ちいい、その模様は血が噴き出して固まり、

ちょっとした溶岩が流れた跡のようだ。

よく見ると、皮膚との間に微妙な隙間が出来ていた。

その隙間にそおっと小指の爪を入れてみた。

なんだかメリメリ剥がれていく気がして、さらに剥がすと、

あれ!?痛くないかも。

するとパカッと取れた。

剥がれた跡を見ると下には真っさらな白い皮膚があった。

怪我はこうして再生するのかとその時初めて知った。

 


中学の時、卒業の数ヶ月前に仲良かった友人とケンカした。

不穏な空気が流れ、終いには殴り合いの果たし合いでも起きそうになった

が、無事に二人は卒業した。

それ以来ずっとそのままになっている。

先日田舎で昔の友人の集まりに行った。

入口で自分の名札と参加者の名前が記された座席表をもらった。

「やあ!」と懐かしい顔に挨拶しつつ座席表を眺めると...ある!彼の名が。

周りで談笑する輪の外に目を懲らし確かめると、いた!たぶん彼だ。

オレはすぐさま歩み寄り握手を求めた。

みずみずしい気分になり、真正面で目を合わすと彼もすかさず
握手に応じてくれた。

久しぶりの対面に感情がせり出してきて、彼の中学時代の呼び名を叫ぶように口にだした。

すると、ん!?

空気が少し変わり、彼はキョトンとしている。

その直後、「なんか勘違いしちょーへん?」とは、目の前の彼の言葉だ。

名字は同じだが、彼ではなかった。

確かに握手した時、随分顔が変わったなあと思ってはいたが。

ハハ、完全にオレの勇み足、だがあの瞬間、心の中に小さく張り付いて

いた固い何かがポロっと剥がれた。

彼への挨拶はいつかの次回に期待しよう。

 


先生の号令で、子ども達は立ち上がり、

指で瘡蓋をつまんだまま、お尻の泥をパンパン両手ではらった。

空からの風が目の前を吹き、体育帽からでている髪を凪ぐ。

目をこすりこすりしながら瘡蓋をポケットにしまった。

「また破けたりしないかな?」

膝小僧に現れたまだ弱々しい赤ちゃん肌を少しなでて、

進む先生の元に駆けていった。
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2017-01-09 18:16:39

【宇宙と正月】

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【宇宙と正月】




元旦の朝まだ暗いうちに実家の近所を軽く走った。

実家は宍道湖という大きな湖を見渡せる丘の上の団地の中に建っている。

湖の手前には、視界の右から左に堤防が連なっていて、その堤防の上を

湖北線と言う松江と出雲大社をつなぐ国道が走っている。

堤防下から実家の丘の間は、田んぼが広がる盆地で、オレは実家に帰ると

その田んぼ道をよく走る。

 

 

 

昨日のお昼に東京から新幹線に乗りこちらに着いたのは夜だった。

大晦日だから自由席もそんなに混んでないかと思ったが、そんな甘い観測
はとんでもなく、やっと座れたのは伯備線の伯耆大山駅からだった。

松江駅に妹が迎えに来てくれ、実家の玄関をただいまと開け

母親からほら喰えと出された食事を食べると9時にはウトウト辛抱できな
くなり、
敷かれた寝具に滑り込むと目を覚ましたら元旦の朝だった。

まだ暗く、みんな寝静まっている。

天井を見上げて目をパチクリさせるとふと思った。

「朝日が拝めるかも」

布団からゆっくり出てジャージに着替えると

シューズに足をトントンさせ、家の玄関をツーッと閉めた。



 

元旦の暗い朝にこんな所を走っているなんて!

毎年元旦の朝はいつも布団からゆっくりで、髪の毛がはねた頭であくび顔がでっかいはずだが、少しブルッと震える外の空気に身を置くのは新鮮だった。

ちょっと右の股関節を痛めていて歩いているのと大して変わらない。

それでも堤防下まで来ると、角の溜池を曲がり、今度は堤防沿いの田んぼ道を走った。

頭上を走る車はまだ少なく、その代わり空が少し明るくなってきていた。

朝日の先っぽらしき光が堤防の上から飛び出している。

年末はいろいろあってバタバタだった。

でも気づけばこうして新年だ。

正月というのはやっぱりいい、節目って言うのは大事だ。

だけど、あの朝日浮かぶ宇宙空間はどうなのだろう?

暗い空間で、無限に近い無機質な時間の流れがあるだけなのだろう。

そんな場所で生きたらどうなのだろう?と頭をよぎった瞬間ウウっと首を
振り、とんでもない、まっぴらごめんだと思った。

節目のない時間の中で生きたら人間はきっと狂うだろう。

一年一年に区切りをつけたのは人間の偉大な発明に違いない。

でもまてよ!将来人類が宇宙に進出して、その星々で地球の暦を使い出し
たら!?
今の正月と同じ時間に宇宙のどこかで正月を迎えている。

それも素晴らしいかも知れないなんて思い巡らしていると、
いきなり背中がゾワッとした。

誰かが迫ってきている様な気がしてすかさず振り向くが誰もいない。

「ははあ~!また来たか」とは数年前の事だ。

数年前の冬の夕方、この場所でフードを被ってうつむいて走っていると

フードの視界にいきなり足が見えたと思ったら誰かとすれ違った。

日は暮れかけていてこんな場所で誰だろうと思いすれ違いざまに振り返る
と、
いきなりギョとする程遠い場所におじいさんが立っていて
こちらをジッと見ている。

オレ今なんか変なのを見てるなあと思うと案の定、視界からおじいさんは
ヒョンと消え
気がつけば辺り一面田んぼだけだった。

頭上では国道を走る車が次々とヘッドライトを点けてビュンビュン飛ばし
ているが、
そことここは別世界だ。

再び走ると背中がゾワっとしてくる、どうも付いてきているようだ。

やれやれと振り返りその辺りを見据えて「バカヤロウ!付いてくるんじゃねえ!」と怒鳴った。

数度振り返りメンチを効かせそのまま走り去ると背中のゾワゾワは消えていた。



 

「あのじいちゃんかな?」また怒鳴って退散させようかと思ったがやめた。

今日は正月だ、しかも元旦なりたてのほやほや。

振り返り誰もいない田んぼ道に向かってでっかく話した。

「今日は2017年正月、あけましておめでとう、

ここにいるのもよしだけど、時間はどんどん過ぎて行く、

これからどうするかも勝手だけど、とにかく新しい年になったよ。」

そのままゆっくり背中を見せて立ち去った。

田んぼを抜け家の丘の坂を登っていくと途中に一畑電車の無人駅がある。

そろそろ電車があるのか、数人が坂を下りて来ていた。

見知らぬ人だが、あけましておめでとうございますとお互いに頭をちょこっと下げる。

すっかり辺りは明るくなり、遠く宍道湖の上の昇りたての朝日がまぶしかった。


 

ちょっと遅くなったけどあけましておめでとう!
みんなにとって素晴らしい一年になりますように。

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2016-12-23 12:44:07

【ジェット惑星の秘密】

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【ジェット惑星の秘密】



ある夜部屋にいたらノックの音がした。

誰だと思って開けるとそこは宇宙だった。

思わず踏み出しそうになり「ウワッ」とノブにしがみつくと、

手に持っていたペンが滑り落ち、足元に遠く散りばめられた星のきらめきにクルクルッと浮かんだ。

なんとオレの部屋が宇宙空間を飛んでいる!

すると突然!?ドアの上からロボットが逆さまに顔を出した。

思わず飛び下がると、四角のふたつの目がじっとオレを見つめ、

アンテナの様な耳がくるくる回転している。

口は電飾が真ん中から左右に流れ、不気味な電子音を発していた。

このままロボットとにらみ合いかと思いきや、ロボットはずるずる頭から

落ちだし、胴体をあらわにしだす。

だが、頭部から想像する身体がとんでもなく大きいようで、

ずるずる落ちてきた頭部はドアの下に消えたが、その機械の身体は

ドアいっぱいを覆って上から下へ延々と流れていく。

何が起こっているのか訳のわからないままドアを凝視していると、

ようやく炎を噴き出す切れ目が一瞬見え、目の前は再び宇宙空間に

戻った。

オレは急いでドアに駆け寄り、真下を見ると、

そこには何と!?先頭部分にロボットの頭だけつけた巨大宇宙戦艦がこちらを向き浮かんでいた。

あんぐり唾を飲み込むと、ロボットの頭だけがゆっくりこちらを向く、

そして四角の目が光った瞬間いきなり光線となり、オレの身体を包みこんだ。

光の中で一瞬フワッと宇宙空間に浮かんだ感覚になり、

気がつくとオレは宇宙戦艦の中に取り込まれていた。

艦橋の向こうにはオレの部屋のドアが電気スタンドの明かりを鈍く光ら

せ、宇宙空間に浮かんでいる。

突然、轟音が艦内に鳴り響く、

気がつくと艦内では先程顔を出したロボットが何体もちゃんと胴体をつけ

うごめいている。

するとジュバ――――――――!

メガマックスの猛スピードで、星の光りが線となる空間を突っ走り始めた。

いったいどこへ連れて行こうというのだ!

「ジェット惑星に行くのよ」

その声に横を向くと赤いボディスーツに身を包んだ謎のジェット美女が

オレに微笑んでいた。

遠く太陽らしき恒星がヒトデの様な形で、周りに集まる星を

絡め取るように白く光を放っている。

 

つづく

続きは12/26日 千日前味園ユニバースで。

 

https://misono-fever16.tumblr.com/


 
  

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