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2014-12-19 15:34:47

【親指ラーメン】

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【親指ラーメン】





冬の雨は冷たい。

高校の帰り道、自転車で濡れながら帰る時があった。

あまりの冷たさに我慢できなくなり、

心の中で「う~う」とやや激しくうめく。

時折、脇をシャー、車が雨を踏んで走る音が、また冷たく、

ついこの間まで大量に道にあった落ち葉が、今は数えるほどで、

それが転々と路の脇に追いやられ、雨に濡れている様子も冷たい。




ヨッペの家は校門からいくらも離れていない所にあった。

ヨッペの部屋は家の離れにあり、家の人に会わず入る事ができた。

冬の雨の日、開けるとコタツがあり、同級生はよくそこにもぐり込んだ。

家の側にラーメン屋があった。

部屋で暖まった後、一度そのラーメン屋に行った事がある。

一緒に部屋でたむろしていた同級生が話す。

「おやじが汁に親指を突っ込んでラーメンを持ってくるがや」

そんなラーメンあんまり食べたくなかったが、ついつい行った。

田舎のカツ丼や定食とかあるラーメン屋で、

ヨッペ含む何人かでのれんをくぐり、ラーメンを頼んだ。

待つ事数分、腰が曲がったじいさんが、よろよろしながら

ラーメンを持って来た。

テーブル囲む顔がみんな薄笑いだ。

友達の言う通り、両端を持ったふたつの親指が、もやし顔出す

白いスープにどっぷりつかっている。

今なら苦情のひとつでも言いそうだが、大人になる前の高校生は、

鼻で笑って、まあこんなもんかで済ませる事ができる。

胡椒をかけ、割り箸を割り、麺をズズっといった。

スープからいかなかったのは、やはり親指の抵抗があったからだ。

ところが結構うまかった。

みんなでひとしきり食べてホッと息を吐くと、それじゃあと

冬の雨の中を帰っていった。

スープがしばらく、お腹の中で熱かった。

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2014-12-12 16:32:42

【アルコールジェット】

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【アルコールジェット】




頭の上からいきなり声が降ってきた。

「うわっアンノさん」

見上げるとそいつの頭の上には、冬の新宿の空があった。





冬のこの時期に、新宿の歌舞伎町でつるの君と飲んだ事がある。

FM東京の仕事の帰りだった。

くだらなすぎる話の応酬で、一緒にいた仕事の仲間は

あきれて帰ってしまった。

つるの君と飲むといつもこうなる。

だが、くだらない話こそ小学生の時のように永遠に面白く、

なんでこんなに面白いのに、あいつは帰るのだろうと思ったが、

二人は相当酔っ払っていて、同じたわごとの繰り返しだ。

脇で聞いていたら、間違いなく苦痛以外の何物でもなく、

奴はなかなかがんばってつきあった方かもしれない。

二人とも意地っ張りで、こんこんとお酒を飲んでいく。

だが、店の中では決してつぶれない。

店を出る時は、朝方だったがまだ暗かった。

「じゃあな!」激しくお互い手を挙げて、それから記憶がない。

気がつけば、アルタに向かう路地脇の植え込みに寝ていたところを、

起こされた。

原宿時代の後輩だった。

偶然、仕事で通りかかったらしい。

すっかり朝で、周りは人の往来が激しかった。

だが後で聞くと、その後輩は起こす前に、昨晩先に帰った彼に

電話をかけたらしい。

「どうすればいいかな?」

「タクシーに乗せて!」

でもここでオレはちょっと思う。

オイオイ、電話なんかかけずに黙ってタクシーに乗せてくれ!

だが、それは虫がいいかもしれない。

たまに見る事があるが、真っ昼間に泥酔して路上で寝ているやからは、

ちょっと異様な光景だ。

きっとそれに違いなく、躊躇する気持ちもわからずではない。

植え込みから助けられ、タクシーに突っ込まれた。

やがてうちに着き、タクシー運転手に起こされると財布がない。

必ず戻ってくるからと部屋からお金を取って来て支払い、

後は昼過ぎまで寝た。

再び夜、車で昨晩の飲み屋に行き、財布の事を尋ねた。

店の人に心当たりはなかったが、もしかすると!?と思い、

店のトイレに行くと、水を流すタンクの上に財布はあった。

なぜそこにあるのかわからなかったが、

誰にも取られず残っている事にちょっぴり感動した。

つるの君は全然ましで、帰りの記憶はないが、

気がついたら家のベッドだったらしい。

あの時、運良く後輩が通ってくれたからよかったものの、

もし通らなかったらと思うとヒヤヒヤものだ。

ありがとう、ホントに助かったよ。

この季節、飲み過ぎに注意だ!
オレに言われたくないか。


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2014-12-08 19:47:52

【落ち葉を踏んで】

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【落ち葉を踏んで】




ドアを開けると、らせん状に渦を巻いて落ち葉が滑り込んできた。

それを弱く踏むと、カシャっと音がして気持ちよかった。

そのまま外に出ると、落ち葉は排水溝に沿ってたまっていて、

まるで見える雨の分子のようだ。

そこからあふれている落ち葉を踏みながら歩く。

でも2,3歩踏むと、そのままそそくさ歩いた。

子供の頃は、こうじゃなく、結構長い間落ち葉を追って歩いた。

カッシャっと言う快感を求めてエンヤコラだ。

たまにどっさりの所を見つけたら、友達みんなで走っていき、

両手ですくい上げたり、ちょっと寝たり、

たまに下の方は濡れ落ち葉になっていて、セーターの一部に

泥がついたりした。




夏から秋に変わりしばらくした頃、

気がつくと、辺りが暗くなっていて、肌寒い。

身をすぼめて歩くと、一枚の落ち葉が、風でカサカサ目の前を

転がっていく。

一年で一番寂しい季節の狭間だ。

高校のこの時期に、好きだった女の子に振られた事もある。

木枯らし吹く山の坂道を、チャリで学ランの片方の手をポケットに

いれたまま、下って行った。

そのせいか!?いやいや、そのせいじゃ無く、この時期はいつもそうだ。

しかし、落ち葉が街路樹にあふれ出すと、なぜかドラマチックな高揚感が

だんだんわいてくる。

むなしさを感じたはずの落ち葉は踏み放題になり、

その上で起きる日常が忙しくせわしく変わり、

年末にかけて、素敵なドラマが身の上に起きるようなワクワク感がでてくる。

もうすぐ今年も終わりだ。

早いね、相変わらず。

やっぱドラマなんて起きないか、いや、期待しよう。

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