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2015-08-28 14:07:35

【エイリアンの頭!?】

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【エイリアンの頭!?】



湾岸線に対峙するかのようにあった巨大なザウスがイケアに変わって久しい。

オレはそれをある日、突然知った。

南船橋のイケアを訪れる事があり、地図で探して到着した時、

見知っている景色にハッとして

その場所はかつてザウスがあった場所だと気づき、

途方に暮れた事がある。

ザウスとは2004年まで南船橋駅前に存在した、

世界最大の屋内人工スキー場だ。

オレはそこに、ほぼ一年間、内壁を作る責任者として入った。



工事は最初難航した。

初めて扱う鉄骨壁、それまでビルでやっていた内装とは全く違う

溶接、じっくりと強力で密な溶接を求められ、

それで全箇所を止める。

扱う材料は、5m、7mの鉄骨で、作業前にまず何本も担いで

傾斜の強い坂道を登っていく。

高低差100m、斜面の長さが480m。

穴をふさいでない頂上からの光がまばゆく、時折その光が目に入るの

を感じながら、地下足袋で一歩一歩踏みしめる。

夏など汗がポタポタで、前を行く奴の分厚い作業着は背中びっしょり

ベルトまで濡れていた。

材料運び等、とにかく人がいるので、

会社から何人ものアルバイトが送られてきたが、

どんどんやめていった。

最初は自分達の不手際もあったろう、だが次第に仕事を把握し

割り振りもうまくなって来た辺りから、バイトが固定しだした。

それと会社もこちらにアルバイトを送る時、

どんな現場かとしっかり説明をして、

それに納得した者だけを送ってくれた事が大きかったかもしれない。

きつい仕事は団結力を産む。

残った者は、次第に精鋭部隊となっていった。


壁一面に組まれた足場を上下左右、移動しながらの作業だが、

当然怪我をしないように気持ちをしっかり持つ事が大事だ。

二日酔いなんかではとても作業はできない。

実際にその現場では、鳶さんがひとり落下して死亡した。

ある時、一度だけ7mの一番重い鉄骨を足場の上から

落とした事がある。

足場にぶつかりながら落ちる音に、瞬間、心をすぼめて祈った。

幸い人が立ち入る場所じゃなかったので何事もなかった。

またある時、ダラダラ落下する溶接の火で、下の作業員の手の甲を

火傷させた事もある。

どれもあってはいけない事だが、現場での作業は常に危険と

隣り合わせで、オレはその危うさを、多少は知っているつもりだ。

そのせいか、町の工事現場の下を通る時、オレはいつも上を見て

用心しながら通る癖がついている。


過酷な現場だったが、巨大な建造物に立ち向かっている感は

やりがいがあり、作業員の間には楽しい雰囲気があった。

一度アルバイトの言葉に激しくズッコケタ事がある。

昼休み明けの午後、年若のアルバイトにオレは仕事を教えていた。

ザウスの中腹で、横のパネルはまだはめられて無く、

隣接している眼下のオートレース場からバイクの音が

鳴り響いている。

ちなみにこの頃だ、スマップの森君がアイドルをやめて、

そのオートレース場に来たのは。

他の職人に、若い女の子がたくさん集まっていると言う話を聞いた。

今鳴っているバイク音は、森君かな~?と思って聞いていた作業員は

結構いただろう。

日本の建築の作業は緻密だ。

ごく普通の壁、天井でも1mmの誤差はまだ許せても2mmは

許されないと言われていた。

鉄骨壁はそれより多少幅があったが、それでもオレはその世界に

生きていたから、それに近いシビアさを持って臨んだ。

もしそのずれが何かのミスで大きく生じた場合、

この巨大に立て込んだ壁が、前面やり直しになることだってある。

それだけで巨額の赤字だ。

それを念頭にオレはアルバイトに教えるが、

そいつの顔がなんだか上の空だ。

気持ちがあっちこっちに浮いていた。

濃い眉毛が一直線のような兄ちゃんで、

いつもボーっとしている子だったが、その時はボーが堂に

入っていた。

オレの説明に対して返事があやふやだ、

そして時折空中に目を泳がせる。

「わかってんのか!?」と言いながらもオレの説明がわるいのかと

思い、何度か説明する。

また体調でもわるいのかと顔をのぞき込むと、

すると「いやあ~」と首をゆっくり振り、しかもそいつは

ちょっと嬉しそうに答えた。

「エイリアンの頭が気になって」

「エイリアンの頭!?」

昼休みに読んだ週刊誌の【エイリアン3】の特集記事に載っていた

エイリアンの頭らしい。

当然、間髪入れず「アホかお前!」だが、

あの時のガクッとズッコケタ感じは、ちょっとおかしかった。

丁度1992年の【エイリアン3】の公開直前で 

話題になっていた頃であった。

まあそいつは最後までいた精鋭のひとりにはなったが、

ガクッとしたゼもう。


今、湾岸線は成田空港を往復する時によく使うが、

通る時、高速の壁の上にちょこっと頭が見えていたザウスの残像が

いつも現れる。





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2015-08-14 14:33:18

【蜘蛛】

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【蜘蛛】




バイク置き場はマンションの裏にある。

夏、ZⅡを出す時はちょっとやっかいだ。

ヤブ蚊が多い。

シートをほどき、めくり上げる早々二の腕に留まる。

間髪ではたくが、気がつくとほお骨に留まったりして、

急いで顔を振る。

外したシートを空中で少しバタバタして、隣の自分の原チャリに

かけると、ZⅡのハンドルを握り少しバックさせる。

そこからよっこらせと陽の当たる場所まで押していき

エンジンをかける。

またがり、チョークを調整すると、ちょっとプチプチ汗ばむ肌の

どこかしらがかゆい事に気がつく。

毎度のことだが、用心してもやはり数カ所やられる。

しかし先日、いつもの警戒でシートをめくりあげ、

一連の作業をしていると「あれっ?」と思った。

蚊の気配がない。

当然それでいいのだが、ZⅡをバックさせた時に気がついた。

暗がりに、大きな蜘蛛の巣。

なんちゅう安心感。

ZⅡを押しながら横目で思わず歌のように出た。

「蜘蛛ちゃん~、ありがとう!」



蜘蛛は結構ひいきにしてる。

殺した事は一度も無いと思う。

芥川龍之介の【蜘蛛の糸】からくる下心もあるが、

それ以上に、幼い頃、蜘蛛は害虫を食べてくれると親に聞いた。

だから何か、小さな番人のように彼らを見ている。



長崎にいた小学校の頃の記憶に巣くう蜘蛛がいる。

黄色と黒の鮮やかな蜘蛛で、友達の三井君の家の前にでっかく巣を張っていた。

朝、彼を迎えに行って二人で学校に行くのだが、

彼の家の前にはちょっとした坂があり、

その坂を登り切った所に丁度、門のようにその巣はあった。

雨上がりの朝など、雨に動揺した様子も見せずキラキラしていて、

三井君が出て来るまで、ジッと見上げていた事もあった。

その頃、仮面ライダーがテレビに登場したばかりで、

怪人で蜘蛛男と言うのがいたが、

それより遙かにその蜘蛛はシャープでかっこよかった。

「行ってきま~す!」

二人が飛び出すと、三井君のお母さんがニコニコ見送ってくれる。

だが、ふと目をやる彼女の頭上にいる蜘蛛の存在感は

なかなかすごく、その家を守っているのか、

それとも、オレ達が行っている間に蜘蛛の館にするのか、

少し不思議な不気味さを感じて学校に行った。






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2015-07-30 12:40:19

【花火それぞれ】

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【花火それぞれ】



ある夏、でっかい基地が湖の真ん中に浮かんでいるのが見えた。

「なんか浮かんじょうゾ」

湖岸で見た子供達は、それを確認すべく宍道湖大橋まで駆けだした。

まだ架けられて間もなかった宍道湖大橋は、

川からの湖の入り口にアーチ形に架けられていて、宍道湖を見渡せる。

「船かな?」

でも船にしては人を乗せる感じもなく、両側にタイヤがついていて

木の波止場の様にも見える。

う~んと頭をひねるが、子供の関心はここまでだ。

それが花火の打ち上げ場所に結びつくのは結構後だった。




「松江にこんな人がおるんか!?」

宍道湖の花火の日は人が凄い。

普段の日は、宍道湖大橋からグルッと見回して、走る車、歩く人を

数えようとすれば、ざっと数える事が出来そうな感じであるのに、

この日は分厚く人の集団が宍道湖を囲む。

テキ屋の発電機が所々鳴る中、人々は岸に向かってぎっちり座り

夜空に咲き乱れる大輪に歓声をあげる。




田舎では毎年見ていた。

でも10代はだめだ。

目の前の花火に気がつかない。

あの頃はいつもさまよっていた、いつも何かを探していた。

頭上であがる花火とは別に、何か強烈な想いが胸の大半を覆っていて、

花火そのものを見ていない。

それは片思いの女の子の事だったかもしれないし、

学校であった気分の悪かった事だったかもしれない、

はたまた将来への不安と夢であったかもしれない。

天空と湖面が真っ白になるくらいの花火の光を横顔に受け、

湖岸の松の木を縫って足元のシャドウをいつも歩いていた。




花火が心に染みいるように入ってきたのは、むしろ最近だ。

今思えば、あの頃持っていた甘酸っぱい記憶が、夜空に重なり、

花火の美しさが何倍にもなって心に映る。

自分にとって、宍道湖の花火はたまらない。

人それぞれ、自分の花火が心にあるだろうね。

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