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2014-08-29 17:00:00

【レディ】

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【レディ】






ガキの頃からバイクには興味津々だったが、四輪にはからっきしなかった。

しかしレディとなると話はちがう。

それに乗れると聞いた時、オレの胸の高鳴りと言ったら、ちょっときたね。





先週、アメリカ、ソルトレイクシティにいた。

めずらしくツアーじゃなく、映画の撮影だ。

物好きなインデペンデントのドイツの監督がいて、

オレに出演してもらいたいと言う。

絵コンテを見てもどんな役さっぱりわからなかったが、

ギターウルフのままで演技はしないという条件で、

ソルトレイクシティに飛んだ。

ソルトレイクシティには、名前通り、塩の湖がある。

だがある部分で、一年中、塩が固まっている平原があり、

そこが撮影場所だと聞いて「まさか!」と思ったらその通りだった。

有名なボネヴィルソルトフラッツスピードウェイだ。

アンソニーホプキンス主演の【世界最速のインディアン】を見た人なら

わかると思うが、毎年、地上最速がそこで計測される。

何かオレの好きな要素があるようで、多少の期待を持って

ソルトレイクの空港に降り立った。

だがその多少が、そのわずか数時間後に、多の方にいきなりヒットした

からぶったまげた。





空港から車で約2時間の場所に、泊まるモーテルがあった。

迎えの車が、そのモーテルに着いた瞬間、いきなりそれは隣にあった。

でもいくらなんでも、いやいやまさかと疑いの目を向ける。

車から降りると、そのいきなりに腰を乗っけているのが監督らしく、

ハーイと握手をするが、気もそぞろに、監督のケツにある

黒い車を凝視した。

コルベット?いやいや違う、全然違う、バイクなら横目の横の部分を

バイクが通っただけで、一発でわかるが、車はそうでもない。

だがある確信を持ち、横にまわり車体に刻まれている文字を見た。

その瞬間、オレは結構でかい声で、驚きと感激の声をあげてしまった。

やはりそうだった、

車体の横に書かれていた小さな文字はNISSAN、ホイールにZの文字、

やはりそう!間違いなくフェアレディZ!!!

オレは海外でKawasakiのバイクの名車に会うと底知れない幸せを味わう。

そして車ならこのレディだ。

オレはもう21年間ツアーでこの国に来ているが、この形のレディを

見るのは今回を入れ2回目だった。

「一体なぜこの車がここに!」叫ぶように聞いた。

「セイジに乗ってもらうためだ」

なんと、これだけでも来たかいがあったゼ。

そのZとは、第2期フェアレディZ130

アメリカでの通り名を、なぜか、ダットサンZと言う。

「正式な名は、フェアレディZと言うんだ」

当然オレはスタッフに何度も言い放った。



【近未来、あまりに機械に頼りすぎた人類は、

ついに自ら持つコミュニケーション能力を失い、

誰かに命じられてしか動けなくなる。

ある時、ある3人が何者かに命じられて、

地の果てに住むブリッツに何かを届けにくる。】





そのブリッツ役が、自分の役だ。

真っ白の塩平原ソルトフラッツで、撮影は進んでいく。

日中は、雪山のように照り返しが強かった。

スタッフが傘を持って、役者を日焼けさせまいと、

始終側についていてくれる。

始まって3日目の事だ。

撮影している塩平原のさらに奥に、車がどんどん集まってくる様子が

見える。

何じゃと思いスタッフに聞くと、まさしくあの地上最速を決める計測会が

今週末にあるらしい。

通りで、奥の平原から、時たまエンジンの爆音が響くはずだ。

他のキャストによると、時速300マイル→時速500キロで

車が走っていたと言う。

500キロってリニアモーターカーと同じだゼ!

レディにも会えるし、地上最速とかち合うとは何というラッキー!

集結する車のエンジンの響きは、まるで自分の心の高鳴りのように

塩平原に響き渡る。

しかしだ、ビッグサプライズはこれだけじゃなかったのだ。

ウソだろう大丈夫かい、こんなにラッキーで。





撮影最終日朝6時頃。

フロントにコーヒーを取りに行く。

深夜にやってきたのだろう、モーテルの駐車場には、

夕べはなかったトラックやバンが止まっている。

地上最速に出場する連中がこのモーテルにも集結しつつあるのだ。

それぞれの車の荷台に載る自慢の2輪マシン、

どのマシンも過激な改造で、笑いたくなるくらい、クレージだ。

朝早く誰もいないせいもあり、オレはコーヒーを口にしながら、

のんびり眺める事に興じだした。

だが、その途端だった、ある形が横目にかすった。

きたー!っと思った。

少しクラッと来そうになる。

胸に手を少しやり、気持ちを抑えてゆっくりその方向に顔を向け、

その形を目の中に入れる。

マジかよ、なんてこった、ハア~、こんな事って。

ものすごい改造でボワアップされ1500ccと書いてあるが、

この流線型のタンクのシェイプ、そしてエンジンに刻まれたDOHC,

間違いなくこれは、Kawasaki 900RS 通称Z

オレのZⅡの兄貴分だ。

感激で涙がちょちょぎれそうになった。





アメリカでZⅠの人気はわるくないが、それでもやはりアメリカ人の

心の奥には、絶対的にハーレーもしくはインディアンがある。

その中でもKawasaki派は希少に存在することは知っている。

いつか会えないかとアメリカに来るたびに思っていた。

30分くらい眺めただろうか、オレは部屋に戻り撮影出発の時間に

オーナーが外に出ていることを期待して待った。

約2時間後、上下皮で部屋を飛び出し、階段を降り、

モーテルの角から飛び出すと、駐車場のZⅠの前には、

そのオーナーと仲間らしき人がいた。

自分を一目見た瞬間だ、まさしく顔に書いてあったのだろう、

オーナーのおっさんがニコニコしだし、オレはZⅠの側にくらいつき、

写真をせがんだ。

アメリカ人のいいところは、大雑把なやさしさだ。

細かくはないが、親切をバ~ンと投げ出すように表してくれる。

「いいよ、いいよ、またぎな!」

レース車で、微妙な調整もあると思い、触ることも遠慮したが、

またげと言うので、気をつけてまたがせてもらった。

速度を聞くと時速200マイル→時速330キロくらい出るらしい。

降りて、再び改造の部分を、にんまりしながらしげしげと眺める。

するとおっさんもにんまりしながら、オレの耳元に口を近づけ

ささやくのだ。

「バカだろう、でも今夜にでもまたそのバカ達が

ゾクゾク集結してくるよ、バカだから」





ドドドドドドドド、シフトチェンジしながらフェアレディZのアクセルを

踏んでいく。

白原の荒野を横に流しながら、大地の反動がダイレクトに腰に響く、

まるでゴーカートのような乗り心地。

ZⅡもそうだが、この頃の車、バイクは、軽さを感じない。

重いコンクリのドカンをズズズズっと引っ張りスピードに乗っける様な

感じだ。

そこがいいのだ。

今の車、バイクはものすごく軽い操作で乗りやすい。

それも悪くないが、自分にはやっぱりこっちだ。

「カット、OK!」

最後の撮影が終わり、オレはフェアレディZから降りた。

でもなんとなくまだ物足りなく、最後に車体に抱きついた。

レディ、地上最速レース、そして、ZⅠ。

翌日朝、空港に向かう車の目の前は、透き通る様に晴れていた。

その空には、胸一杯ふくらんだ自分の心の青が晴れ晴れと広がっていた。





映画のスタッフ、キャストみんなありがとう!

最高の5日間でした。


















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2014-08-25 14:10:53

【アメリカ大陸横断貨物列車】

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【アメリカ大陸横断貨物列車】





アメリカのハイウェイを車で走っていると、

時々、恐ろしく長い貨物列車に遭遇することがある。

ツアー車は60マイル、だいたい100キロくらいで飛ばす。

日本の道より広く、それに周りがガードレールじゃなく野っぱらだから、

運転手のハンドルを持つ手も、いささか緊張がゆるむ。

初期のツアーマネージャのスティーブなんかは、スピードを固定して、

ブレーキを踏む足を残し、片方の足を上げ、時折後ろを見て親指をたてて

イエーっとやるので、何かと思い運転席を覗き込むと、

ひざの上にエロ本を置いて、それをめくりながら運転していた。

そしてオレ達も当然、イエーだ。

車内にはロックが流れ、オレ達はだいたい後ろのベンチシートで寝そべる。

寝たり、雑誌を読んだりだ。

たまに頭をもたげた時、貨物列車が並走している場面に出くわす。

その時、よほど眠くなければ、オレはだいたいシートに座りなおして、

首を伸ばしたり、窓に顔を近づけたりして、貨物列車を眺める。




まるで、アメリカのかつての古い背骨を見るようだ。

列車はだいたいハイウェイよりちょっとだけ高いところを走り、

ガタンガタン、硬い鉄の塊が長方形に繋がれ、ギーーーイ、ガタンガタン

レールを上を走っていく。

触れば鉄の錆が、ボロボロ剥げつきそうな貨物の横っ腹を

意識しながら車は走り、そしてゆっくりと抜いて行く。

映画なんかでは、よくあそこにもぐりこんで旅したりする場面があったり

するが、今でもそんな奴らはいるんだろうか?

運転手はいくら機械の電車で引っ張っているとはいえ、これだけの車両の

重量を引っ張って行けば、さぞ気持ちにも重量がかかって、

ブルドックみたいな顔で前方をにらみつけているんじゃないだろうか?

レールはカーブがゆるやかについて、その先がまったく見えない。

長い時間、並走を続けても抜ききることができない。

日本人の常識から、はるかに及ばない長さで、

いったいこの先に先頭はあるのかっとやきもきしていると、

ふと何かに気をとられ目をそらし、再び列車を見ると、道路と線路は

いつの間にか、離れ離れになったらしく「あれ」っといそいで首を

思う方向に向け目を凝らすと、列車の後姿を遠くに見つけ、

気持ち寂しく、その後部デッキとレールを見送る。

そして、毎回、毎回、毎回、いつも思う。

「なげえ‐ーーーーーー!」




この長い貨物を見ているとこんな事も思い出す。

幼い頃【侍ジャイアンツ】という野球アニメがあった。

主人公でピッチャーの番場蛮が、先輩のキャッチャーと、

確か雪山かどこかで特訓をして、魔球をあみ出す。

二人は巨人軍川上監督から、あみだしたらすぐに球場に駆けつけるようにと

至上命令を受けていた。

よって二人は、その日の試合に登板すべく、バイク二台で球場に急いだ。

バイクは雪山から町に入り、球場に近づくにつれどんどん混雑していく。

あせる二人は遂に、貨物列車が走る踏切りにつかまった。

その時、先輩のキャッチャーが番場を振り返り「貨物だ、長いゾ」と

言うやいなや、アクセルをふかし、隣の歩道橋をバイク二台で

上がって走って超えていった。

このシーンが子供心に印象的で、その時思った事がふたつある。

バイクで歩道橋!?

だけど、歩道橋走るくらいなら、貨物列車だろうが、待ってりゃあ

すぐ踏切りはあがる、そこまであせんなくても、だ。

アメリカで長大な貨物列車に驚く度に、このシーンがいつも頭によぎる。

やっぱり、歩道橋をバイクで走るなら、

このアメリカの貨物列車くらい長けりゃ、そりゃあわかるが、

日本の貨物列車だったら高が知れている、なにもそこまでしなくてもっと

思いひとりフっとおかしい気分になる。




一度のアメリカツアーで貨物列車には何度か遭遇する。

時には、遠い地平線を走る貨物列車を見ることもある。

それを夕焼けの中に見た時もあり、格別な記憶として焼きついている。

その長さは地平線のほとんどを覆っていた。

よく、教育テレビのみんなの歌などで、丸い地球の輪郭を汽車ポッポが

ぐるぐる回る簡単なアニメがあるが、まさにあれだ。

しかし、そこに圧迫感はなく、にじみ飛ぶオレンジ色の光につつまれ、

無言でゆっくり進む様には、過去の幻影を浮かび上がらせ、

まるで老兵のような哀愁があった。

かつては、アメリカ大陸を切り開いてきたというプライドを

持ちながらも、それも過ぎたことと、ただただレールの上を進んでいく。

どうも感傷がすぎるようだが、そんな想いを去来させる、

ひとつの決定的なアメリカの風景が、大陸横断貨物列車には

間違いなくあるのだ。

それにしてもやはりアメリカは広い、どひゃあ~だゼ。

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2014-08-19 12:35:50

【台風に寝る】

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【台風に寝る】





外から誰かが何度も何度も蹴っているようだった。

「それなのにあんたは!」と母親は少々怒り気味だ。

長崎の台風はいつもすごかった。

母親がいつも一人食いしばっていた記憶がある。

父親は、港湾関係の仕事で、これまた台風の時はそっちが大変で、

家どころではなかった。

どの台風も強烈な記憶があるが、ある真夜中、母親は一人格闘していた。

裸電球が、ぐうぐう寝る子供達の上で、大きく揺れ、

まるで怖いおとぎ話のように、影が右往左往する、

時にはそれも全く消え、闇の中で、窓ガラスの向こうの木戸を

母親は必死に押さえていた。

幼い中でも、唯一頼りになりそうなのは自分で、

「起きろ!」と怒鳴ったり、足蹴りしたが、

オレは気持ちよさそうに、すやすや眠っていたらしい。




小3で長崎を引っ越すが、それ以来、恐ろしい台風を経験した事はない。

各地で台風被害を被った人達には全く申し訳ないが、

それからは、割合気持ちの良い記憶が残っている。

小中高とクーラーの無かった自分の家では、夏となると、

毎晩うだるような暑さに、汗をムラムラさせていた事を思い出す。

だが台風となると、それが一気に解消した。

天空からの風が轟々と落ちてきて木の葉をヒューンと飛ばしていく。

ガタガタ言い出した窓に手をかけて、バーンと開けると、

いきなり風が勢いよくこっちの方に侵入してきて、

まるで全身を風の管の中に入れているようだった。

つい先日も、9階の自宅で窓を開けっ放しにすると、ビュウビュウ

風が突っ込んできた。

しかし音はすさまじく、そして時折吹き込んでくる雨で、

熟睡とまではいかなかったが、

その臨場感は、まさしく台風に寝ているようだと思った。

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