3月4日に実施されたエルサルバドルの国会議員選挙、地方選挙において、有力右派の国民共和同盟(ARENA)がリードを進め、議会の多数派となることが決まった。

 

33.36%の開票状況で、ARENAは273,164票を獲得、これにたいしサルバドル・サンチェス・セレン大統領率いる左派のファラブンド・マルティ民族解放戦線は、173,341票であった。最高選挙裁判所(TSE)が発表した。

 

第3位はやはり右派の団結のための大同盟(GANA)で87,785票、第4位は国民協同党(PCN)で85,140票、第5位は中道の民主党(PDC)で16,805票であった。

 

ARENAは選挙の勝利を祝う準備を始めている。同党は地方選挙においても、首都サンサルバドル市長の座をエルネスト・ムイションドゥト候補が、FMLNのジャクリン・リベラ候補と争って、これを回復した。人気のある市長であったナイブ・ブケレは、サンサルバドル市議会議員団への暴言の問題で、党の倫理委員会からその責任を宣言され、追放されていた。

 

「この素晴らしい結果によって、わたしは党にたいしてサンサルバドルの市長はエルネスト・ムイションドゥトであると宣言することができて嬉しい」。ARENAのマウリシオ・インテリアノ党首は、首都中心部の同党本部で、勝利を祝う行事のなかで語った。

 

約510万人が有権者であったが、しかし投票率は低かったものと見られている。TSEのアルトゥロ・アルグエジョ判事は、投票率が低かったことを認めた。しかしこの状態は議会・地方選挙では「普通」であり、一度として50%を上回ったことはないと言明した。

 

何人かのエルサルバドル人たちは、市民の無関心について、政治家への不満から来ると説明した。この国は世界のなかでももっとも暴力的事象に多い国の一つである。

 

「ひとは変化を作ることのできる人物を信頼して選ぶものだ。われわれはただ自分の財布を膨らませるだけの、市民のことを忘れ去った政治家たちにあきあきしているのだ」。投票をすませた医師ホエル・オチョア47歳はAFPに語った。

 

選挙は一院制で84の議席の国会、全国262の市長と市議会議員をめぐって争われた。それぞれの職務には5月1日に就任することになる。

 

複雑な統治の見通し

 

専門家は、この選挙はサンチェス・セレンにとっては重要であったと指摘する。なぜなら2019年6月に終わるかれの大統領としての最後の1年の統治力を占うものであったから。

 

現在の議会においては、ARENAが35議席、FMLNが31議席、その他の少数政党が合計で18議席であった。このため政府は合意を得るために交渉をおこなわなければならなかったし、しばしば拒否されることになった。

 

専門家でアカデミックでもあるダゴベルト・グティエレスによると、政府は「交渉に成熟した、対話をおこない、しばしば気まぐれである野党にたいして押し付けることのないような」統治になる。

 

「政府はその最終コースを走ることになる。もし首尾よく終わりたいならば、器用で、議会だけではなく、そのほかの社会勢力とも対話をおこなわなければならない」、グティエレスは話した。

 

犯罪にたいして

 

しかし統治力は行政府だけの問題ではない:犯罪組織の暴力にたいする暴力では、議会の支持も重要である。この国は2017年、10万人あたりの殺人件数が60人と、世界でももっとも高い国の一つになっている。

 

2015年から比べると10万あたりの殺人件数は103人から減少したとはいえ、エルサルバドルは今もなお、戦争をおこなっていない国のなかでは、もっとも多い国の一つに属している。その大きな部分は、元は一つであったマラ・サルバトゥルチャ(MS-13)とバリオ18の2つのギャング団間の争いに関係している。

 

専門家で弁護士でもあるフェリクス・ウジョアが言うところでは、暴力犯罪は、エルサルバドル人にとって、主要な問題の一つであったため、したがってこのテーマは、つねに野党によって使われてきた。

 

「政府は単に問題解決のための弾圧をおこなうだけではなく、その予防措置を取らねばならない。問題のある地域の若者にたいして、機会を作らなければならない。ウジョアは語った。

(N01728) [AFP による]

              FMLNの支持者[foto:AFP]