ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が、憲法を変更するために憲法制定議会の招集を決定したことにたいして、これが総選挙の要求をぼかすものであると、野党はその戦略をより強化するであろうし、この国を揺り動かしている政治危機は、より一層悪化することが予想される。

 

5月2日の早朝から、野党はこの国の重要な道路の封鎖を計画しており、その後、5月3日には、「巨大」抗議行動を準備している。憲法制定会議については、「クーデター」であり、「憲法違反」であると見なしている。

 

野党が支配する唯一の機関である議会は、この日の午後、マドゥロの決定が及ぼすものについて論議し、政府にたいする国際的な圧力を強めるための行動を発表する。

 

「われわれは前に進まなければならない。この人民は屈していないし、また屈することはない」、議会のフリオ・ボルヘス議長は強調した。

 

1か月にわたる野党の総選挙によるマドゥロの退陣を要求する行進に苦しんだのちに、大統領は5月1日、危機を転回するために「人民」憲法議会の招集を決定した。500人の議員は、全体の選挙によって選ばれるのではなく、社会セクターや共同体から選ばれる。

 

「これは革命を深化させるための、真に歴史的な解放である」、野党による「クーデター主義者の攻撃」を止めることが出来る。社会主義者の大統領は、5月1日の夜、閣僚、軍のトップとともに、プロセスを開始するための布告に署名するときこう述べた。

 

選挙はシー、しかし総選挙ではない

 

マドゥロは1999年の憲法を「強化」し、「参加型の新しい民主主義の形態」を設立し、その経済モデルは石油の収入に依存しないものと強調した。

 

「これは政府の絶望的な方策で、かれらは選挙を招集できないことを知っている。なぜなら敗北するからで、極端化に走っている」、ロンドンのIHSマーキット・カントリー・リスクの調査員ディエゴ・モヤ‐オカンポスはAFPに語った。かれは民間の調査によると、70%以上のベネズエラ人がマドゥロの施政に反対していることを引用した。

 

いまだ選挙の日程については、何が起こるのか明らかではない。憲法によれば、州知事選は2016年におこなわれなければならない‐しかしいまだおこなわれていない。市長選挙は今年である。そして大統領選挙は2018年末になっている。

 

社会主義者の研究者、ニクメル・エバンスによると、これは亡くなったウゴ・チャベス(1999‐2013)が推進した憲法を「裏切る」ことになる。直接、普通、秘密投票によって選ばれた131人の議員によって編纂されたものだからである。「すべてを費やして、時間を得る」。

 

マドゥロは選挙機関にたいしてその根拠を送らねばならず、これにより議員が選ばれなければならない。しかし共同体の構造的な強力な存在がはかられることになり、そこでは政府は強大な影響力を持っている。

 

「それは政党の憲法制定会議でもエリートのそれでもない。それは労働者の共同体の、農民の憲法制定会議だ」、このように説明されている。

 

法律によると、一旦「人民の憲法制定会議」が設立されるならば、いかなる国家の権力も、そこでの決定を覆すことは出来ない。

 

憲法学者のホセ・イグナシオ・エルナンデスによれば、政府は「人民議会」の「コントロールが保障され」、議会の「活動の簒奪」を強化することになる。

 

危機の段階が上がる

 

最高裁が議会の権能を臨時に簒奪することを決定して以来、野党は4月1日から街頭での抗議行動をおこなってきた。

 

それ以来28人が暴力事件のなかで死亡しており、政府と野党はこれについて相互に責任を押しつけている。

 

「政治を計画することは難しい。しかし民主的選挙でない憲法制定会議は、野党を団結させ、政府をより孤立化させ、街頭での闘いを激化させるであろう。(マドゥロの)招集はただ危機を悪化させるだけだ」、分析家、ルイス・ビセンテ・レオンは言う。

 

マドゥロの任期は2019年に終わるが、決定を正当化して、野党が対話と2016年に予定されていた知事選挙を拒否し、かれにたいする国民投票をおこなおうとし、それは結局失敗したこと。「野党は行き詰まっている」と述べた。

 

しかし抗議行動は鋭い経済危機のなかで起こっている。食料と医薬品の厳しい欠如、世界でもっとも高いインフレ率、さらに高い犯罪率。

 

「これは危機を今までにないレベルに引き上げる。これは感情を爆発させ、もしも抗議行動が爆発するならば、軍が‐マドゥロの力ある同盟者‐が、憲法の尊重を要求する発表をし、あるいは移行を後見するために権力を握るかもしれない」、モヤ‐オカンポスの意見である。

 

もう一つの鍵は、国際社会であると分析家は言う。

 

ラテンアメリカ・カリブ海諸国共同体(CELAC)はエルサルバドルで会議を開催し、この危機を取り上げる。ベネズエラはすでに米州機構(OEA)について、これがベネズエラにたいする外国の干渉を推進しているとして、これからの脱退を進めている。

(N01589) [AFPのMaria Isabel SANCHEZ による]