(参考:N0660「チリ大統領選挙、新しい右派候補はエベリン・マッテイ」)                   

http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-11578448240.html


11月17日におこなわれるチリ大統領(2014-2018)選挙まで1か月を切った。選挙資格者の登録制から自動性に、投票の義務から自主に、選挙制度改革がおこなわれてから、大統領選挙としては初めてのものとなる。上院、下院議員選挙、地方議会議員選挙もおこなわれる。大統領選挙で過半数を獲得した候補がいなかった場合、12月15日に、第1位と第2位のあいだで、決選投票がおこなわれる。大統領選には9人の候補が立候補している。


10月17日、有力世論調査の一つ、ウニベルシダ・ディエゴ・ポルタレス(UDP)が9月から10月にかけて、1,300人を対象にした調査結果を発表した。それによると支持率は、ミチェレ・バチェレ(社会党)44.4%、エベリン・マッテイ(独立民主連合)14.3%、フランコ・パリシ(無所属)11.3%、マルコ・エンリケ・オミナミ(進歩党)6.7%、マルセル・クラウデ(人道党)4.9%、そのほかの候補4人は1%未満であった。


バチェレ(62歳)は前大統領(2006-2010)であり、キリスト教民主党、共産党など7党の「新しい多数派」の統一候補である。2位を30%引き離しており、第1回投票でトップとなるのは確実である。第1回で過半数を取れるのかが問題となる。この間の各社の調査では30から40%台であり、第1回で当選は微妙かもしれない。マッテイ(60歳)は、現在のセバスティアン・ピニェラ大統領の連立与党、「同盟」の統一候補である。ただ右派の予備選での候補、パブロ・ロンゲイラが健康上の理由から出馬をとりやめたあとの経緯など、右派をまとめきれるかが問題となる。彼女は2位で、決選投票を目指しているが、3位のパリシとの差は詰められてきている。パリシ(46歳)は、経済学、経営学などを学んできた人物だが、地方主義、制度改革などを主張し、無所属である。リベラルともいうが、一部保守層からの支持を得ているともみられる。エンリケ・オミナミ(40歳)は、2009年選挙で社会党を離脱して立候補、20.14%を獲得した。今回多くの支持層がバチェレに回っているのではとも思われる。クラウデ(56歳)は経済学者、環境NGOの活動家でもある。「左翼連合」が支持を表明した。


10月20日、首都サンティアゴを数千人がデモ行進した。それはアウグスト・ピノチェッ(1973-1990)の時代の人道にたいする犯罪の刑罰を軽減することに反対する行動であった。軍政によって殺害されたもの3、200人、このうち1,192人が行方不明、34,000人が政治的理由から逮捕され拷問を受けた。秘密警察(DINA)の長官であったマヌエル・コントレラスの弁護士、レネ・ロペスは、人道犯罪について、知っている情報を提供したものの刑罰を軽減することを提案している。バチェレの父親は護憲派の空軍将軍であり、獄中で死亡した。バチェレ自身と母親も逮捕され拷問を受け、その後亡命生活を強いられた。バチェレは、「人道にたいする犯罪は、交渉すべきものではありません」と語った。(N0751)



ラテンアメリカの政治経済

抗議行動に参加したバチェレ前大統領