(参考:N0262「フアン・マヌエル・サントス、FARCと交渉する用意がある」)

http://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-11218933778.html


コロンビア南西部、カリからポパジャンにかけてはアンデスの西山脈と中央山脈にはさまれてパンアメリカン道路が走る重要地域、コカインの輸送においてもその位置は大きいと言われる。この地域はコロンビア政府軍・警察、コロンビア革命軍(FARC)など左派ゲリラ、パラミリタレス(極右準軍事組織)、麻薬犯罪組織(BACRIM)によって軍事衝突の舞台となってきた。またコロンビア先住民100万人が住む地でもある。


FARCは最近、カウカ県北部の複数の地点に大攻勢をかけてきた。焦点となった一つはトリビオである。7月6日の警察署への攻撃によって、死者10人、負傷者100人以上、多くの家が破壊された。コロンビア政府は街周辺に要塞(トーチカ)をつくり軍事化することによって地域を防衛しようとしている。FARCが住民を「人の盾」にして治安部隊を攻撃していると非難する。住民側の判断は逆で、政府側の「軍事化」によって、FARCの攻撃目標をつくっていると批判する。


ナサス人、パエセス人、グアンビアノス人ら1000人以上の先住民は政府軍と左翼ゲリラの戦争にたいして立ち上がった。「自分たちの土地を尊重し、この地での戦争をやめろ」、と。数百人の先住民は山に登り、ゲリラにたいして撤退を要求しようとした(ゲリラはすでに撤退したようである)。また政府側のトーチカを取り壊し始めた。これらの行動は北カウカ先住民市会連合(ACIN)によっておこなわれた。ACINはフアン・マヌエル・サントス大統領にたいし軍の撤退を、またFARCにたいしても同じ要求をおこなった。


このような状況は北カウカのミランダ、コリントなどでも起きている。7月11日、サントス大統領は、トリビオ現地において安全保障会議を開催した。フアン・カルロス・ピンソン国防相など政府は、FARCは先住民を巻き込むことによって、政府軍への撤退の圧力をかけようとしているとの見方で、「中立地帯」はありえないとしている。逆に今後2年間で警官を20,000人増やし165,000人に、兵士を5,000人増やし430,000人に一層強化する計画である。


7月13日にもミランダで先住民防衛隊のカミロ・タルキアが戦闘のなかで、重傷を負った。状況の深刻さから、平和のためのコロンビア人(CCP)、国連人権高等弁務官事務所などが現地に入り、事態の把握に努めているが困難な状況にある。(N0358)