(参考:0134「賃上げなどを要求し、労組がゼネスト」)


コスタリカ国境に近い、パナマのボカス・デル・トロス州、チャンギノラ市において7月初めから7日間続いている、バナナ労働者数千人と国家警察の衝突は、7月8日に続き7月10日にも労働者側に散弾銃による死者が出て、これで死者は2人、負傷者は約300人、このうち約18人は重傷で、ヘリコプターで近隣の病院に搬送された。逮捕者も100人以上出ている。


国連人権問題高等弁務官中米地域事務所(ORACAC-NUDH)は声明を発表、「ボカスデルトロ州、チャンギノラ市において発生している、重大な暴力事態に憂慮を表明」した。代表のカルメン・ロサ・ビジャ・キンタナは、当局にたいし、生命を尊重し、負傷者を治療し、事態が繰り返されないための適切な措置を取るように勧告した。


リカルド・マルティネリ大統領(民主的変革、CD、右派)のパナマ政府は、6月中旬、労働法の全面改悪を提案決定した。その内容は、ストライキ労働者との契約の停止、会社を守るための警察力の使用、組合費の支払い自由と会社によるその控除の自由(会社が組合費徴収の便宜をおこなわない)、労働者はこの「法律30」、「チョリソ法」の撤回を要求している。


チャンギノラ市における衝突は、ボカス・フルーツ・カンパニーに働くバナナ労働者を中心にしたもので、アルマ・コルテス労働相は、バナナ労働者、約4000人にたいして、罰金として労働者それぞれから500ドルを賃金カットすると述べた。


労働者の抗議行動は過激化し、公共機関の破壊、警察署の焼き打ち、クルマなどによるバリケードが築かれ、当局は外出禁止令を発令した。また警官3人が労働者側に拘束され、逮捕された労働者との交換が要求されたが、7月10日、警察部隊が後退するのと引き換えに解放されたようである。


労働者の抗議行動は、7月9日には首都パナマシティーに拡大、労働者、大学生が街頭に進出した。マルティネリ政権は労働者の抗議行動の背後には最大野党の民主的革命党(PRD、中道左派)がいると主張している。PRDはこれを全面的に否定している。


パナマ国家警察は、首都パナマシティーにおいても、約100人規模の労働組合指導者の逮捕をおこなっている。バナナ労働者連帯のデモをおこなっていた労働者、またホテルにおいて会議をおこなっていた労組幹部を警察が包囲、これを検挙した。会議のなかでは、7月13日におこなわれることになった、24時間の全国ゼネストが決定されていた。


公安省は、パナマ最大の労働組合の一つである、建設労働者統一組合(SUTC)のサウル・メンデス委員長に逮捕状が出されたことを明らかにした。しかし容疑についてはしめされていない。社会経済権利を守る国民戦線(FNDDES)は、すでに前日にメンデス委員長の子供の家が家宅捜索を受けており、政府によるバナナ労働者を支援しようとする労働組合員への迫害、脅迫がおこなわれていると告発している。(0746)