(参考:0508「プエルトリコ全土でゼネストが決行される」)


プエルトリコ国立大学(UPR)のホセ・ラモン・デ・ラ・トルレ学長は、6月8日、11のキャンパスにおいて、50日近く無期限ストライキを継続している学生にたいし、24時間以内に構内から退去するように要求する最後通牒を発出した。警察部隊と学生のあいだで、衝突が危惧されている。


プエルトリコ自治州においては、ルイス・フォルトゥーニョ知事(新進歩党、PNP)が新自由主義政策を進め、16,000人以上の公務員労働者の削減などをおこなってきたが、教育分野においても予算を削減し、学術プログラムが変更され、授業料の一部免除システムなどが廃止されることになった。


学生たちは、この教育予算の削減が、高等教育の機会を奪うものであり、政府の進める大学の民営化、教育を客と儲けの関係に変えようとする政策であるとして、4月21日以来無期限ストライキを継続してきた。11キャンパスは、65,000人の学生を擁している。UPRの教職員は5,000人とされるが、その20%、1,000人が、教授会の投票の場で、学生支持の立場に立った。


学生側は交渉団(CN)を結成し、大学側教授会(JS)に対話を呼びかけてきたが、成果をあげることはなかった。大学側はリオ・ピエドラス・キャンパスに7月31日までの休校を決定するなど、学生内部からの反発を期待した。アナ・グアダルペ学長代理は、6月17日の卒業、8月の登録の延期などを公表している。


学生側は構内における薬物、飲酒を禁止し、平和的な秩序ある行動を維持し、マスコミの報道規制に対抗し、祖国への手紙を公表した。手紙のなかでは、勉学が嫌でのストではないこと、予算削減の意味する結果、現在の問題は当局の浪費と腐敗から生じたことが述べられている。


しかし警察は拠点であるリオピエドラスなどを封鎖、食料、水、薬の搬入を阻止、たび重なる介入で暴力的衝突を起こしている。5月18日には学生8,000人が5時間にわたって対峙した。


学生ストは全国民的な共感を呼び、5月18日にはプエルトリコ労働者連合(CPT)の呼び掛けによるゼネストがおこなわれ、サンフアン、カロリナ、ポンセ、マヤグエスにおいては道路封鎖がおこなわれた。学生運動は社会主義インターナショナル(OSI)など社会主義組織、小さいが影響力は大きい、プエルトリコ独立党(PIP)、さらには最大野党、民主民衆党(PPD)にまで、その支援は広がっている。


学生ストは、キューバなど国際的にも連帯の動きが広がっている。5月30日、キューバのシルビオ・ロドリゲスは、プエルトリコでコンサートを開催、プエルトリコ学生に敬意を表し、そのコンサートは喝采をあびた。リッキー・マーティン、ロビ・ドラコ・ロサ、テゴ・カルデロンなどのアーティストも、学生スト支持の姿勢を明らかにしている。(0715)