(参考:0440「ベネズエラ、コロンビアとのすべての関係を凍結へ」)


8月4日、コロンビアのカルタヘナでおこなわれた南米安全保障会議(SS)の席上、フレディ・パディジャ将軍は、コロンビアが米国に提供する軍事基地は、空軍3、陸軍2、海軍2のあわせて7つの基地にのぼることを明らかにした。すなわち空軍は、マランボ(アトランティコ州、北部)、パランケロ(クンディナマルカ州、中部)、アピアイ(メタ州、中部)、陸軍がトレマイダ(クンディナマルカ州)、ラランディア(カケタ州、南部)、海軍がカルタヘナ(ボリバル州、北部)、バイアマラガ(バジェデルカウカ州、太平洋)である。SSにはアルゼンチン、ブラジル、チリ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイの軍高官が参加し、米国南部方面軍司令官のダグラス・フレイザー将軍も参加した。


おなじ8月4日、コロンビアのアルバロ・ウリベ大統領は、南米7カ国歴訪の旅に出発した。8月10日からエクアドルのキトにおいて、南米諸国連合(ウナスール)の首脳会議が開催され、ここでの主な議題として、コロンビアでの米軍基地の提供、これが周辺のベネズエラ、エクアドルに脅威を与えている問題が話されるものと思われるが、コロンビアとエクアドルは、2008年3月の、コロンビア軍のエクアドル領内のコロンビア革命軍(FARC)キャンプへの越境攻撃以来、国交断絶状態になっており、ウリベ大統領もウナスール首脳会議への欠席を明らかにしている。


ウリベ大統領の歴訪はウナスール参加に代わって、各国に米軍基地供与について説明をおこない、理解をもとめるものとされる。訪問するのは、ペルー、チリ、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジル、ボリビアの7カ国であるが、8月4日の時点ではボリビアの日程については決まってはいなかった。日程は8月4日から6日までの3日間の駆け足となる。


8月4日のペルー訪問では、アラン・ガルシア大統領は、ペルー政府はコロンビアの立場を支持することを明らかにした。それはコロンビアのためだけではなく、南米の民主主義モデルのためでもある。


8月5日、ウリベ大統領はチリを訪問、ミチェレ・バチェレ大統領と会談した。バチェレ大統領は先週のブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領との会談では、コロンビアにおける米軍基地の供与はすべての国に影響し、不安定化するとしていた。会談後、チリのマリアノ・フェルナンデス外相は、主権を尊重する立場から、コロンビアが米国との軍事協定を締結することも尊重するとのチリ政府の立場を明らかにした。ラモネダ宮の外ではデモ隊が、ウリベ大統領にたいして「殺人者」、「麻薬犯罪人」のシュプレヒコールをおこない、すくなくとも15人が逮捕された。


アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス大統領との会談は1時間以上におよんだが、その内容は明らかにされておらず、記者団の質問にたいする回答もおこなわれていない。


8月6日に予定されている、ブラジルのルーラ大統領との会談がもっとも注目されている。ブラジルはこの問題で、コロンビアにたいして批判的な立場を明らかにしてきたが、ブラジルとコロンビアとは、歴史的には友好的な関係を持続してきている。(0447)