(参考:0406「ペルー首相、辞任の意思を表明」)


6月18日、ペルー議会は4時間以上にわたる討論ののち、アマゾン開発にかかわる「法令1090」、「法令1064」の撤廃を、賛成82、反対12、棄権ゼロで決定した。法令撤廃に反対したのは右翼「国民連合」(UN)のみであった。


この2法令は2008年、アラン・ガルシア政府が米国との自由貿易協定(TLC)の2009年2月1日発効に対応して、セルバにおける米国企業など私企業が、石油、天然ガス、木材、農業などの開発のための土地取得を容易にするために、2000年の森林法などを修正したものである。アマゾン先住民は、これが先祖伝来の土地がなくなり、狩猟採取様式の生活基盤である自然環境が破壊されるとして、4月9日以来道路・河川の通行の封鎖、石油・ガス生産施設の占拠をつうじ、法令の撤廃を要求してきた。6月5日にはアマソニア州のバグアにおいて、道路封鎖を解除する治安部隊と先住民の衝突で、政府発表で警官24人、先住民10人が死亡した(非公式には約50人が死亡との情報)。


議会は6月10日にいったん90日間の施行停止を決定したが、先住民および野党勢力などはこれを受け入れず、ひきつづき抗議行動がおこなわれていた。6月15日、イェウンデ・シモン首相は先住民指導者との会談ののち、6月18日に2法令は議会において撤廃することを明らかにした。議場にはアシャニンカス族約30人が伝統衣装と羽飾りで、議事の進行を見守った。


ペルー先住民密林発展協会(Aidesep)のダイシ・サパタ副議長は、「今日はすべての先住民とペルーの国民にとって歴史的な日です。わたしたちの要求は正しかったし、政府は最終的にこれを認めたのです」と語った。サパタ副議長は、4月9日以来の道路封鎖などストライキ闘争を終結するように、傘下の部族指導者たちに指導をおろした。


アラン・ガルシア大統領は、6月17日テレビの前で演説し、法令がアマゾン地方の30万人の住民に相談することなく決定されたこと、説明や対話が困難になるなかで人命を失う暴力事態を招いてしまったことなど、政府がとった措置が誤りであったことをみとめ、国民に冷静さ、和解の態度を要請した。


ペルー議会は、シモン首相、メルセデス・カバニージャス内相の来週の国会審問を決定した。先住民にたいする警察の鎮圧、暴力の責任について尋問がおこなわれる。シモン首相はすでに事態が鎮静化したのち、数週間以内に辞任する意思を表明している。(0408)