東神奈川 楽天堂
私が子供の頃、朝の寝起きの時に機嫌が悪かった。
母親がベットまで迎えに来てくれるまで、頑として起きなかったのを覚えている。
今から思えば、わがままな息子だったと思う。
恐るべき堅物幼児だった。
その血を引いているのか、私の息子は夜寝る前になると機嫌が悪くなる。
私とは逆だが、似たようなものだ。
寝つきそのものは悪くはないのだが、眠くなるとイライラするようだ。
さっきまでニコニコと遊んでいたのに、急に怒り出すのでタチが悪い。
もっと遊びたいという心理なのだろうか?
子供のことを見ていると、私もつくづく親に苦労をかけたのだろうと思う。
子供が私に対してそういう風に思うのは、きっと私に孫が出来た時なのだろう。
人はそういう立場にならないと、なかなか解らないものだ。
仕事が終わらずに、横浜方面で終電が無くなった。
タクシーで帰れば相当な金額になりそうなので、始発までどこかでマッサージを受けることにして携帯からエステを物色した。
関内地区は最近面白くないので、今回はあまり開拓していない東神奈川地区へ向かった。
東神奈川周辺には、過去にアカシアという店に行った。
憩という店は昔麗華という名前だったころに何度か行ったことがある。
楽天堂という店はまだ行ったことが無かった。
電話したらすぐに入れるということだった。
意外なところに店はあった。
広い通りでは無くて、路地に入った住宅地の中だ。
階段で二階に上がると、元気良く迎えてくれた。
ママさんは明るく、とても感じの良い人だった。
良い店の予感がした。
90分以上のコースがお勧めらしい。
私はママの言われる通りに料金を支払った。
担当はアイという日本語が殆ど出来ない小姐だった。
マッサージはなかなかのレベル。
何より紙パンツ無しというのが解放感がある。
後半、彼女は私の背中やわき腹をサワサワとやりだした。
「ギャハハ!くすぐったいよ。」
私は止めてもらうようにお願いしたが、彼女はなかなか止めない。
日本語が理解できないのか?
するとママさんが外から
「サワサワすると男は皆喜ぶよ。」
と私に言った。
どうやらこの店はサワサワ系がスタンダードのようだった。
小姐もなかなか良い感じの人だったが、技はそれしかないのが残念だった。
他にやってもらうことも無いのか、最後は慈悲深い攻撃を受けた。
やがて隣の部屋から、寝息のようなものが聞こえてきていた。
ママさんはウトウトしているようだ。
私が帰る頃には閉店の時間は少し過ぎていたようだ。
ママさんは私が帰る気配に気がついたのか、起きてきた。
かなり寝むそうだった。
あんなに笑顔で雰囲気の良かったママさんだったが、一転して機嫌が悪そうだった。
彼女も私の息子と同じように、眠くなると機嫌が悪くなるタイプのようだった。