汚れなき者というよりは、純真でありそれを求める者というべきか。
協力者、村越は私にはそう映る。
「長生きする事が私の目標です」
何故その目標を掲げるのか、尋ねれば。
「ボーっとしているおばあちゃんが何を見ているのか、何を考えているのか気になります。私も長生きしておばあちゃんになった時それが分かるんだとしたら、そこにたどり着きたいと思ったからですかね」
そう返ってきた。
闘争心が無く、ただ己の技術だけを磨く。
五十年後その瞳に映るものが何なのか。
六月の藤の花はただ奇麗に流れ咲いている。
想えばいつも見上げる自分に気付かされるものだ。